札幌-上野 寝台特急カシオペア A寝台 カシオペアスイート乗車記#3 | コントレイル



快適なベッドなのでよく寝られたようだ。

シェードを開けると車窓にまだ雪が残る。



7時になるとコーヒーと朝刊が部屋に届けられた。

その際に朝食のルームサービスを注文する。今朝は出遅れてしまったからな。

しかしアテンダント氏は、ルームサービスは昨今の混雑によって紙皿でのサーブする方式に改めたので、見た目的にかなり残念になるかもしれないと教えてくれた。

まあしょうがない、紙皿である旨を承知し8時に持ってきて頂くようにリクエストした。



そして8時頃、個室のインターホンが鳴る。ダイニングカーからの連絡で嬉しいことに、今ならテーブルに余裕があるので、せっかくだから朝食はダイニングカーで如何ですかと勧めてきてくれた。



やっぱり食堂車で食べたい。

案内されたのは一番奥のテーブルだった。ここが落ち着く。



確かに、余裕がある。
北斗星だと上りの朝食は出遅れると順番が回らぬまま営業終了となることが多かった。やはりB寝台主体の北斗星とA寝台のみで構成されたカシオペアではキャパの違いが大きいのだろう。

結局SA寝台の特権の一つであるルームサービスは利用できず終いであったが、最後にもう一度食堂車で食事ができるのであればそうしたい。




最後の食事だ。

列車で暖かい食事を楽しむ機会はこれからもまだあるが、旅客への供食を目的とした正統派の食堂車は本列車が最後、心して堪能しよう。






いつも通りの洋朝食。でもこれが本当に最後なんだよな。



食後はコーヒーを頂いた。まもなく営業終了のようだ。



いつまでも続いて欲しい時間だが、どうやらここでお別れのようだ。

またいつの日かこのようなサービスが復活することを願い、食堂車を後にする。



会計する時にカシオペアグッズを買った。カシオペアサブレ、マグカップ、キーホルダー。

他にもあるようだが、トワイライトほど豊富ではない。



札幌から16時間、まもなく上野に到着だ。



尾久を通過、残存する24系の姿が垣間見える。

残る彼らも廃車の運命を辿るのだろう。



僚機の姿も見える。かつて15両のEF510-500が配置されていたが、今日では僅か3両にまで減勢。本列車の牽引機514号機も明日以降は運用を離脱し、除籍されてしまう。


最初で最後のカシオペアスイート、心ゆくまで堪能できた。
これで最後になるであろう北海道寝台特急の最後の乗車を、SA寝台で締めくくることができたので悔いはない。大げさかもしれないが、万感の思いである。


カシオペアクルーズのスイートだと間違いなく手は出せないだろう。

さようなら、カシオペアスイート。



ホームに降りてEF510を眺める。この日が青釜最後の登板を知ってか知らずか、結構な数の方々が青釜の撮影をしていた。



EF510-500は2010年に初号機である501号機が田端運転所に配属され、まずはカシオペア、続いて北斗星の牽引に就きEF81が担っていた特急仕業を置き換えていった。その後も新造が続き、やがて15両体制となった時は、いずれ北斗星の客車も更新されるのではないかという淡い希望すら持った。
しかしその希望も空しく、5年後に北斗星は廃止された。そして、カシオペアも北海道寝台特急としての運行を廃止することになった。
EF510-500は、あらかじめJR貨物への譲渡を前提として新造された。

故に常磐貨物や北斗星/カシオペア牽引に特化した運用を続け、このような短い活躍は運命付けられていたのだ。

僅か6年に満たない活躍であった、だがしかし、日々東北本線を全区間走破するという、豪快な運用はブルートレインの歴史の最後の1ページを飾るに相応しい活躍ぶりであった。




最後の特急牽引を終え、有終の美を飾るEF510-514。


栄えある500番台特急牽引機として北斗星、カシオペアを牽引した日々は、短い期間であったとしても、機関車の生涯においてはとても誇り高い運用であったことだろう。



素敵な旅をありがとう、北斗星、カシオペア。

寝台特急カシオペア

平成28年3月20日を以って運行終了



【追記】



1/28のラストラン後、直ちに貨物へ譲渡されたようだ。