若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)/城 繁幸
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『若者はなぜ3年で辞めるのか?』

タイトルが疑問文ですから、内容に答えが書いてあるはずです。


ありました。


それは、バブル崩壊後、成果主義をうたいながらその実は、中高年者を守るための相も変らぬ年功序列制度に原因があるのだ、と。

入社はしてみたものの、どうも自分は一生下働きで出世できそうにない、ろくに仕事もしない中高年のおやじの給料を稼ぐためにはたらくのはごめんだ、と思って辞めていくのだ、と。


そして、年功序列こそが格差を生み出しているのであり、格差をなくすためには、新人から定年直前のベテランまで、全員の給料を果たす役割の重みに応じて再設定すべきである、と。


そうでしょうか?


たしかに、前述した理由で辞める若者もいるでしょう。

でも、入社して3年で辞める若者は、本書にもあるとおり、新卒で入社した若者の3割に過ぎません。

入社して3年、仕事も覚え、ある程度は将来の自分の姿にも見当がつくころになっても7割の若者たちは、会社を辞めようとはしません。

それは、現状を肯定し、辞めるよりは勤め続けたほうが有利だと判断しているからではないでしょうか。


また、著者は、新卒の若者とその上に被さる中高年を別物と見ているようですが、中高年は、彼ら若者たちの親世代に当たるのです。

著者の言うように、給料体系を再設定したばあい、多くの親たちの給料は現状を下回ることになるでしょう。

そして、こうした場合、会社側は賃金総額を抑制することが目的ですから、世帯単位での収入は減少することになります。


これでは何のために行っているのかわかりません。


最後に著者は、働く理由を取り戻すことが大切だ、と説きます。

仕事にやりがいがあれば、給料が減っても良いではないか、と。


程度にもよると思いますが、転職して給料が減るのは避けたいですね。

本当にやりたいことが出来て、1割減くらいなら、しかもその金額が将来も確実に保証されるのなら、考えてもいいかなぁ。



評価 ☆☆



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