過去に私がTwitter、Instagramで運営していた某公立高校ジャニーズ研究会の主な活動はブログ執筆だった。そこに並べられた記事たちの中で最もアクセス数や直接的な反応(あのブログよかった!的な声)が多かったのが、2020年11月27日に私が書いた「リア恋の卒業論文」の記事である。
 諸事情によりジャニ研が期限未定の活動休止となっている今、5000字超えのこの記事を眠らせておいてしまうのは可哀想なので、成仏の意味を込めて公衆の面前に晒したいと思う。

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阿部くんへ
 私があなたと出会ったのは2018年、あれからもう3年近く経ちます。本当にあっという間でした。
 そして、大失恋を機に阿部くんに抱く感情が単なるファンからアイドルへのものとは別のものになってから、また長い時が経ちました。
 カウントダウンコンサートで、バックで踊る阿部くんを見れたときの嬉しさは未だに忘れられません。当時Jr.がテレビでパフォーマンスできることなんて殆どなくて、嬉しくて嬉しくてカウコンの録画を何百回も見返しました。
 真面目なところ、努力家なところ、優しいところ、意志が強いところ、結果を出すところ。阿部くんの好きなところなんて数えあげれば枚挙に暇がありません。その全てが私に笑顔と元気をくれました。
 そして、あなたに対する感情の中に心からの尊敬がありました。Jr.の活動と勉強を両立させ、上智大学に現役で一般合格し、学部で3人しか選ばれない学業優秀賞もとり、気象予報士の資格もとり、大学院まで卒業したあなたのことを、本当に尊敬しています。阿部くんの姿にどれだけ救われたことかわかりません。私が漢検二級を取得できたこと、今の高校に合格できたこと、どんなに悪い成績をとっても投げ出さずに何とかしがみつこうと思えること、その根底には阿部くんの存在があります。模試の結果が思わしくなく志望校に悩んだとき、内申点が思うようにならなくて怖くなったとき、入試の3日前の夜、不安でひとりで泣いていたとき。どれだけ立ち止まりしゃがみ込んでもなんとか立ち上がり前を向いて進んで来れたのは、阿部くんがいてくれたから。阿部くんのものすごい努力を知っていたからです。上智が第一志望ではなかったと知ったとき、この人は自分自身に何を求めているんだと尊敬を通り越して畏怖の念を抱きました。でも、第一志望に落ちたと知った日は何も食べられなかったと知って、ああこの人も人間なんだと思い直しました。
 阿部くんのファンとして恥ずかしくない人間で在りたい、私自身が阿部くんの存在や努力を糧に自分自身も努力し結果を出すことで阿部くんの素晴らしさを証明したい。そんな思いがずっと心にありました。
 Snow Manが大好きで、一人で外部の番組に出たら必ずZIG ZAG LOVEのポーズでSnow Manを広めようとしてくれるところ。コンサートでは、森林伐採と呼ばれるほど緑のペンラの子に片っ端からファンサするところ。沢山の人にファンサしたいから、じゃんけんはしないところ。Snow Manに還元するために様々なことを必死で頑張っているところ。気象予報士の資格をとったとき、アイドルか気象予報士かどちらかと言えばどちらをとるかきかれて、キラキラの笑顔でアイドルです!と即答したところ。芸能界じゃなくても十分いい暮らしができる能力があるのに、ジャニーズが天職だと胸を張って言うところ。阿部くんは本当に素晴らしいアイドルだと思います。文字通り、阿部くんはいつでも笑顔で、頭のいい阿部くんのことだからきっとめちゃくちゃ沢山のことを考えて背負って立っているはずなのにいい意味でそれを微塵も感じさせない。でも、裏にはどれだけの苦労や葛藤があるのか想像もつきません。きっと、器用そうに見せているだけで不器用なんだろうと思ってます。人間らしくて好きです。
 阿部くんのブログも雑誌のインタビューも、いつもファンを大切にしてくれる言葉で溢れていて、阿部くんの文章を読むと心があったかくなります。阿部くんは歌割りが多いわけではないけれど、優しく包み込んでくれるような阿部くんの歌い方が私は大好きです。 16年間ジャニーズをやってきて、ただの一度もスキャンダルを出さないところも、阿部くんらしくてすごいなと思います。
 そんな阿部くんのファンを辞めることは今の私にはできません。でも、これからは、阿部くんへの想いをファンとしてのものだけにして応援していこうと思います。
