もしもし!うつる?
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海外ボケ

日本に帰ってきて仕事に復帰して一週間。
以前と同じ仕事をしているはずなのですが、
どうも要領を得られず戸惑うばかり。

なんでだろう?

モンゴルの大草原で昼寝

昨日に引続き、インターネットを調べていると面白いものを発見。


http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2009/2009_03.html


モンゴルでのお話。

モンゴルの大草原では水資源は井戸。その井戸を牧民が自立的に維持管理していくためのシステムを開発した、というプロジェクト。


現金収入が少ない現地で、井戸の維持管理費用を集めることができない。そこで、現金の代わりに雌羊をみんなで出し合って、それを財源とする銀行(羊行?)を設立する。そして羊を通貨として、井戸改修の仕事をする人たちに支払っていく、というもの。


ここでミソだなぁ、と思ったのが、「羊行」に預けるのは雌羊というところ。繁殖することによって羊の頭数が増える。すると銀行の利子と同じで、ただ預けているだけでどんどん増えていく。すると上手くいくと、利子だけで井戸改修費をまかなえるかもしれない。「羊行」を運営する「羊行員」っていう人も出てくるかも。


今携わっているプロジェクトでも、井戸の維持管理費用は村人が自主的に積み立てていくことになっている。しかし地方の村に行くと、積み立てられるほどの現金収入がないのではと思われる村が多く、実際ポンプ等が壊れても修理せず放置されている井戸が多く見られる。


そんな中で現金にこだわらず、農作物や家畜で積立・貯蓄・支払をまかなえる仕組みがあれば、井戸も継続的に利用され、村人の生活も向上するかもです。


モンゴルの大草原。

一度、「大」の字で昼寝をしてみたい…

コモロ共和国プロジェクト

井戸を使って新しい生産の場を作れないか。

そんなことを思う最近。


同じことをしている事例はないかと調べているなかで、

クボタのプロジェクトを見つけました。


http://giweb.kubota.co.jp/back_number/vol_7/vol7_1.htm


内容は、小さな島国コモロ共和国でのプロジェクトで、限られた水資源を有効に利用し、住民の生活用水を確保しつつ農業生産を図る、というもの。その水資源として井戸が利用されている。


それまで村人は縄で吊ったバケツを使って水を汲んでおり、農業を営むこともままならなかった。そこにプロジェクトによって揚水ポンプと発電機が設置され、貯水タンクを利用するシステムが導入されたことで、自給自足の農業から換金作物を育てる農業へ発展し、村人は確かな収益を得ることができるようになった、というもの。 あるサイトでは、現在汲み上げた水の70%は生活用水、30%は灌漑用水として利用されているとか。


そして特に乾期における灌漑用水としての井戸水が農業生産の安定に欠かせない、という点は一つのアピールポイントになるだろうと思いました。


その他に過剰揚水の防止、生産物の輸送費の削減、管理組織の育成などの課題が見受けられました。

これらを少しずつ分析していくと面白いかも。

何がいいだろう

先日のひらめき。

「水のないところに水を供給することで新しく生産の場ができる。」

これをちょっといじってみることにしました。


もともと井戸を設置する目的は、飲料水の供給。

そこにさらに、生産の場、現金収入の場を加えてみてはどうだろうか。

現金収入の方法として一番初めに思いつくのが、農林業。

では、農業を営むとしてどんな作物がいいのか。


そこでFAOの統計データを調べてみました。

http://faostat.fao.org/site/342/default.aspx


ベナン新発見。

2008年のデータではありますが、

農産物生産量(金額ベース)トップ3は、

1、ヤム芋

2、キャッサバ

3、綿花


農産物輸出量(金額ベース)トップ3は、

1、パーム油

2、綿花

3、カシューナッツ

この3品目で輸出額の90%以上を占めていました。


ここで疑問。

ヤム芋・キャッサバってどこで採れるの?

パーム油って何に使うの?


ちなみに…

ヤム芋はベナンの名物料理ニャンピレの原料として、

キャッサバは、日干しして毒抜きし食用(ガリ等)に用いられる。


ん~知らないことばかり。

ただ農業の目的が自給用ならば、気候に適した生産量の多い

ヤム芋やキャッサバを栽培することがいいのでしょうけれど、

現金収入が目的であるならば、同じことをしていては

効果が少ないのではないか。


水供給源として井戸を使っている点。

地下水という水を使っている点。

これらを踏まえて作物を選定すればいいのか?


ん~何がいいのだろう?


