卵巣がんと診断され

現在もお世話になっている病院。

 

 

過去にこの病院の医師に対して

泣きながら訴えたことがあります。

 

 

 

 

妹が子宮頸がんで入院中の時でした。

 

 

ステージ1bと診断され

骨盤リンパ節郭清を含めた広汎子宮全摘術。


 

術後しばらくすると

肛門が痛いと言い出しました。

 

 

「お医者さんにも何度も言ったけど

 痔でしょうって言うんだよ」

 

 

その時は

そうなのか、と思いましたが

なんとなく “嫌な予感” はしました。

 

 

 

次の日お見舞いに行った時

痛がる様子がただ事じゃありません。

 

じっとしていられないほどの痛み。

激痛で眠れないと。

 

涙も止まらない状態です。

 

 

 

ちょうど回診にきた先生に

妹は言いました。

「痛みが酷くて、ずっと痛くて

 眠ることができません」

 

 

すると先生

「痔ですよ。薬は出しています。

 様子を見てください」

 

「痔にしては痛みが強すぎます。何か違う気が」

 

と、まだ妹が話している途中で

先生は病室を出ていこうとしました。

 

 

 

先生の態度に私は思わず

 

「あんまりじゃないですか。

患者が痛みを訴えているんです。

まだ話してるんですよ。

涙が出るほど痛がってるんです!」

 

 

すると看護師さん

 

「他の患者さんの迷惑になるので

 別室でお話ししましょう」

 

 

 

そうだ、ここは4人部屋。

申し訳なくなり

病室の患者さんたちに謝りました。

 

 

すると患者さんたちは

 

「いいんだよ」

「私も先生の態度に悲しくなってたから」

「迷惑じゃない、大丈夫、大丈夫」

 

 

そんな温かい言葉をかけて頂いて。

 

申し訳ないながらも

言わせていただきました。

 

 

「先生が患者さんの話を聞いてくれないと

 誰に辛い症状を話したらいいんですか。

 先生の優しい一言で

痛みが軽減されたりするんです。

 接し方ひとつで

 病状が変わることもあるんです。

 症状を訴えている患者に背を向けて

 途中で立ち去ろうとする態度はあんまりです」

 

 

 

 

泣いてしまいました。


 

 

私の話しを聞いた先生が言いました。

 

「忙しかったのでね。

 もし他に症状があったら

 看護師さんに話してください」

 

 

 

 

唖然としました。

 

ちゃんと最後まで話しを聞いてほしい

寄り添って対応してほしいという

訴えは先生の心に届きませんでした。

 

 

 

 

どうしても納得いかない私は

相談窓口に行き

事のいきさつを話しました。




翌日

妹の主治医が代わっていました。

 


その後検査をし

肛門の痛みは「痔」ではなく

直腸への転移だと分かりました。

 

 

 

 

1年半の闘病の末

妹は亡くなりました。

 

 

 

 

今でも悔やまれます。

 

せめて妹の話しを聞いてくれて

寄り添ってくれる

心のある主治医だったらと。

 

 

私にとってかけがえのない

たった一つの命。




ちゃんと患者の話を聞いてくれる先生

だったとしても

妹の命は助からなかったかもしれません。


それでも妹が闘病する中で

信頼できる主治医だったらと

今でも思ってしまいます。

 




数年後

今度はこの病院に

私がお世話になっています。




私の主治医はとっても早口ですが

私の話す言葉を遮ったりはしません。


ひとつひとつの質問にも

超早口で詳しく答えてくれます。



信頼できる先生です。




患者と先生との相性もあるでしょうが

辛い状態の患者の心まで辛くさせる

そんな医師がいませんようにと願っています。