バイリンガル・トリリンがる | パリと音楽と大学と

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パリにて声楽、シャンソンを指導。パリの音楽学校在学中より、フランス各地・ヨーロッパで様々なコンサートを経験。フランス国家公認声楽講師資格。アラフィフの物語を振り返るつもりです。

バイリンガル、フランス語でビラングと言います。フランスで過ごすフランス人は英語も扱えない人がたくさんいます。ひところそれは「フランス語に誇りをもっているため」など言われていましたが、とんでもない。話せないからなのです。

おきかえてみると「日本人が英語を話さないのは日本語に誇りをもってるため」でしょうか?

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外国について追い越すのが好きな日本は、そういうことがなく、英語を話すのがよいこと、なのかもしれません。だから逆のケースは「誇りをもっている」ように見えるのでしょうか!?もちろん、上の言葉はフランス人から出た言葉でしょうけれど。


パリは人類のるつぼ。フランス語が話せずに生きている人もたくさんいるかわり、字の読み書きができなくてもフランス語を話せる人がいます。読み書きなどというものは、書物が発達し学問が発達した世界のもの。人間はきっと、話すことで意思の疎通を図るのが、普通のことでしょう。ってことをインターネットで「書く」面白い時代ですが。


フランスにきて、へたでも発音がむちゃくちゃでも文法が本当にむちゃくちゃでも、話したそうにしていたり、実際ガンガン話している人がいるのに驚きました。フランスへ来た当時はそうして、劣等感を持った私。


移民の多いフランス。たとえばアルジェリアから来ている人は、お国では地元の言葉(アラブ語としておきます)ですが、ほとんどみなフランス語が話せる印象です。ひとときフランスだったのだから、当然ではあるのでしょうが、それはそれはあざやかです。アルジェリア人同士フランスで家庭を持ち、フランス人として生まれた子供たちも、家の中ではアラブ語、外ではフランス語、と、ごく自然にビラングとなります。フランス人との国際結婚をあまりしたがらない民族にこの傾向があるのかもしれません。宗教のちがいからか、アラブ系の人々は、同じ人種同士の結婚が普通。ユダヤ人はユダヤ人同士。中国系のコミューンも、どうも国際結婚はいい目で見られないのか、ユーロアジアンのカップルがめずらしかったりします。


国際結婚の例では、フランス人ではない人同士フランスで暮らすため、二人の共通語がフランス語。その場合、子供がトリラング、3ヶ国語を(少なからず)使い分ける可能性もあるのです。


北の国では、子音も母音も豊富なため、他の国の言葉の発音がうまい、という説もあります。国によっては、外国との商売や、観光が経済の重心をしめるので、英語を基本として二つ目の言葉をあやつるのが普通のように思えます。国全体の傾向として、第二ヶ国語の習得の得意不得意、あるいは、それが普通か特別なことか、という図がみえるよう。大陸の中の小国であったら、周りとの軋轢もあり、外国語なしではやっていけないのでしょう。





日本が島ではなくて大陸の中の国だったら?