しかし普通読めないよね日明恩なんて。
日明恩、ひあきおん?

図書館で一生懸命「ひ」で始まる名前の作家コーナーを探してしまいました。

たちもりめぐみ、て読むらしいんだけど、無理。


本日のご紹介は、そんな日明恩(たちもりめぐみ)くんの作品、『ギフト』。



ギフト/日明 恩
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横断歩道で車にはねられて死んだ老婆、虐待されて殺された犬、庭の池に落ちて死んだ少女、そして狂言自殺に失敗して本当に死んでしまった女、死者が見える少年と心に癒せぬ傷を負った元刑事のふたりは彼らの謎を解き成仏させていく(狂言自殺女を除く)。


そして、これらの物語を通して徐々に元刑事の心の傷が明らかにされていく。

勤務中に不審な少年を発見したため追跡したところ、少年は道路に飛び出し交通事故死してしまったらしいこと。

そのため元刑事は職を辞したらしいこと。

事故死した少年の父親も警察関係者らしいこと。


そして最終話で詳細が明らかにされる。

この最終話が実にいい。


警察官の父親を持った少年。

彼は父親に反発し、悪ぶって自転車を盗もうとする。

そこを刑事に見つかり逃げ出す。

捕まったら父に迷惑がかかる。

この場を逃げ切っても大勢の目撃者がおりやがて自分だとばれるだろう。

交差点の信号は赤、捕まるくらいならいっそ死んでしまった方が……。


一方、警察官の父。

彼は「あの子がいたということを、一生忘れないでくれ」と少年を追った元刑事に言う。

だが、父は気付く、息子が死んだのを誰かのせいにしなければ堪えられなかったのだと。

そして、元刑事が息子の月命日を忘れず来てくれることを嬉しく思っていたのだと。


最後に、死者が見える少年を海外留学させておしまい、てのはダメでしょう。

いつの時代の話だよ、と思っちゃいました。

ちょっと残念。



評価 ☆☆☆



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