東京バンドワゴン 』でお気に入りとなった小路幸也くんの同シリーズ第二弾、『シー・ラブズ・ユー』を読みました。

シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン (集英社文庫)/小路 幸也
¥580
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東京の、とある下町にある「東京バンドワゴン」という変わった名前の古本屋。

店の名前から、ワゴン車か何かで古本を売り買いしている話かと思いましたが、違いました。

明治18年創業の、ちゃんと店舗を構えた古本屋さんでした。

でも今は、店の半分をカフェにしています。

そして、本作では、カフェの名前が実は「東京バンドワゴン」とは別にあった、ということが明かされます。


この家族、構成はちょっと複雑です。

「東京バンドワゴン」3代目店主の勘一、勘一の息子で伝説のロッカー我南人(がなと)、我南人の娘で未婚の母の藍子(あいこ)、藍子の娘の花陽(かよ)、我南人の息子紺(こん)、紺の妻で元スチュワーデスの亜美、紺と亜美の子研人、我南人が愛人との間にもうけたもう一人の息子青(あお)、そして前作『東京バンドワゴン 』で青の元に押しかけ女房でやって来たすずみ。

前作スタート時から1人増えて合計9人。


そして、物語の語り手は、勘一の妻で一昨年亡くなったサチ。


語られるのは、春夏秋冬、これらの人々が織りなすLOVEに満ち溢れた心温まる物語。



さて、このシリーズ、冒頭近くで必ず朝食のシーンがあります。

それがお約束となっています。

大家族ですから、大変です。


たとえば、こんな感じ。



「研人ぉ、サンタさんはなにを持ってきてくれたぁ?」


「あれ? 青とすずみちゃんがもう帰ってくるって」


「ウィー」


「おい、大根おろしはねぇのか」


「メール入ったの?」


「スタン・ハンセン懐かしいねぇ」


「大根おろしですか?」


「でもぉ、なんでスタン・ハンセンがクリスマスなのぉ?」


「花陽ちゃん、おネギ残しちゃ駄目よ」


「うん。なんでだろ明日だったよね」


「わかってるってばー」


「ちょいと咽がいがらっぽいんだ。大根おろしが効くんだよ」


「スタン・ハンセンってなに?」


「あ、おじいちゃん、これお醤油ですからね、はい」


「さっき、ウィー! って言ったじゃないぃ?」


「あ! なんで醤油かけんだよ大根おろしはそのまま食べるんじゃねぇか?」


「任天堂のWiiだよ?」


「ただいまー!」


「あれ?」


「あれぇ?」



いい感じでしょ。


本作中、目出度いことに家族がさらに2人増えました。

そして、さらに1人迎え入れようとしますが、これはすぐには難しいかもしれません。

しかし、逆にこれも目出度いことで2人減ることになります。

そして最後、さらに1人増えるかも、と暗示して幕を閉じます。


えーと、結局何人になるのでしょう?

興味を持たれた方はぜひ。



評価 ☆☆☆



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