『メイズランナー』の見方。~コンフォートゾーンの移動とホメオスタシスの働き~





つづき。



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壁の向こうに行ったトーマスに、ミンホは言う。

『自殺願望かよ!?』



何を言われても、トーマスはミンホとアルビーとの3人が助かるにはどうしたらいいのかを模索する。


ミンホと2人でアルビーを運んで行くが、何処に行ったらいいのか何のアイデアもない。

とりあえず、何処かへアルビーを隠そう考えるトーマスだけど、ミンホはどうせもう死んだようなものなのだから…と、自分達だけでも逃げようとする。


けれど、トーマスは諦めない。

何とかして3人で助かる方法はないかと思考して、ミンホを説得し続ける。




そんな時に、グリーバーの叫び声が聞こえてくると

ミンホ『やっぱり無理だ、置いていこう。』

…とアルビーを置いて逃げようとする。




トーマス『何言ってるんだ、放っておけないよ。どこかに隠さないと!』


ミンホ『どこへ?』


トーマス『知らないよ。お前の方がここに詳しいんだろ?どこかいい場所はないのか?』


ミンホ『どこまでめでたいんだ新入り!周りを見てみろ!どこにも逃げ場はない。俺らはもう…死んだも同じだ…』



でも、トーマスはめげたりしない。諦めない

ミンホの後ろにある壁に蔦が張り巡っているのを見て、トーマスは閃く
アルビーを蔦の上の方に隠そうと。




ツルをアルビーに括り付けて上に挙げている最中に、ミンホが何度か逃げようとするのを、トーマスは引き止めていたけれど…

ミンホはグリーバーが遠くから向かってくる姿を見てしまう。




ミンホは、『すまん、新入り!』と言い残し、逃げ去ってしまう。





1人になったけれど、トーマスはなんとかアルビーを蔦で覆われた壁の上の方に固定し、自身も蔦の葉の影に隠れてグリーバーが通り過ぎるのを息を潜めて待つ。




グリーバーは、動物のような、機械のような…不思議な生き物だった。




トーマスも何処かへ逃げようとするけれど、グリーバーに見つかってしまう。


逃げても逃げても追いかけてくるグリーバー。


壁の上に登っても追いかけて来るし、

壁から壁へ飛び越えても着いてくる。

行き止まりになり、向かい側の壁の蔦へ飛びつき、降りて行くのにも、飛びかかってくる。




もう絶対絶命かと思った時に、隠れていたミンホがトーマスを見つけ、『コッチだ!』と逃げ道を教え、

『動く壁』を見つけ、そこを通り抜ければグリーバーから逃れられるというところで…




トーマスは身を呈してグリーバーを誘い込む。




閉じる壁と壁の間に、グリーバーを誘い込めば、押しつぶされるだろうと閃いて



ミンホ『トーマス!何してんだ!早く来い!』


そうミンホは叫ぶけれど、トーマスは自ら囮になる。


グリーバーにわざと見つかり、『動く壁』に誘い込む。





トーマス『さぁ来い!来やがれ!!こっちだ!!』


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ミンホ『走れ!後ろを見るな!!走れ!トーマス!早く!!もう少しだ!!!トーマス!!!』


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思惑通りに、グリーバーは壁に挟まれたのでしょう。





朝になり、壁の内側の世界の男達は、彼等が戻ってくるかどうかを見守っているが、すぐに3人の姿が見えないために、諦めてしまう。


ニュート『言ったろ、チャック…戻ってこないって…。』






そこへ、3人が姿を現す。


チャック『嘘だろ!??生きてた!!!』



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男達に囲まれて、トーマスとミンホはグリーバーを殺したことを伝えると…


今までに誰もやれなかったことだと称賛する者もいるけれど、そのことによって悪いことが起こるとトーマスを責めるギャリーもいた。


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ギャリー『変化が起きている。それは間違いない。まず、ベンが昼間から刺された。次にアルビーだ。そして今度は新入りが自分の意思で勝手に迷路に入って行った。この空き地でのルールの明白な違反だ。』



フライパン『あぁ、でもアルビーの命を救った。』



ギャリー『そうかな?この3年間、グリーバーとは上手くやってきた。だが今、こいつが殺しちまった!ヤバイことになるかも。』



ニュート『じゃあどうしろって言うんだ?』


ギャリー『新入りを罰する。』




ルールを破ったトーマスに対して、罰を与えたいギャリーと、

アルビーを助けたとトーマスを称賛したい男達。




その正反対の反応の中で、ニュートはミンホの意見を聞く



ミンホ『そうだな。今までここに住む誰一人、グリーバーを殺した者はいなかった。俺が逃げ出した時、この新入りはアルビーを助けようとした。勇敢なのか馬鹿なのか…解らない。だが、こんなのがもっと欲しい。彼をランナーにしよう。』




そこで、物資を運ぶ機械が動く音が聞こえて会議は中断する。




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ここまでで感じたことは、コンフォートゾーンから出ようとする者に対しての反応の違いを、解りやすく描いているなぁということと…

グリーバーから逃れ、倒す為に、トーマスはその場その場で最善の方法を見つけ出し、瞬時に行動に移すことの素晴らしさ。




迷路の中を細部まで知っているミンホは、グリーバーの姿が見えた時に、仲間を捨てて逃げたのに…

初めて迷路に入ったトーマスは、解らない状況の中でも多くの閃きによって、最善の方法を見つけ出していく





この、【姿勢】の違い。





諦めるミンホ


諦めないトーマス





この違いが何なのか?






ここが、コンフォートゾーンから出て、自身のコンフォートゾーンを広げていける人と、出られない人との違いだと感じました。




ゴールを設定して、『夢は叶う!』と唱えるだけでは、現実には叶わない夢を…ただ夢見てるだけになるのでしょう。




行動力と、決断力。

その根っこにある勇気。

諦めない気持ち。





それがないと、コンフォートゾーンから出て自分の世界を広げるのは出来ないのだということを、描いていると感じました。



トーマスは、初めての場所だけど、その場その場で問題解決のヒントを見つけ、閃く。



諦め、逃げようとするミンホは、きっとこれまでのコンフォートゾーンではないために、恐怖心に駆られ、その感情に支配されているために、問題解決のヒントも見つけられず、何も閃かない。



これが、ゴールに向かっている時の状態なのか、そうではないのかを表していると思いました。





つづく。