東京都知事選挙は、予想通り小池知事が勝利しましたが、本会が注目していたのは、中盤以降急激に伸びた石丸君の選挙です。
 


田舎町で大ウソを交えた劇場型政治の主役を演じた石丸君が、何を勘違いされたのか、著名な財界人に担ぎ出され、選挙の神様と言われるコンサルタント、政党関係者、政治評論家等々に支えられても、完全に泡まつ候補として見られていました。



石丸君の当初の公約は、安芸高田市長選挙の時と全く同じ「政治再建、都市開発、産業創出」を掲げ、唯一具体的な事業は、安芸高田市で将来の財政状況も考えずに実績づくりのために予算化した「学校給食の無償化」だけでした。

安芸高田市において混乱だけを引き起こした「政治再建」、何ら手掛けることもなかった「都市開発と産業創出」が公約として並んでいたのです。



そして、選挙戦の後半に入っても、実業の経験もなくFX取引のレポートを書いていただけの、二元代表制すら理解していない人間が「経済と行政の専門家」を標榜し、内容のない煽るだけの短い演説を繰り返していたのです。



一方で、SNSを使った選挙は他候補を圧倒していたと言われています。

安芸高田市で行われていたように、内容のない煽るだけの演説であっても、動員された観衆を前に演説する姿を切り取って「歯切れのいい言葉と新鮮さを売りにした姿」に編集し組織的に拡散したのでしょう。

SNSでバズり、それに比例して演説会場の聴衆も増えていったようです。

そして、小池知事には引き離されましたが、蓮舫候補を上回る得票を得たのです。



SNSを巧みに使って作り上げられた虚像が、都民をここまで惑わせたことに、大きな驚きと戸惑いを感じざるを得ません。



今回の選挙は、これまでの選挙のやり方が大きく変わる転機になっただけでなく、既存政党・政治への不信、所得格差の拡大による不満が蓄積する社会においては、SNSを駆使したポピュリズム的な主張や編集された動画によって有権者を煽る選挙手法が極めて有効であることが実証されたのではないでしょうか。


組織された集団がこうした手法を使えば、息を吐くようにウソをつくとんでもない人間でも、政治の表舞台に登場できることが明らかになったのです。



今回の選挙に極めて危険なにおいを感じたのは本会だけではないでしょう。