ロケット・ササキ | 鉄母の 子育て鈍行列車 

鉄母の 子育て鈍行列車 

鉄道関係のことが好きな母親を勝手に「鉄母」としました。
旅行や鉄道関係から、英語、教育、発達障害と、鈍行のおかげでネタの中身が寄り道いっぱいです。

 

 

図書館で何気なく借りた本です。


どんな業界にも、実は世界で有名なのは

総理大臣や大統領ではなく、一介の人と

いう場合があります。


ロケット・ササキこと佐々木正氏は

4年前に御歳102歳で逝去されたのですが、

シャープ(SHARP。早川電機)にいた伝説の

エンジニアです。京大出身で、かつ米国の

電気会社にも派遣された経験があるため

どういうわけか、スティーブ・ジョブズ氏や

孫正義氏を始め、今じゃ内外一人で名前を

言ったら皆知るところとなる人です。

そんな大物の技術者達が、「ドクター

ササキに聞きたい!」「佐々木先生なら

どういう反応をするだろうか?」

「佐々木氏にひとまず相談しよう」と

敵将でさえも(本によると、松下幸之助氏が

シャープの佐々木氏に講演を頼めとご指名

されて、創業者の早川徳次社長は何と

『せっかくのご指名なんやからお話を

してきなさい。それで潰されるシャープや

あらへん』と反応したそうな。お互いが

認めているんだなぁと思う話です。)

腕を買ってるんだとわかる話です。


しかも、30年前の若かりし孫正義氏の

発明に銀行が融資しないのを聞いて、

怒る風でもなく淡々と(この文章を読んで

きっとそうだろうことがよくわかります)

孫氏が行った銀行の顔の利く人に(支店長

クラスかそれ以上)「孫君って若者が融資を

頼んできたと思うんだけど」と口添えを

したら、「え?佐々木氏の知り合い?」と

手の平を返したように融資の話を進めた

エピソードがあったとか。


むかーしむかしには、冴えない風貌の

スティーブ・ジョブズが随分日本の

平成も中頃に佐々木氏の下を訪れて

色々話をした挙げ句、何と佐々木氏は

「ビル・ゲイツと共創しなさい」と

仰ったとか。敵将と言っても向かう

方向性が同じような所を目指していると

見抜いた上で話したアドバイスだった

ようです。その場では「ビルと?ふん!

ヤだねムキー」と、話の相談の相手の

ソニーの方の名前を教えてくれたり

話を付けてくれたことには感謝した

そうですが、ビル・ゲイツと同じ未来を

造るなんて事には骨が逆方向に曲がっても

嫌だって顔してプンプンだったんだとか。


でも、技術者の世界でなくても、

世の中どういう事でこの人達知り合いに

なったの?と不思議なくらい、人脈が

すごい方というのはいます。また、

その人はどこの国出身なのか関係なく

知り合った全ての人が信頼を置いてます。


信頼を置かれる人というのは、例え

日本語しか話せなくても見た目に

現れるもので、ちゃんとわかるんです。


戦前の台湾での高校時代での研究から

奇遇の縁と本人は仰ったようですが、

戦中、戦後の苦労の経験や渡米した

際の経験を、淡々と、でも大胆に

肥やしにして、ご縁を大事に技術界に

身を置いていた方だと知りました。


アメリカ人の社長や部長達でも、

この佐々木氏の性格をもってして

「ロケット・ササキ」と呼んで

いたのです。新幹線や飛行機よりも

速いんですよ!ロケットと言うことは、

先見性(先見の明)があり、行動力も

あり、部下や同僚、他社でも知り合った

人達の特技や長所をきちんと記憶して

結びつける外交官のような事も出来る、

技術者としてはとても珍しい方と

思われました。


CASIO(=樫尾4兄弟が起こした電卓を

はじめG-SHOCKやキーボードを扱う

会社です。)は響きから意外と日本の

会社と知らない日本人がいますが、

私はこういう会社なかなかないので

偉いなと思います。樫尾4兄弟の特技を

活かして同族経営していました。

つまり、4人がそれぞれ開発、設計、

広報や営業、生産や計画をうまく

分担していたということです。

同じものを兄弟がやるというのは

えてしてとても大変です。そもそも

同じものをやりたがらないでしょうし。


ですが、同じものを取り扱う一つ

屋根の下に、寝食だけでなく仕事も

同じなので、農家や漁師のようです。


名古屋でも、例えば味仙(台湾料理の

店。郭さんちの5兄弟がそれぞれの

店舗を持って切り盛りしてます)、

山田餅などの兄弟別々の店を切り盛り

している例はあります。


しかし、技術屋集団ですからね。


でも、これが今に繋がるカシオ計算機の

最初の姿と思うと、この4兄弟はちゃんと

お互いの度量や出来映え、持ってる技術に

尊敬の念を持ち、敬意を払い、協力して

いたんでしょう。


シャープとカシオは電卓界では最後まで

しのぎを削ったライバルです。お互いの

会社の技術者の事もよく知ってます。

(プライバシーがどうたらとか言わずとも

いつの間にかその筋の人とは名前くらい

見聞きするものです。昔のお殿様達も

噂はかねがね、なんて言っている時代劇も

あるけど、あれはほんとだと思いますよ。)


世界が知る人がもう黄泉の人。

今のコロナに振り回される世の中を

ロケット・ササキがご覧になっていたら

どうお感じになるでしょうね。


知らないだけで、病院の技術に詳しい

人同士を結びつけてうまく化学反応を

起こそうとしていそうですね。


今生きる方に、ロケット・ササキ二世は

いるんでしょうか?


どの業界にも、どの世界にもいてほしいと

願わんばかりです。私もそんな人と

知り合いたいです爆笑