昨夜は親戚の集まりがあり、ばくも顔を出してあまり飲めない酒を少しばかり飲んだりしたわけなんですが、そのときの話で、ばくの父方の伯母の夫の弟(つまり血の繋がりのない伯父の弟)が力士だったことが判明しました!


義理の伯父も昭和一桁生まれとしては体格の良い方だと思っていましたが、弟が相撲取りだったとは知りませんでした。

序二段で廃業したそうですからあまり強くはなかったみたいですけれども、相撲取りと言えば一応プロの格闘家ですよね(最近は伝統芸能の演者だという説もありますが)。


格闘技系読書ブログ(?)をやっているばくとしては、びっくりです。

ばくも、この元力士の方とは従兄弟の結婚式で顔を合わせたことがあるはずだと父に言われましたが、まったく覚えていませんでした。



というわけで、格闘技系読書ブログがご紹介する今日の本はこちら。


汝ふたたび故郷へ帰れず (小学館文庫)/飯嶋 和一
¥620
Amazon.co.jp

河出書房新社 1989年1月刊



この前読んだ 『出星前夜』  が歴史小説としては出色の出来でしたので、飯嶋和一くんの他の作品も読んでみることにし、どうせならデビュー作からだろうと手にしたのが文藝賞を受賞作の本書『汝ふたたび故郷へ帰れず』。


『出星前夜』の帯には「歴史小説の巨人、四年ぶりの最新作」とありましたので、歴史小説の人かと思っていたのですが、本書は違いました。


なんとびっくりのボクシング小説なのです。


ボクシング小説と言えば、百田尚樹くんの 『ボックス!』  は結構面白かったですが、本書『汝ふたたび故郷へ帰れず』はどうでしょうか。



新田俊一はミドル級のボクサー。

戦績は18戦16勝2敗。

日本ミドル級2位。

チャンピオンは新田を避けて試合が組めない。

最近の相手はランク外の新人かロートルばかりだ。

そして、例え日本チャンピオンになったところでボクシングだけでは食べていけない現実。

新田はボクシングを投げ出し、働いて金をため、生まれ故郷の島へ帰ることにする。


トカラ列島の宝島、それが新田が生まれ育った島の名前だ。

そこで新田は、昔兄と慕っていた彦兄ィが4年も前に死んでいたことを知る。

彦兄ィが毎月ボクシング雑誌を取り寄せ、「こん島の者ンが世界一になるぞ」と言って大騒ぎしていたことも。

島で新田はトレーニングを再開する。


東京に戻り本格的に練習を再開した新田のもとに試合が舞い込む。

相手は日本ミドル級1位。

タイトルマッチを控え、調整試合の相手として、2年のブランクがあり昔そこそこの選手だった新田に目をつけたのだ。


そして、試合が始まる。



どうでしょうか?

残念ながらばくは、この昭和ボクシングの世界の暗さが、どうにも好きになれませんでした。



評価 ☆☆



やはり格闘技を文学として表現するのは難しいですね。

読者が殴られた痛みを感じる小説、そんなのは無理なのでしょうか。


飯嶋和一くん、今度は他の作品を読んでみたいと思います。


     飯嶋和一の本は ここ  にあります。