悠一視点
「はぁ。はぁ。」
疲れて言葉がなかなか出てこない。
だが、成功した。
愛生も北村さんも慎一も今までで一番よかったと思う。
「うまくいったよな!!」
慎一が俺たちを見る。
愛生と北村さんは頷き、俺は笑顔を返してやった。
「よし、これで全員終わったな。全員一回集まれ。」
クラスが先生の前にぞろぞろと集まる。
「みんな、よくやった。練習の期間いろんなことがあっただろう・・・。
それを忘れずにこれからも頑張っていくように。じゃあ解散!!」
俺は、この話を聞いたとき、少し不思議に思った。
ダンスに対していろいろあったが、それは別に忘れても困らないんじゃないだろうかと・・・。
「悠一~早く着替えようぜ~。次は音楽だっけ?」
「あ、ああ。」
そうして、ダンスの発表は終わった・・・。
放課後の校長室にて・・・。
コンコン。
「失礼します。学園長どうしたのですか?」
「澤田先生、今日の1年生のダンスの発表はどうでした?」
「はい。みんな良かったのですが、わたし的には1班すごいところと、2人すごい班があったと思います。」
「ほぉ。で、まず、班ですごかった所は高垣さんのいる班じゃないかね?」
「えっ?どうしてお分かりなんですか?」
「感・・・ですよ。ピンときただけじゃ。」
「・・・そうですか。その班員は、春風君、高垣さん、戸高くん、北村さんです。」
「なるほどね~。」
学園長は澤田が出した資料を見ていた。
「残りの2人すごかった班の2人は、山吹くんと中戸さんですね。山吹君と戸高君は私に頼らずに
自分たちでダンスを作り上げたんです。ほかの班は私に頼ってましたしね。さすが、天才の2人と言われているだけはありますね。」
「あの2人は、普通の人間と少し頭が違うからの(笑)」
「そして、春風君と中戸さんはリーダーシップが強くて、仲間をまとめるのが上手なんですよ。
でも、タイプで言ったら、慎一君は才能ですが、中戸さんは頭を使ってます。2人ともすごいと思います。」
「ふむ。」
「最後に高垣さんは積極性がいいですね。また北村さんは、パソコン能力やみんなの補佐などがすごいと 思いました。」
「・・・くっくっく。(笑)」
「いきなりどうしたんですか?」
「いや、今年は楽しそうな生徒が多くて面白そうだなと思ってな・・・。」
「それより、ダンスが終わった後クラスを集めて言った言葉っていう必要あったのですか?
学園長のお願いだから言いましたけど、ダンスのことなんか忘れてもいいんじゃないですか?」
「いや、あの言葉はダンスのことではない。そもそも声優を目指すものにダンスが必要かと思うかね?」
「・・・体力維持かと思います。」
「まあ、それもあるな。だが違う。私の年代の声優はダンスなんか踊れないよ(笑)」
「じゃあ、どうして?!」
「この声優界は厳しい。先輩との上下関係もある。なれない人だっている。その中で協調性がなかったら
さらに厳しい。せっかく声優になれたとしても辞めてしまう人もいる。だから班を作り、個人の創造性、協調性を豊かにする。・・・それがこのダンスの授業に入っているのだよ・・・。」