猫の惑星

立原あゆみ

昭和59年1月2日読了


 集中の白眉は、なんといっても「鳥になったイチクミ」であろう。冒頭に掲げられた詩、


  羽根のない生きものはさ

  …一度は

  大空をとびたいって

  思うんだよ

  それがさ

  おとなになるにつれてさ

  わすれちゃうんだよね

  自分はとべないんだって

  わかっちゃうんだよね


は、美しい。この人は、マンガ家としての腕もかなりのものだが、ぼくはむしろ詩人として見ている。言葉の確かさは、たしかに詩人のものだ。

 回想ふうの設定が何ともいえずよいし、それを何の疑問も持たずに猫に語って聞かせるというのもおもしろい。

 ところで、美香ちゃんどうなったのだ。これは連作短編なのか。

 スケベだ。


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