新しい試み

先日、検査のため新しく新設した井戸に行ってきました。

ポンプを設置してから3ヶ月ほど経過していました。


久しぶりに行ったそのサイト。

周囲の変わりぶりにあっと驚きました。


以前は、ポンプ設置当初は手入れの届いていない畑と

草むらに囲まれていたのですが、今回行った時には、

ヤシの葉で屋根を敷いた苗床や小袋に入った苗が並べてあり

村のママ達が歌いながら迎えてくれました。


彼らは、井戸水を使って苗を生産していたのです。


「水のないところに水を供給することで新しく生産の場ができる。」


このサイトを見てから一つの自助的で持続的なコミュニティを作るために

井戸を利用できるのでは、という考えが生まれました。


井戸を新しく新設してもメンテナンス不全や補修費不足によって

そのまま放置されている井戸を数多く見てきました。

そのなかで、井戸をただの生活用水のみに使用するのではなく、

一歩進んで生産の場として利用できれば放置されることも少なくなる。

結果的に村人の生活が向上するのではないか。


想像は発展して、あわよくばベナンを農業大国に出来るのでは、とも思ったり。


新しい試みになりそうです。

プロの仕事

先週一週間、完成した施設を役所に
引き渡す検査のため出張してました。
そして帰ってくると東北地方で大地震。

死者が万単位になりそうということで、
いたたまれない気持ちになりました。

自分にもできることはないか、と考えたとき
以下のサイトをしりました。

<今村岳司XDL>
http://xdl.jp/diary/#20110314

今村さん自身阪神淡路大震災を経験された方。

これを読んでウヤムヤが晴れた気がしました。
被災者の方の救助・救援は、今のところプロに任せて、
とにかく今自分のしている仕事をしっかりすること。
そのプロからの要請があれば応えること。

災害復興や国際協力と呼ばれるものについて、
世間が関心がある間はうまく回っていくのでしょうけれど、
その関心が失われ始めたときが、一番大事だと正念場なのだろうな、
と思いました。

仕事にしてもやる気があれば多少の困難は乗り越えられる。
問題なのは、気分の乗らないときにどう対処するか。

そんなことを考えました。

まずは募金。募金。

溜まり水!

先日、とある村に向かっている途中、橋を渡ろうとすると、川の中に立っている大人の男を発見。その川の水を飲んでいました。川といっても雨期以外は干上がっている枯川(ワジ)で、雨期後久しぶりに降った前日の雨で多少の水が流れていたのですが、水は澄むことなく茶色く色付いていました。


そこで色の付いた水、濁りのある水を飲むことによってどのような問題があるのか。

水質項目でいうところの色度と濁度について、再びWHOの飲料水水質ガイドラインを紐解いてみることにしました。


以下、抜粋。


色度に関する水質の着色原因としては、1)土壌・泥炭・植物の腐食から生じるフミン酸やフルボ酸等の有機物、2)鉄・マンガンなどの金属物質、3)工業排水による汚染物質、が挙げられる。


水中に含まれているフミン酸やフルボ酸等の有機物自体は有毒ではないが、有機物によって水中の微生物が増殖すると異臭が生じる。塩素消毒を行ったときには、トリハロメタン等の飲料水に適さない物質が生成する。また多くの金属はフミン酸と結合して溶出しやすくなる。


飲料水水質の基準として色度は15TCU(True Colour Unit)以下が望ましいが、状況により値は変わる。特に、経過観察をしている中で明らかな色の変化が見られた場合は、着色原因を特定する必要がある。


濁度は土粒子が主要因であることが多く、水中の微生物との関係が強い。土粒子表面から溶出した養分により不純物のない水に比べて微生物が速く増殖するからである。


飲料水質の基準として濁度が5NTU(Nephelometric Turbidity Units)以下であれば飲料水として適用できるが、微生物の影響を考慮すると、出来る限り低い値が望ましい。


以上、抜粋。


以上のことを考慮すると、色や濁りがある水で気をつけなければいけないことは、水中の微生物。資料の中には濁度が4~84NTUのとき大腸菌が確認されています。


当たり前のことですが、見た目は大事なのですね。


ちなみに、そのワジのすぐ近くに新しく井戸を設置した村があるのですが、現地語が分かる運転手の話によると、川の水を飲んでいた男は、そこの村人に井戸水を汲むのを拒否されたのでは、とのこと。


井戸の使用料を徴収して井戸を管理していくために、不正な使用を拒否することは正当な対処なのでしょうね。

ただ、少しは融通を利かせてもいい気もしますが。

井戸水と溜まり水

ベナンには大雨期と小雨期があります。

前者は6月から8月頃にまとまった雨が、後者は10月から11月頃にかけて霧雨のような雨が降ります。ただ、2010年は今までにない降雨が続き、国連に援助を要請したほどでした。


そんな雨が多かったときのこと。

新しく設置したにも関わらず、設置後もほとんど使われていない井戸がありました。設置後の数週間経って使用状況を見に行ったのですが、井戸の周りには雑草が生えており、井戸元のコンクリート表面には砂が積もっていて、使用されている気配を感じませんでした。


村人に話を聞いてみると、「ポンプのペダルが重くて水が汲めない。家の周りにある溜まった雨水を使っているから、井戸はいらない。」とのこと。


清潔な井戸水を汲むためにポンプを動かす労働と比べると、多少衛生的に悪くても家の周りにある手頃な水溜まりの水の方がいい、ということなのでしょう。


井戸を設置した立場からすると、、「溜まり水は衛生的に良くない」ということで、新しく設置した井戸を使って欲しい、いう思いがあるのですが、使用する村人の立場からすると、家の周りに水があるうちはその水を使い、その水がなくなったときに井戸水を使う、ということなのかもしれません。


