まず気に食わなかったのは、加工された色だった

青過ぎる空や、鮮やか過ぎる芝生、ソレっぽく着飾った派手な服

それらの写真からは、音楽が聴こえない

そのむこうでは、素晴らしい音楽が鳴っているはずなのに

軽薄が折り重なって

いびつな形の石になって

それは私の半身の重石になる

舌打ちをし、悪態をつき、寝返りをうつ

そうして久しぶりに味わう不穏を少し歓迎し、こうして書いている

苦しいことは確かだから、あの子に会いたいと思うけれど、気分が優れないから、同時に疑う

わたしには、愛する誰かが、かつて本当にいただろうか

家族、恋人、友人、その類

わたしはわたしを容易に騙す

人はときに、自らに嘘をつくことにこそ、長けている

感情を、無意識で操作する

だから、いちいち信じようとしたり、疑ったり、歌をうたう

あの子のそばにいるときの、あの感覚、そう、感覚だけ

それは、確かだ

いつまで続くのかは分からないけれど

あぁ、犬

アビィ。あいつだけは、間違いなく、心から、愛した

好きなものも、嫌いなものも、たくさんある

好きなものは守りたいし

嫌いなものは壊したい

この二つを同時に分かりやすく成すことができるのが、わたしにとっては、音楽だ

好きなものを創り、示し、以って嫌いなものに中指を立てる

きっと知らぬうちに、何に対しても、似たようなことをしているのだろうな

きっと、嫌われている

そして、それが気にならない

要らないよ、目障りなんだ

そんなことより、薬が効いてくれないと、動けない身体をどうにかしないと

ライブして、酒飲んで、女抱いて、イカした服着て、バイク乗って、好きな写真を撮りたいんだ

とりあえず今日は、眠れるまで、酒とスタビライザーと、あの日の記憶を

曇天と、枯葉と、ボロけたスニーカーのイメージ

天井と空の違い