手羽先

ムスメがフランスに飛び立った夜


中トロ鉄火巻きを土産に
ほろ酔いで帰ってきた主人


「手羽先！名古屋コーチン！」


はっきりとした寝言だこと

寝言でも
ワタシを笑わせてくれる


少しせつない夜なのに


今日わかった


主人はいつだってワタシの味方だってこと

尊敬する人

尊敬する人に


尊敬してることを



伝えられるしあわせ



歴史上人物だったら
できないでしょ


簡単に超えられる人じゃないから


高みを目指していける


尊敬する人の
そばで働ける朝は


いつだって がんばれる

高校３年生

鈴虫がないてるね


キンモクセイの香りがするね


思春期男子が
ときどき


宝石箱のフタを開けたんじゃないかと



思う言葉をかけてくる



歳を重ねた 飼い猫の目やにを とってくれたり


意外な優しい行動に
確信を持てないときもある


ここ数年
ワケのわからない
イライラの矛先が
ワタシだから


憎らしく思える日も
ただある


ワタシに似ている