パリ症候群を読んで、特に興味をもったのは・・・?全般!パリに来たものの馴染めない、あるいはコミュニケーションに問題があるため、精神的に追い込まれてしまう例がいろいろありました。
コミュニケーションになぜ問題があるのか、というと、おおよそ、日本式のコミュニケーションをフランスでも通用するものだと思って使うから。このやり方はフランスでは通用しない、と理解し、フランスのやり方を学べばよいのですが、通じないこと自体にショックを受け、くよくよしてしまうことが多いのですね。だから、そこで行動もストップしてしまうのです。
最近、フランス人から面白い質問がありました。
「日本人は握手しないのですか?」
「しませんよ」
「ぜんぜん?」
「基本的にぜんぜん」(おエライ様はしてるかもしれないので)
「じゃあ、ビズ(ほっぺにキス)は?」
「ないない」
「ほんと?親しい人でも」
「ない」
「誕生日とかでも?」
「基本的にあいさつには肌と肌を触れないからないんだってば」
「え~~ビズは普通のことで、世界的な挨拶なのに!」
このフランス人の場合、日本に行くと馴染めなくて疲れてしまいそうです。
最後のセリフにご注目。
「ビズは世界的な挨拶なのに」
これが一つの思い込み。とも言えます。・・・・アメリカでも、ビズはしません。
フランスの習慣は、フランスだけ通用する、と思っておいた方がよいのです。フランスは世界の中心、でもありません。どの国も、世界の中心ではありません。
これが、パリ症候群の一つの例ではないかと私は思います。井の中のかわず、退会を知らず。おっと、大海を知らず。それを「いや、まちがいない、私の知識が正しいはずだ」と貫き通すと、えらいこっちゃになります。
でも、知らなくて当然なんです。だから、知っていて威張ることもないし、知らなくて恥ずかしがることもない。でも、いろんなことに「この国ではどうなんだろう?出身国と同じなのかしら?」と興味をもってあれこれ見ると、吸収の仕方も、生活への慣れも少しちがってくるのではないでしょうか。