あの若い彼女の件で、俺はかなり荒れていた。

やけ酒。
機嫌も悪い。
家の空気も重い。

子どもの母親が、ある日ヒステリック気味に聞いてきた。

「何があったの?」

ごまかそうかと思った。

でも、もう面倒だった。

俺は全部話した。

4年以上付き合っていたこと。
日本に連れて行ったこと。
裏切られたこと。

その日は、なぜか笑った。

ニコッとして、ハグまでしてきた。

正直、少し安心した。

「ああ、受け止めてくれたのか」

そう思った。

でも翌日から地獄だった。

少し話しかけただけでブチ切れる。

何を言っても怒る。

ヒステリック全開。

空気が凍る。

そして、出ていった。

子どもを連れて。

1週間どころじゃない。

1か月。

昼間に一度だけ顔を出すことはあった。

でも夜は帰ってこない。

どこに泊まっているのかも言わない。

俺は一人。

静かな家。

広いリビング。

テーブルの上の物音だけが響く。

そのとき、少し思った。

「あれ? 俺のこと何とも思ってないわけじゃなかったのか?」

怒るってことは、
何かしらの感情はあるのか。

でも同時に思った。

言わなきゃよかった。

余計なことを言った。

1か月後、戻ってきた。

理由は特に説明なし。

何事もなかったように。

でも空気は変わっていた。

冷たい。

明らかに距離ができた。

俺は思った。

本音を言えば壊れる。

黙っていれば、自分が壊れる。

どっちを選んでも地獄か。

それが、この関係。