琉球は夢にて候/岩井 三四二
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角川書店 2006年6月刊



今年最初にご紹介する本は、歴史小説を書かせたら今一番面白い、岩井三四二くんの『琉球は夢にて候』です。

タイトルから、本国の歴史は書きつくしてしまって、沖縄の尚氏でも扱っているのかと思いましたが、違いました。



時は戦国。

出雲の国湯庄の地侍湯家(ゆのけ)では、13歳の主人公新十郎の父左衛門尉(さえもんのじょう)が、毛利家に奪われた富田城を奪い返すべく山中鹿介に率いられた尼子党の一員として戦うが、討死してしまう。

結局尼子党は敗北し、湯家(ゆのけ)は新十郎を跡取りに立てるも、家は取りつぶしとなってしまう。

失意の中で母は自殺し、残されたわずかなたくわえを元に、新十郎の家を興し領地を取り返すべく奮闘の日々が始まる。


山中鹿介のもとへ馳せ参じた新十郎は、その活躍から次第に鹿介に目をかけられるようになり、やがて鹿介の義妹を嫁として世話してもらうまでになる。

戦いの日々の中、新十郎は織田信長の命で毛利征伐にやってきた羽柴秀吉の知遇を得る。

秀吉の下でも活躍した新十郎は、秀吉に褒美を問われたとき、琉球国を所望し「琉球守」を名乗ることを許される。


はたして、新十郎は出雲の国を取り返すことが出来るのか。

そして、「琉球」へ行くことは出来るのか。


あいかわらず面白いですね岩井三四二くん。



戦国時代に「琉球守」を名乗った人物がいる、というのは(たぶん)井沢元彦くんの『逆説の日本史』で知っていましたが、それが本書の主人公新十郎なんですね。

また、山中鹿介という人物についても、名前は聞いた事があったけれど、歴史のどこに登場する人物なのかいまいちわからなかったんですが、本書を読んで、毛利氏に滅ぼされた尼子家を再興するために奮闘した人物である、ということがわかりました。



評価 ☆☆☆



岩井三四二くんの著作はほとんど読んだつもりでいましたが、『逆ろうて候』、『はて、面妖』などまだいくつも未読のものがありました。

                  ↓

   岩井三四二の著書は ここ



これらも順次読んで行きたいと思います。