 端的に言えば、あなたのことを好きすぎるのです。どちらかというと自分の気持ちや内面を言語化する癖がある私が、阿部くんへの気持ちに関しては言葉で表しきれない。好きだとか愛してるだとかの言葉では足りないんです。
 優しくて素敵な阿部くんなら、いつか阿部くんと同じく素敵な女性と結婚するのだと思います。結婚が全てとは思いませんが、阿部くんは結婚するんじゃないかと思っています。もしかしたら、今も恋人がいるかもしれません。阿部くんが選んだ方なら絶対に素晴らしい方です。そう思えるくらいには、私はあなたを信頼しています。あなたに幸せになって欲しい。その思いに嘘はありません。でも、例えばこの先阿部くんが結婚を発表したとき、私は自分がどうなってしまうのかわからない。ジャニーズだって人間じゃん、恋愛していいじゃん、彼女いてもいいじゃん、結婚してもいいじゃん。好きな人が幸せならいいじゃん。そんなポリシーで、今までは自担の幸せを素直に喜び応援できる傾向にあった私なのに、阿部くんのことになるとどうしても感情が先に働いてしまいます。敢えて言葉にするなら、阿部くんに幸せになって欲しい、でもその隣にいるのは私がいい。そんな、現実から逃避した我儘です。一ファンが何言ってんだって一笑に付されても仕方ないようなことですが、でも、そこまで好きにさせたのはあなたなんです。
 私がどれだけあなたを好きでも、私とあなたの人生が結婚という形で交わることがないなんて私が1番よくわかっています。あなたは手の届かない存在です。私には、アイドルとしての阿部くんしか見えていない。今まではそれでよかった。でも、私はあなたを好きになりすぎました。もし阿部くんと違う世界線で出会えていたら。そんなことを考えるくらい、あなたの隣にいたいと思ってしまうんです。あなたの全てを知りたいと思ってしまうんです。お嬢さんと結婚することになりました、と彼女の両親に結婚の挨拶に行って喜ばれる男性ランキング第1位、及び家庭教師として家に来たときにお母さんが喜ぶ男性ランキング第1位だと個人的に思っています。
 卵焼きが作れないから作って欲しいと阿部くんが話したのを聞いた日から、完璧な折りたたみ卵焼きが作れるように必死で練習して、私が好きな母の卵焼きの味を再現できるように何度も母にコツを聞いたこともありました。答えは決まって「コツなんてない、味付けは目分量、火入れる時間も適当」でしたが。阿部くんの後輩になりたくて、東京に引っ越して都立駒場高校に入ろうかとわりと本気で考えたこともありました。「今月、自分の名前より阿部くんの名前の方が書いた回数多かったんじゃないか?」日記を読み返してそう思ったこともありました。阿部くんと同じ身長178センチの人と並んで身長差を体感してみたこともありました。理想の結婚相手との身長差が25センチと知り、なんとか153センチまで伸ばそうと頑張ったこともありました。無理だったけど。でもその後、理想のハグの身長差は32センチと知り大歓喜したこともありました。阿部くんの見た目が少し変わったように感じたら、直近の雑誌の撮影時期、YouTubeやテレビ番組の収録時期の時系列を髪色や髪型から割り出し、「痩せてる!」と心配したこともありました。阿部くんに近付きたくて、円周率を覚えてみたこともありました。25桁まで覚えました。阿部くんについて15分以上英語でスピーチしたこともありました。同じ服、ペン、ノート、マグカップをネットで探しまくって買ったこともありました。番組で阿部くんが読んでいた、数学する身体という私の興味からかけ離れた本を買って読んだこともありました。亮平くんと呼びたくて、でもやっぱり阿部くん、阿部ちゃんと呼ぶのがしっくり来てしまい諦めたこともありました。「好きな人いる?」『阿部くん!』そんな答えを幾度となく繰り返しました。こんなに好きなのに、絶対に近付かない距離で阿部くんと出会わせた神様を恨んだこともありました。
 でも、やっぱりこれで十分なのかもしれません。あなたと同じ時代に、同じ日本に生まれてきたこと。ジャニーズを知り、Snow Manを知り、阿部くんに出会えたこと。その全てが天文学的な確率で、それだけで十分すぎるほど幸せなことです。やっぱり神様に感謝します。
 あなたの幸せを手放しで喜べる自分でありたい、そしてあなたに頼らずとも生きていける自分でありたい。そう何度思ったことでしょう。それでもあなたはその魅力で何度も何度も虜にして、何度も何度も恋に落として、決して離れさせてはくれなかった。

