恋愛散文
あたしは弱い。
だからイゾンやシュウチャクをすることは
たやすいのだ。
何かの理由を
誰かに求めることは
本当にたやすい。
現に 今
ふっと気がつくと
君に
イゾンやシュウチャクをしようと
心の奥の
ずるいあたしが
こっそりと囁く。
だけど
ねぇ?
そんなあたしは
きっともううんざりでしょう?
泣いてばかりのあたしなど
きっともう見たくはないのでしょう?
だからあたしは
自分自身の力で
君の隣に立つために
イゾンやシュウチャクをすることを
振り切ろうとするの。
君の隣で
君と公平に並んでいたい。
弱さゆえの
あたしの
生きる望み。
本当は繫ぎたくてしょうがないのに
なかなか君は
この手を握ってくれない。
それがなんだかくやしくって
わざと君と離れて歩いた。
すねたように君の前を歩くと
後ろから君の視線を感じる。
しょうがないなぁ
君の細い目がそういってるのがわかるよ。
後ろは振り向かないようにしてるから
君の顔なんて
ほんとうは見えないんだけど
君がどんな顔してるのか
君がどこを見てるのか
あたしにはわかってしまう。
君はきっと
もっと目を細めて
だまってあたしの手を
見つめてくれているんだね。
寒さの戻った
冷たい春の風が吹いているのに
あたしのこの手は
君の体温が伝わって暖かい。
ふと思い出すのは
いつだって君の事。
2人で出かけたあの日
あたし達はそれぞれに
運命の赤い糸をつなぐという神様に
赤い糸を結んだ。
どうかあの神様が
永遠に切れぬように
解けぬように
きつくきつく
あたし達の赤い糸を結び付けてくれればいい。
毎日それを願いながら
あたしは眠る前に
2人で結んだ糸の欠片を
愛おしそうに握りしめる。
君が毎日持ち歩く
新調したばかりのお財布にも
同じ欠片が結びついていることを
密かに思い出しながら。