衛生状態を改善するためには、ただ井戸を設置すればいい、ということではなく、その井戸を使用しやすい状態にしなければ改善にならない、ということなのでしょう。


「援助」という名目で仕事をしていると、「俺たちが井戸を作ってやってるんだ」という姿勢が知らず知らずに出てきて、本当に必要とされていることが見えなくなっていると思うときがあります。本当に必要とされていることを見つけること。それができないと、本当の「改善」はできないのかもしれません。

水を汲む子供たち



水道をひいていない村では、主に女性や子供たちが日々の水汲みの仕事をしています。これは、今まで訪れた村に共通していて、現地に根付いた習慣であると考えられます。このことについて、「女性の社会進出を阻害している」だとか、「子供たちの教育を受ける機会を奪っている」だとか言われています。

確かにそういう側面はあるかもしれませんが、ある村で見た子供たちはとても楽しそうに水を汲んでいました。井戸の近くで実際に水を汲んだりしている他に、何人かで協力して水で満たされたタライを頭に乗せたり下ろしたり、汲んだ水を他のタライに分けたり補充したり。


その姿を見ていると一種のクラブ活動のように思えてきて、水を汲むことで協同して何かを成し遂げる、ということを学んでいくのかな、と思いました。



特に印象に残ったのが、頭に水の入ったタライを乗せて真剣に水を運んでいる子供たちの顔でした。「ボクはこれだけの水を運べるんだぞ、すごいだろ」「ワタシは家族のために働いているのよ」とでも言いたそうに、半分笑い半分真剣な顔でこっちを見ながら、家に水を運んでいきました。これは私の個人的な印象かもしれませんが、少なくとも子供たちから、労働をさせられている、というネガティブな雰囲気ではなく、自分たちも仕事ができるんだぞ、という自尊心のようなものを感じ取りました。


ただ「水を汲む」といっても、それが労働には代わりないものの、お互いに協力することを学んだり、子供たちの自尊心を満たしたりする側面もあるのではないか、と考えさせられました。


にしても、やっぱり重そうです。

ベナンでおいらも考えた-水を汲む子供たち(1)

フッ、フッ、フッ素

前回に引き続き水質に関すること。


今まで新たに設置した井戸のなかで、5本の井戸で地下水中のフッ素濃度がWHOが飲料水ガイドラインの中で推奨する基準値1.5mg/Lを超過していた。また、1本の井戸で基準値を僅かに下回っていた。


この水を村人が飲み続けるとどのような問題が生じるのか?

WHOの飲料水水質ガイドラインを紐解いてみた。


~以下、引用~


フッ素は地殻岩石の鉱物中におよそ0.3g/kgの割合で含まれている。

地下水中のフッ素は鉱物中のフッ素に由来すると考えられ、地殻中にフッ素を多く含む地域では10mg/L程度含まれ、高いところでは2800mg/Lという報告もある。


フッ素は人間や動物にとって必須元素であるが、その最低必要量を明確に示している報告はない。目安として、1mg/kg(体重)と言われている。


フッ素を飲料水から長期的に摂取すると骨や歯の組織に負の影響を及ぼす。

低濃度(0.5mg/L程度)のフッ素濃度であれば、特に幼児期において歯の虫歯に対する抵抗力をあげる。

一方で、フッ素濃度が0.9~1.2mg/Lの飲料水を摂取していると、穏やかな歯のフッ素症が生じることがある。温暖な地域では、飲料水が1.5~2.0mg/L以上だと明確な歯のフッ素症が生じたという報告があり、より暖かい地域では、飲料水の消費量が多いためより低い濃度でも歯のフッ素症が生じている。

また、3.0~6.0mg/Lの飲料水では骨組織に深刻な影響を及ぼし、10mg/L以上となると骨機能を失う恐れがある。アメリカでは、骨のフッ素症を予防する基準として4.0mg/Lを提唱している。


以上のことから、WHOでは飲料水中のフッ素濃度は1.5mg/L以下とする値を提唱しているが、明確な裏づけはない。ただ、この数値以上であると、歯のフッ素症さらには骨のフッ素症を引き起こすリスクが高くなる。しかし、地域により気候、環境、水以外からのフッ素摂取等を考慮する必要がある。


~以上、引用~


ここで、歯のフッ素症とは、フッ素の過剰摂取により歯に褐色の斑点や染みができる症状であり外見は悪くなる一方で、白い歯に比べて虫歯になりにくい特徴がある。骨のフッ素症には、関節痛・骨粗しょう症等がある。


対象とした井戸の水質検査結果のフッ素濃度は、1.58~2.20mg/Lであった。対象とした井戸を設置した村人にしばらく訪問していないため、現在フッ素症が発症しているかわからない。ただ、経過観察として雨期が始まった、設置して3ヶ月後に行った水質検査では、前回より濃度は低下していた。


フッ素は飲料水外に、歯磨き粉、ケールの葉、魚、お茶、石炭の煙等から摂取される。村人は、質素な生活を送っていることから、水・食物を含めた全体的なフッ素摂取量は少ないと想像される。


歯の褐色症状が確認されない範囲であれば、むしろ村人にとっては好ましい飲料水と言えるかもしれない。