手裏剣戦隊ニンニンジャーについて | 北条明の世界

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手裏剣戦隊ニンニンジャー

「手裏剣戦隊ニンニンジャー」は、2015年に放映された、スーパー戦隊シリーズ第39作目である。
忍者モチーフの戦隊は、「カクレンジャー」、「ハリケンジャー」に次いで、3回目である。
2月7日に放送を終了した。

1年前、ISによる日本人拘束事件の影響で、「トッキュウジャー」の第46話が放送を中止、延期した関係で、当初の予定していた2月15日ではなく、2月22日から、放送が始まった。
2月22日ということで、「ニンニンニンは、忍者の日」という、逆に忍者モチーフ戦隊にふさわしい幕開けだった。

あれから1年、全話見た。

終わりの手裏剣を手に入れ、ラストニンジャを目指すという一年間のテーマはあるものの、メンバー同士で戦い合うわけでもなく、基本は和気あいあいとしていて、それを強く描いてはいない。
脚本家の下山健人氏によると、後から変更できるように、敢えて、わかりやすい伏線は張らなかったようだが、設定の緻密さがない感じを受ける。

第1話からして、牙鬼幻月が復活する444年後というのが、好天が封印した何年か前なのか、現在なのか、「かもしれない」という言葉で、曖昧にしている。
妖怪は、幻月を封印していた手裏剣から生まれるということになっているが、キンジは、アメリカで妖怪ハンターをしていたというから、もともと、妖怪はいたということになる。
幻月の予言のために、約400年前から、伊賀崎家では、ずっと忍法を受け継いできたのだと思うが、その間も、妖怪は出てきたのか、いつから強化スーツができたのか、終わりの手裏剣はいつできたのか、その辺を描いて欲しかった気がする。

ストーリーも、双六とかカルタとかが出てきて、戦いに対する緊迫感がなかった。
戦いって、もっと命を懸けて、真剣に向き合うものだと思う。

キャラクターは、天晴は、明るく前向きで、今の戦隊のレッドってキャラだったと思う。
あと、変身後が、「アカニンジャー」などと日本語読みなのは、新鮮だった。

個人的には、仲がいいいとこが集う中で、弟子という立場で、しかも、父と兄を妖怪に殺されたという過去があるキンジが、一番魅力的だった。
ただ、弟子入りするかしないかの過程は、ちょっとまどろっこしかったし、オオカミオトコにつけられた傷で妖怪化するのも、もう少し深く掘り下げて欲しかった気がする。
普段は、「パーリナイ!」なんて言っているが、実は心の中は…っていうのが、キャラとして魅力的だっただけに、それを活かしきれてなかった感がある。
九衛門の正体を、キンジの兄とする案もあったというが、個人的には、その方が見たかった。

敵キャラでは、その十六夜九衛門が、一番魅力的だった。
藩めぐみさんの声が、すごく合っていたし、キャラの魅力を際立たせていた。
以前は、好天の弟子で、一緒に修行していた旋風の忍タリティを奪ったとか、その正体が不明なところがよかった。
実は、幻月の息子で、444年前から現代に送られたというのはよかったのだが、悪に徹しきれず、かといって、その心の揺れの描き方が不十分だった感があり、残念だった。
九衛門は、中年男性の正体を現す予定があったという。
ただ、個人的には、今までの戦隊シリーズ同様、声優の藩めぐみさんに人間態をやって欲しかった。
妖術で、年をとらず、中性的な存在として、強敵として立ちはだかって欲しかったと思う。

忍者モチーフということで、ニンジャレッドとハリケンレッドが、変身前も含めて、出てきたのは、単純に懐かしかったし、嬉しかった。
やはり、どんなシリーズでも、過去のヒーローとの共演というのは、心が躍るものがある。
シュリケンジャーやマジイエローまで出てきた。
しかし、何と言っても、シリーズが違う、ジライヤが出てきたのには、驚いた。
個人的に、「ジライヤ」は好きだったので、本当に嬉しかった。
ジライヤまで出すのなら、赤影も出て欲しかった気もするが、坂口祐三郎氏が亡くなっているので、オリジナルにならないのでは、仕方がない。

終わりの手裏剣は、第46話で、好天は既に死亡していて、その生命維持装置として働いていたという展開はよかった。
そして、最終回で、終わりの手裏剣を手に入れた天晴たちが願ったのは、「終わりの手裏剣のない世界」であった。
なんかどこかで見たことあるなと思ったら、「ティガ・ダイナ&ガイア」の赤い球だった。
それに、「カブタック」のスターピースにも似ている(最後は違うが)。

最終回は、ゲキアツダイオーしか出ない。
オトモ忍には出て欲しかったと思うし、こういうところが、古い玩具を大切にしないことにつながる感じがする。

「ニンニンジャー」は、結果として、「トッキュウジャー」ほど思い入れを感じる作品にはならなかった。
ただ、実家にいる頃は、一緒に戦隊シリーズを見ていた弟が、結婚後、ずっと見ていなかったのに、あるコンサートで主題歌を聴いたことで、途中から「ニンニンジャー」を見始めた。
それで、録画してとっておいた第1話と第2話を、DVDにしてあげた。
そんなことで、記憶に残る作品になるかもしれない。