シンクロニティ ワールド

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今から約3年半前、それは2012年の3月のことでした。


東北の震災跡地を見に行って、そこで様々なものを自分の

目で見、地元の人達の声を聞き、それまでもっていた自分

自身の価値観、殻を突き破った僕は、福岡へ戻ってくるなり、

自分の人生の再出発に向けて、力強くこぶしを握っていました。


行く前は、魚の死んだような目をしていた僕の、あまりの激変

ぶりに、その姿を見て一番に驚いたのは母でした。


「あんた、生き返ったね! うゎ~、よかったよかった! 先週

までのあんたとは大違いやね~!」


そう言って喜ぶ母の姿は、それはそれは相当なものでした。


「あのさー、帰ってきて早々にこんな話をするのもなんなん

だけどさー」


僕はそう言って、ちょっとだけ言葉を止めて母の顔をまじまじ

と見ました。


「こんな話って…?」


突然、前置きもなくそういう風に振られた話に母は少々戸惑

いを感じながら、その僕の真意を、少し心配そうに探ってきま

した。


「俺さー、もういっぺん、1からやり直すわー。 全てを完全

にやり直す! 外国に行ってくるわー!!」


そう言い放つ僕を見て母は唖然とした顔をし、その後、動きが

停止しました。


「が、がいこくって、どこ…??」


「バリ島!」


「ばりとう?」


「うん、バリ島!」


母はそれを聞いては、暫くはじっと何かを考えているようでした。



「あんた、そこに行って何をするというと? そこに何があると?」


母は驚きを隠せない顔つきで、問いただすように僕にそう尋ね

てきました。


「何もないよ! 当てなんか何もない! ただ、俺は新しい俺の

人生の出発は、今度は日本ではなく外国でしようと、そして、

それならば、その外国は、バリ島がいいと、そう思っただけだよ」


そう言いながら、母の顔を見ると、その驚きは先程よりも更に

増して、半ば口をポカンと開けてびっくりしたような感じになって

いました。


「あ、あんた、何をそんなに急に…、 あ、あんた、大丈夫ね…?

あ、あんた、当てもない、何もないって、そんなんでバリ島に

行ってどうすると? よく考えなさい! 何を急に言うかと思ったら、

もう、変な冗談言わないで! びっくりするじゃない!」


母はそう言いながら、僕の顔をまじまじと見て、心配そうにして

いました。


「冗談なんかじゃないよ! 俺は本気だよ! 俺は真剣なんだ!」


僕はそう言って、半ば固まりつつある母を見て更に言葉を続け

ました。


「あのさー、お母さんの言いたいことはすごくよく分かるよ…。

当てもない、頼る術もない状態で向うに行ってどうするんだって

いうのも最もだと、それも分かってる。 でも、最終的にはそこは

何とかしようと俺も思ってる! でも、考えたら駄目なんだ…。

深く考えたら、足踏みしてしまう…。 それが分かっているから、

難しいことは考えないようにしているんだ!」


僕は半ばそう言い放つように言って、じっと目の前に佇む母の

顔を見ました。


「考えないようにするですって? 考えたら行けなくなるから考え

ないですって? あんた、バカ??

あんた、頭おかしくなっちゃたの?

考えなきゃ駄目じゃない!! そんな大事なこと、考えないで、

その後がどうにかなるとでも思ってるの!?」


母はそう言い放ちながら、少しばかり訳の分からないことを先程

から言っているバカ息子を見ながら、少し興奮をしていました。


「自分の殻を脱がなきゃダメだって…、自分の安全と思える

セフティーゾーンを出なきゃ、そうしなきゃ今を超える成長はない

って、俺はそう思うんだ!!」


僕はその時に自分が感じていたこと、頭をよぎっていた思いを、

ただ迷うことなくストレートに、そう言い放ちました。


「分かるわよ! 言いたいことは分かるわ! でも、そこはバリ島

でしょう?

あんたが長年過ごしてきたこの日本とは違うのよ? そこを

分かっているの? 言葉はどうするの? あんた、ちょっと昔に

何回か旅行でバリに行ったからって、その時は旅行でしょ?

でも、今回のは、向こうで生活するって話でしょ?

甘いわよ! 甘い、甘い、甘すぎる!! 向うに行けばなんとか

なるですって? 言葉も通じないところで、あなたが1から生活を

作っていって、それでどうにかしていこうなんて、考えが甘いにも

程があるわよ!!」


母はそう言って、終いには本気になって怒り始めました。


「甘いかどうかは、向うに行って俺がそれを直に自分で経験

するよ…。

それがどれくらいのことなのか、今は頭でいくら考えたって俺

には分からない…。 もしかしたら今、お母さんが言ったように、

それはとんでもなく甘かったっていう話しかも知れないし、

でももしかしたら、そこまでの話じゃないかも知れない…。

でも、行けばそれは分かるよ! 行けば、その先に答えは

きっとある!」


僕はそう言って、興奮冷めやらぬ母の顔を、じっと見ました。



「それはバリ島じゃなきゃ駄目なの…。 外国じゃなきゃ駄目

なの…。 日本では無理なの…」


母はそう言いながら、先程とはうって変わっての寂しそうな

様相で、呟くようにそう言いました。


「自分を、今の自分を数段レベルアップさせたいんだ!

そうするには、にはそれがベストな選択だと、そう思えてなら

ないんだ…」


僕はそう言って、先程から急に元気をなくしてしまった母を

見ては、言葉を続けました。


「東北の震災跡地に行く前に、テレビを見ていて、ふと、

その言葉を聞いて、つい涙ぐんでしまったあの番組が

あったじゃん! 覚えてる?」


「ええ、プロレスのあの人…? 名前はなんだったけ…?」


「アントニオ猪木…」


僕は、実はこの時より遡ること3週間ほど前に、母の家で

居候になりながらも生活をし、その時に何気なく見ていた

テレビ番組を見て、不覚にも母のいる前で、思わずある

番組を見て涙ぐんでしまったということがあった

のでした。


それは、何かの番組で、過去の感動名場面の特集を

やっているもので、そこには、先程話に出てきた、

アントニオ猪木氏が、彼の引退試合の席で、見事なまで

の挨拶をし、それを見た僕は、何故だか分からなかった

けれども、突然それを見るや否や目に涙が溢れてしまい、

思わず、涙をぬぐわなければいられない、そういう状況に

なったことがあったのでした。





アントニオ猪木の引退試合感動スピーチ

あの時に見たテレビ番組とは異なりますが、同じ内容

だったので、これを張っておきます。

気になる方は、どうぞご覧になられてください。

では、続きは、また明日!(^-^)/