3/12 ガソリンを探す為に多賀城方面に車を出した

仙台市の中心部はお店などの片付けできた車で混んでいた


交差点には警視庁のパトカーが停まり手信号で誘導していた


音楽も流れてない街はサイレンとヘリコプターの音だけが一晩たっても止まずに聞こえた


バイパスを走ると至るところで道路が陥没している


崩れ落ちた建物が沢山あった


産業道路を多賀城市に入った辺りで雰囲気は変わった


津波の痕跡だった


ひっくり返った車や歪んだトラックの荷台
まだ海水も引いてなくて通行も不可能な状態だった


まだ車内に人が残ってるであろう車が何台も建物の中に刺さっていた


一晩たっても夢を見ている感じだった


信じたくない気持ちで窓を開けて何度も外を見た


この前まで通ってた多賀城のラーメン屋は骨組みだけになっていた


自分の住んでいたマンションに向かったが国道が通行不可能な状態のために自衛隊に止められた


その先にはまだ黒煙をあげているコンビナートが見えた


多賀城の友達は大丈夫だろうか…


帰り道にガソリンスタンドに車の列が見えた
並んだのはいいけど100番目くらいだろうか…


節約の為にエンジンを切りながら2時間くらい待った


あと数台の時にガソリンスタンドの従業員がきて燃料切れとのこと


しょうがなく引き返した


辺りはすっかり暗くなった


今日も暗闇で過ごすのか…


中心部に入ると一番町と勾当台付近の街灯が点灯していた


市役所付近は復旧したみたいだ


車をバーの上がったままのパーキングに駐車


仕事の仲間と電気の復旧した国分町へ行った


牛タン屋さんがおにぎりと豚汁を売っていた


何人かで集まってビルの踊り場で食べた


ビルの下にコンセントがあったのでみんなで延長コードを挿して充電した


この時はやっと安心出来た気がした


余震が続くなか不安でこの日は会社の事務所のソファで寝た

20:00 寒さと疲労が限界だった

仕事の事務所に行く予定だったが携帯は繋がらない

直接事務所に行こうと思いひとまず自宅玄関に置いてあった懐中電灯を取りに戻る事にした

マンションの非常階段を携帯のライトを頼りに六階まで登った

人の気配は無い

玄関を開けると足元に懐中電灯があった

その時も不気味な音が響いて余震がきた

怖くて走って外に出た

外はひたすらヘリコプターの音とサイレンが鳴り響いてた

東北一の繁華街国分町も車のヘッドライトだけで通行人の顔も見えない

色んな所でビルの壁が崩れ落ちている

ビルの非常階段を上り事務所の扉を開けた

物が散乱して人の気配もない

とりあえず非常階段に戻るとひとつ下の階の扉が開いた音がした

ライトを照らすと仲良くしていた契約店の社長さんだった

うちの事務所でみんなで過ごそうよと言われて凄く嬉しかった

事務所に入るとスタッフ数名が固まっていた

暖房もつかない部屋は寒くてみんなダウンを着て膝にタオルをかけている
光はパソコンのマウスの光だけだった

それでもみんなでいるだけで幸せだった

途中車で携帯の充電をする話しになった

そこで一人のスタッフが携帯でみんなが見たかったニュースを見た

津波のニュースに聞き覚えのある街の名前が聞こえみんなが一斉に彼の携帯を囲んだ

石巻 東松島…
多賀城は少し前まで住んでいた街だ
閖上は地元も近く友達も沢山いる
陸前高田は毎週仕事で行って昼休みは海でのんびり過ごした

地形もわかるし携帯の小さな画面からも大変な事になってるのがわかった

思い出の場所
通り慣れた道を炎があがってる黒い波が飲み込んでいる

信じられなかった

携帯を見てるスタッフは石巻出身だ

僕たち地元人もまさか津波が到達するなんて予想も付かない所も一瞬で飲まれていた

きっと自分がそこにいたら避難しなかっただろう

みんなただ無言で携帯を見つめていた

半日前まで何事も無く生活していた

あの瞬間に全てが無くなったんだとここで初めて実感したと思う

自分がアーケードを歩いてる頃
身近にいた沢山の人々があの黒い波に飲まれた

ニュースを見てあんなに恐怖を感じた事は今までに無いと思う

暗い事務所でひらすら無言で携帯を見続けた

続く
3/11 14:30 起床

ベッドのかなで携帯のメールを返信

14:46 着信音ではない音が鳴った

緊急地震速報だった

直後に揺れ始めた

ベッドの上で揺れが収まるのを待った
でも揺れは突然強くなり布団と一緒にベッドから振り落とされた
そこにハンガーにかけてた衣類と鏡が倒れてきた
揺れは収まるどころかさらに強くなってテレビやタンスが全部倒れた
立ち上がる事も出来ずにただ床の上で布団で頭をかくした
長かった…
5分くらいしてだんだん揺れが収まってもまだ揺れていたマンションの廊下から「逃げろー」と叫び扉を叩く音が聞こえた
火事?それとも倒壊寸前なのか
怖くなり慌て服を着て携帯と財布をとりタンスや散乱したガラスの上を越えて外に出た
横の公園に行くとぞくぞくと避難してきた人達が集まり始めた
信号は消えている…
ビルから凄い音が聞こえて余震がきた
みんなが一斉に走り出して公園に逃げる
あっという間に公園は人で埋め尽くされた
遠くからサイレンの音が聞こえる
黒煙があがってるのも見えた
携帯のワンセグをみると震度は7
大地震だった…
そして聞いた事もない大津波警報が発令されていた
この時はまだそんな被害が出るとも思わなかった
よく状況も掴めないままマンションに戻るのも怖かったのでアーケードを歩いた
不気味な光景だった
割れた窓ガラスが飛び散りビルから水が吹き出している
音楽もながれてなくて信号機の止まった交差点は大渋滞
ただ行き場の無い人達が歩いてる
何が起きたのか?
消防車のサイレンと無数のヘリコプターの音だけが聞こえる
追い討ちをかける様に突然大雪が降りだした
きしむ様な音がアーケードに響いた
余震がきた
アーケードから悲鳴が聞こえて一斉に屋根の無い交差点に人が走る
寒さと恐怖で交差点の木の下でただ立ちすくしてた
もう一度ワンセグを見たとき津波到達などのニュースが聞こえた
いつ充電出来るか分からないので携帯を使うのはと使用をやめた
何時間歩いたか覚えていない
気付けばいつもは明るいアーケードは停電の為に通り過ぎる人の顔も見えないくらい暗くなった
車のヘッドライトだけが頼りだった
ひたすら鳴り続けるサイレンの音とヘリコプターの音
ビルから聞こえる非常ベルの音が今でも忘れられない
情報も無く自分の事でいっぱいでその時に起きていた津波の被害なんてその時は想像もしてなかった

真っ暗な仙台の街をただ歩き続けた

続く