本書『鬼の跫音』で第141回直木賞の候補となっている道尾くんですが、やはりこの作品集での受賞は難しいと感じました。

鬼の跫音/道尾 秀介
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どうでもいい話ですが、最近の短編集は6編収録するのが流行りなのでしょうか?


最近紹介した、奥田英朗くんの『家日和 』、重松清くんの『気をつけ、礼 』、そして万城目学くんの『ホルモー六景 』と、何れの短編集も収録作品数は6編でした。


このあたりが、それほど分厚くもならず読者にも満足感を与えられてちょうどいいのかも知れませんね。


『鬼の跫音』も収録作品は6編。



「鈴虫」

11年前のその日、何故私は友人の死体を埋めたのか。


「犭(ケモノ)」

偶然に見つけた椅子の脚に彫られた受刑者の文字が意味するものは何なのか。


「よいぎつね」

20年前の祭りの夜、私が埋めたのは私自身だったのか。


「箱詰めの文字」

作家の僕のもとに現れた男は「あなたの家から貯金箱を盗みました」と謝るのだが……。


「冬の鬼」

どんどやの火に、私は投げ込む、二つの眼が入った、願いが叶った証の達磨を。


「悪意の顔」

人の感情や人物そのものを閉じ込めてしまう絵は本当にあるのか。



一番のお気に入りは「冬の鬼」。

女性の日記として書かれているのですが、普通とは異なって、前の日へ前の日へと遡って行くスタイルになっており、それが見事に成功しています。


他の作品も、ホラーとしては水準以上の作品ばかりだと思いますが、直木賞ということになると、やはりちと弱いかと。



評価 ☆☆☆



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