 あなたはひどい人です。
これなら二度と立てないぐらい、壊されたほうがマシです。お願いだから私を壊して、帰れないところまで連れていって見捨てて、あなたにはそうする義務がある。
 それが無理なら、もう二度と私の前に姿を見せないでください。そしてどこか遠く離れた場所で幸せになって。自分だけ幸せになって憎たらしいと、あなたのことなんかどうでもいいと思わせて。
 今日のこともいつか思い出さなくなる。そしてまた、ほかのだれかをこの人しかいないと信じて好きになる。あなたに対してそう思ったように。

 あなたが尊敬している櫻井翔くんと同じ嵐のメンバー、松本潤くんが主演を務めたナラタージュという映画のクライマックスシーンで、ヒロインが言う台詞です。恋愛って、キラキラした楽しいものだけではないんだと私が知った映画でした。こんな感情どうやったら出てくるんだろう、と中1当時は思ったけれど、今、あなたに抱いている感情はまさにこんな感じです。
 いっそ熱愛でもスキャンダルでも出て、幻滅させてくれたら簡単に離れられるのに、とも思います。プライベートの音声でも流出して、ファンのこと金づるとでも言っていれば自分から見限ることもできるのに。でも、きっとあなたはそんなことにならない。素晴らしい人だから。優しさも人としての魅力もときには罪です。こんなに好きにさせたくせに、あなたは私の名前も歳も顔も、まあ顔は知られたくもないけど、存在すらしらない。アイドルとファンなんてそんなものですが、あなたと私の関係が所詮それだけなのだということを忘れさせるほど、私は阿部くんに夢中でした。あなたのせいです。
 あなたのことを好きだっだ3年間のこともいつか思い出さなくなる。あなたに対して思ったように、この人しか愛せないと思ってまた誰かを好きになる。アイドルに本気で恋するなんて、まだまだお子ちゃまだったなあ、なんて笑える日が来るかもしれない。愛がなんなのか、何も分かっていなかったなあ、なんて話のネタにできる日が来るかもしれない。でもやっぱり、私がこれまで生きてきた16年の中のこの3年間はあなたなしでは語れないんです。あなたを本気で好きだった事実をなかったことにはできないんです。あなたへの愛が本物だったと信じていたいんです。それでも、夢を見ていられるのは永遠ではないのだとも最近は思うんです。だから、この決断をしました。
 冷め期もあったし、悩んだことも沢山あったし、この決断をするまでにも何度も迷いました。阿部くんを好きにならなければ、こんなに苦しむことはなかったでしょう。でも、あなたを好きにならなければ良かったとは思えません。『もう恋愛なんてしない!できない!』と思っていたあの大失恋直後の私に寄り添ってくれたのはあなただった。それなのに、こんなに好きにさせておいて、その先はないこと。側から見れば残酷な現実ですが、それを分かった上で私は阿部くんを好きになりました。そんな阿部担が沢山います。阿部くんの魅力は本当にすごいものだと思います。
 このままじゃ、私は本当におかしくなってしまうかもしれない、いや今もかなりおかしいですが。阿部くんが好きすぎて、他には何も考えられなくなってしまうかもしれない。自分の生活が立ち行かなくなってしまうかもしれない。私はもともと束縛するのもされるのも嫌いだし、依存してしまう恋愛なんて絶対嫌なのに阿部くんに対してはそれが適用されないみたいです。すでに依存しかけています。阿部くんになら束縛されてもいいです、多分阿部くんはそういうタイプではないけれど。阿部くんとなら地の果てまでだって行けます、地獄に落ちてもいいです。ほら、こんな風に思ってる時点であなたは私をだいぶおかしくさせています。このままじゃほんとに、あなたなしでは生きられなくなってしまう。だから、あなたに恋するのをいい加減辞めます。
 阿部くんに出会えて良かったです。阿部くんを好きでいられて幸せでした。阿部くんがいなかったら、今の私はないと本気で思います。
 阿部くんがジャニーズに入ってくれたこと。諦めずに15年間Jr.でいてくれたこと。阿部くんが1993年に生まれ、同じ日本で私がその10年10ヶ月1日後に生まれたこと。私がジャニーズファンになったこと。Snow Manを知ったこと。阿部くんを好きになったこと。全てが当たり前ではなく、沢山の偶然が積み重なってできたひとつの奇跡です。どれだけの確率なのか、理系の阿部くんに是非計算して欲しいです。
 阿部くんがくれる言葉はいつも私にそっと寄り添ってくれて、阿部くんの笑顔は私にもいつも笑顔をくれて、阿部くんの声は私の気持ちにいつも光をくれました。阿部くんが存在してくれているだけで幸せでした。今この瞬間、私も阿部くんも生きているという事実だけで救われました。
 阿部くんが好きです。心から尊敬しています。その思いはこれからも変わりません。Snow Manのことも阿部くんのことも応援し続けます。
 でも、終わりのない夢を見るのはここまでにします。
 沢山の笑顔と愛をありがとう。
 本当に本当に本当に大好きでした。

 阿部くんの幸せを祈っています。

 そして最後に、27歳の誕生日、おめでとう。


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と、まあこういう5000字超えの文章を定期考査前日(!)に書いていたわけである。
我ながら、会ったこともない、話したこともない、本当の性格も知らない、自分の存在すら知らない相手によくここまで恋をしたものだと感心してしまうが、冷静になった今の私は考える。それが客観的に今の私を見ることに直結するから。

─────なぜ3年近くもの間、私は彼にこんなに夢中だったのか─────