(前回からのつづき)
新人研修で、マナー研修を実施すると

敬語ができていない。今後、社会人として恥じない敬語を使えるようにしたい。」

などの感想がとても多いのです。

敬語や丁寧語ももちろん大事なのですが、

もっと大事なのは

「相手に対する思いやり・丁寧に接しようとする心、尊敬の念」

と新人に説明しました。

この気持ち
があれば、

多少、敬語や丁寧語ができなくても、

思いやりや尊敬の念は伝わります。


新薬開発のルールも同じです。

GCP(ジーシーピーGoodClinicalPractice)という

新薬開発の法律(実際は省令)があります。

これは、新薬を開発する上で

被験者(患者)さんを守るため、

被験者さんの権利、安全、福祉の遵守を中心に、

データの科学的な質を担保することまで

含めたルールになっています。


新入社員は、

このGCPが医薬品業界の開発のルールだから、

GCPを中心に必死に勉強しています。

しかし、「心」が抜け落ちてしまっては、

ダメだ!全く意味がない!

と教えています。


ただルールを守るのではなく、

治験(新薬開発のため未承認薬を使用してもらいその効果・安全性のデータを収集すること)で、

ボランティアで被験者として

参加している方を「人として扱いましょう。!」

ということを伝えています。


その治験上で、なにか問題がおこったら

いきなり「GCPで○○と規定していますので、

 この書類を作って下さい。」ではなく、

まず「被験者さんは大丈夫ですか?安全ですか?」

という言葉が口から自然と出なければ

GCPをどんなに学んでも、試験で良い点数を取っても

現場の医師や医療関係者の方々から相手にされないよ・・・と。


今年の新入社員は、

ゆとり教育まっただなかで育った人たちです。

規則を教えるだけでなく

「心」を持った新薬開発担当者を育てることができるか。

試されているような気がしてなりません。


矢城明でした