雷電本紀 (小学館文庫)/飯嶋 和一

¥730
Amazon.co.jp

飯嶋和一くん、3冊目のご紹介は『雷電本紀』。

デビュー作 『汝ふたたび故郷へ帰れず』  に続く2作目となる本書は、なんと1700年代後半から1800年代前半にかけて活躍した江戸時代の相撲取り雷電を主人公にした歴史物です。


最初に読んだのが、最新刊の歴史物 『出星前夜』。

次に読んだのが、デビュー作のボクシング物『汝ふたたび故郷へ帰れず』。

そして今回が相撲の歴史物ということで、ようやく格闘技と歴史物が繋がりました。



浅間山の麓に近い村に暮らす太郎吉は六尺を超える草相撲の大関。

折しも、浅間山の噴火で作物が実らず、餓えた農民たちは一揆をおこす。

その中には太郎吉のライバル日盛の姿もあった。


ある年、太郎吉は祭りの余興に呼ばれてやって来た江戸相撲の若手を5人抜きしたことから、江戸へ出て相撲取りになる。

その相撲は、拵え相撲(八百長相撲)が当然のこととなっていた当時の相撲界の常識を覆す、対戦相手を壊しかねない危険なものであった。

江戸市中の人々はそんな雷電の姿に熱狂し、人気はうなぎのぼり。

並みいるライバルたちに勝ち続け、ついには最高位の大関にまで上り詰める。

21年間の通算成績は、254勝10敗2引分け14預かり。


しかし相撲取りの置かれた立場は決して恵まれたものではない。

それぞれが各藩に召し抱えられてはいるものの、身分は低く、かつてのライバルたちも次々と若死にしていく。


引退した雷電は、仲間の供養のため寺に釣鐘を寄進することを思いつく。

当時、新たに釣鐘を作ることは幕府によって表向き禁じられていた。

しかし現実には、火事などで割れてしまうものもあり、見て見ぬふりをされていた。

ところが、この雷電の寄進した釣鐘は、幕府の役人たちの出世争いに巻き込まれ、禁制の釣鐘を作ったかどで雷電は捕えられてしまう。

どうなる雷電……。



とまぁ、こんな感じの話なのですが、格闘技物としては、あまり努力して強くなった感が無いのが残念でしたね。

あと、ところどころ時代が前後して読み辛いのもマイナス点ですね。



評価 ☆☆☆



   飯嶋和一の本は こちら