夕暮れ伝説
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部屋

小説を書くときは部屋を暗くして書きまーす

えるぼーおじさん

 「あれは小五の夏だったなあ」

Yさんは大きな顎のおできを弄りながら、何回も話したことがあるのだろう、馴れた口調で語り始めた。


当時、受験生だったyさんは急ぎ足で塾に向かっていた。

最寄りの駅に着き、切符販売機の前で切符を買うため小銭を用意していると、肥った男がに割り込んできた。

「ふーふー」

その男は時間的には夕暮れ時で若干涼しくなってきたにも拘らず、尋常ではない量の汗が滴り落ちていたという。その上、汗とは違うなにか異臭とか麝香のようなものがその男にまとわりついていた。

そして男が財布を出したときに、小銭が地面に落ちたという。

「ふーふー」

男が小銭が落ちたことに気づいてない様子だったので、yさんは気付かせるため男の腰のあたりをたたいたという。

「ぶふっ」

突然何かがyさんの頭をかすめた。それは男の太い腕だった。男は振り向きざまにエルボーを放ったのだ。

困惑しているyさんを尻目に男は切符も取らず走って行った。


次の日、朝のニュースにエルボーを放った男がその同僚の女を殺した、殺人の容疑者として報道されていた。


「もう少し背が高かったら吹っ飛んでたよ。それにまさか殺人犯とは思わなかったよ。今思うと俺のことを警察だと思ったのかもな」


動機はもちろん「カッとなって殺した」

niko

にこにこしていきていきたいですよほんと