静謐、という言葉がこれほどぴたりと当てはまる作品もめずらしいのではないか。

堀江敏幸くんの『雪沼とその周辺』は、ボーリング場、スキー場など、雪沼とその周辺に暮す人々を確かな観察眼で描き出す連作短編集。

雪沼とその周辺 (新潮文庫)/堀江 敏幸
¥380
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冒頭の「スタンス・ドット」は廃業の日のボーリング場を描いた一編。


ボーリング場経営者の主人公は、廃業の日トイレを借りにきた男女に、ボーリング場としての最後のゲームをすすめる。

スコアをつける主人公の胸に去来する想いは……


他珠玉の6編。


読み終えるのが惜しくなる、久々に小説を読む楽しみを味わわせてくれた一冊。



評価 ☆☆☆☆



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