もしも僕がデリバリーヘルス嬢のドライバーだったら(略してデリドラ)
Amebaでブログを始めよう!

俺はデリドラを舐めていた。


デリドラ・・・デリバリーヘルス嬢ドライバー、それはタクシードライバー並の道の知識、救急車並みの迅速且つ繊細な運転技術が求められる。
頭では分かっていたが、カーナビがあればなんとかなるもんだと思っていた。

がしかし、ドクロ

カーナビは付いてはいるがかなりボロいもので、高速の高架下では電波を拾わず固まり、目的地をセットしてもえらい遠回りでの間違ったルートが表示される…

先輩デリドライバーA氏「カーナビは信用するな。信じられるのは己だけだ。」

地図を広げてホテル街になんとか辿り着くも、ホテル街は一通だらけの迷路だ。

内勤「○リスちゃんをリスト(ホテル)で拾ってからそのまま○オちゃんをxo(ホテル)で拾って、○リスちゃんを自宅に送ってから○オちゃんを竹の塚の次の仕事に送って!超急ぎで」

渋谷のホテル街でリスト、xoを探すのに時間を食う。
一通迷路にハマり迷う。
○リスちゃんの自宅をカーナビにセット。
が、しかし、案内開始した直後に画面が落ちて真っ暗に…
ナビがない。
道がわからない。
地図で道を確認して時間を食う。

内勤「今どのへんですか?早くしてください!!」

なんとか竹ノ塚のホテルに辿り着いた。遅すぎでキャンセルをくらったら終わっていた・・


研修員・ベテランドライバーA氏も恐れる、○くらちゃんを乗せることとなった。
A氏「こいつだけは細心の注意を払え。下手をすると首が飛ぶぞ」
かなりのクレーマーらしいガーン

・・・急ブレーキを踏んでしまったショック!

俺「すいません!」
A氏「すいませんじゃねぇんだよ!!(小声で)」
○くらちゃん「・・・」

不穏な空気が流れたままセルリアンタワーに到着。
A氏が事務所にTEL「到着しましたー。」
内勤「入口にもう一人女の子がいるんでその子と一緒に上がるよう言ってください」
A氏「了解。」

A氏「あの子と一緒に行ってください」
○くら「なんで?」
A氏「そういう指示なので」
○くら「3Pなの?」
A氏「そういう指示は受けておりませんが…」
○くら「ハァ??なんで一緒に行かないといけないの?」
A氏「そういう指示なので。女の子も待ってるのでお願いします」

○くら、事務所にTEL「Aとかいうやつマジむかつくんだけど!話しかけても無視するし、アァ?!とか言われるしさー!マジ態度でかいんだけど!ドライバーの分際でなんなのコイツ。今日はもう仕事やる気なくなった!まじでコイツドライバーのクセにさぁ~~」

話がデカくなってる!

そんなゴタゴタがありながらもなんとか○くらを降ろす。
女のコが部屋に入ると、女のコは事務所にTELして、その後事務所からドライバーにTELで指示が入って次の現場へ向かうのだが、なかなか事務所から連絡がない。

なんと○くらが帰ってきたショック!
客が寝てて起きないとかで、キャンセルになったらしい!

内勤(事務所)「○くらちゃん次の仕事入ったから次の現場向かってー。」

また○くらを乗せることに…

が、無難に次の現場に到着!
難を逃れた。

○くらを降ろしたあとのA氏の格言
「いいか、俺らは気持ちではダッチワイフを運んでるんだ。でも実際はニトロ爆弾を運んでる運転をしなきゃなんねぇんだ!!気持ちはダッチワイフだけどな!」

研修4日目、今後のシフトは週6の20時~8時の12時間勤務となると言われる。
そしてこれは本末転倒に
なりかねないということに気付く。

この日の研修員はA氏の師匠・M氏。
一本目の女のコの発送をもたつきながら終え、告げる。

俺「デリドラを舐めてました。これ以上やっても、タイトな時間スケジュールの中、迅速な配達をする自信がありません。店に迷惑がかかる前に辞めます。」

M氏「そうか。まぁ向き不向きがある仕事だからな。君の人生だから自分で決めたらいい。」

俺はふとM氏のことを知りたいと思い、問う。

俺「細かい道を知ってるんですね。東京出身なんですか?」

M氏「俺は静岡の出身だ。歌舞伎町には20歳の時に出てきたんだ。
君は小学校から大学まで勉強してきて、社会で何か役に立つことはあったか?」

俺「うーん、あまりなかったかもしれないです。」

M氏「俺はな、高校を出てねぇんだ。高1の時、自ら退学届を校長にたたき出して辞めてやった。『こんなところで勉強するより、さっさと社会を身をもって経験して、自らの手で稼げるようになった方が断然いい』と言ってな。
歌舞伎町に出てきて俺はカルチャーショックを受けた。俺は歌舞伎町に飛び込んで揉まれた。表には出れねぇ人達を運んでたときもあったな。」

M氏はさらに続ける。
「今の日本は腐っている。昔の人達が築き上げてきた日本を、今の若い世代は消費しているだけだ。」

消費している世代の俺にはあまりピンとこなかったが、歌舞伎町を何十年も経験しているこの男には、思うところがあるのだろう。

M氏「俺は生きていくためには何を手にいれたらいいかを常に考えて生きてきた。例えばこの仕事をやるにはカーナビが必要だったから自分で買ったんだ。」

なるほどと思った。

M氏「お前もやりたいことがあるならさっさとそれに携わった方がいい。悪いことをやれとは言わねぇ。社会に揉まれろ。」

M氏、推定50歳。勉強など生きていく上で意味がないと、いち早く社会(歌舞伎町)に飛び込み、いかにして稼ぐか、生きていくかを荒波に揉まれながら模索し続けた男。

その偉大なる男が辿り着いた眩い光。
そう、それが・・・


デリバリーヘルス嬢ドライバー。


俺は一旦客に成り下がる。
だが、いつか俺が車を持ち、道を覚え、最強のカーナビを手にいれた時、まだ見ぬロマンを求め、消えることのない眩い光を目指すであろう。

皆様、どうか「Kやき」のご利用を宜しくお願い申し上げます。

星空夜の街