教室鬼ごっこ

教室鬼ごっこ

にしじまあきら作

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夏がもうすぐ始まろうとしていた。


夏には大きな大事な大会をひかえていたので、部活はさらに熱を増していた。

部長の平岡はいつにも増して「ピリピリ」している。まさに一触即発の状態である。

・・・そんなに「ピリピリ」する必要があるのか。


俺はもともと運動が好きではなかった。苦手なのではない、むしろ体育は得意なほうだ。

そもそも俺は面倒くさいことがなんでも嫌いであった。放課後わざわざ部室に行き、先輩に挨拶し、着替え、グラウンドを整備し、こんな暑い夏のグラウンドで走り回る・・・。それが毎日続くのだ。


ではなぜ俺が運動部に入ったか。それはこいつ、亮介の存在があったからである。


亮介は俺なんかよりずっと背が高く、大人びていて、かっこいい。クラスの女子からの評価も高い。いわゆる、モテモテとかいうやつだ。クラスの人気者で、明るく、元気なやつ。スポーツもできて、頭もよく、とにかく何でもできる。・・・俺の一番苦手なタイプだ。


俺はできるだけ小さく、おとなしく、ひっそりと学校生活を送る予定だった。亮介などの輩に目をつけられないように・・・



例のスポーツテストの前までは。