物を落とすことについて。

 

私はよく物を落とす。
物理的にがっちゃんと。
一日に何度も何度もなにかしら落とす。

まず仕事で使っているひざ掛けは、
立ち上がる度に必ず床に落とす。
いつも使っているのに、立ち上がる前にひざ掛けをどける、

ということに頭が回らないのだ。
立とうと思い立ったら、すぐにぱっと立ち上がってしまう。
本当に毎回のことで、床に落ちたひざ掛けを拾う度に、
つくづく自分はアホかと思う。


他にもいろいろと。
だから毎日毎日毎日、落としては拾い、落としては拾い、

を繰り返している。

少し理由を考察してみた。


■まずそもそも握力が弱い。

 私は子供のころから筋力がなく、握力も非常に弱い。
 だから何かを掴んだ時に、ふとした拍子に
  手を滑らせて落としがちである。


■取りたい物を掴んだ後、掴みきる前に引き寄せてしまう。

 掴んだ手をぐっと握りこむ前に、取ったと思った瞬間に
 腕をひっこめてしまうので、
 しっかりと掴めておらず、やはり手を滑らせて落としてしまう。

 

■取りたい物の周辺にある邪魔な物をどかさない。

 前提として、我が家はとっちらかっている。
 こまごまとした分類不能、よって収納不能な物たちが、
 とりあえずあっちこっちに置かれている。

 それらに紛れて目的の物があったとする。
 まず普通の人であったなら、
 邪魔な物をどかしてから目的の物を取ると思う。
 だが私はそこにぱっと手を伸ばしてしまう。

 そもそも目的の物が目に入ったら、
 その間に存在する邪魔な物など見えなくなっている。
 そうして、あっと思った時には、
 周辺の物たちにぶつかり、薙ぎ払い、そして落としてゆく。
 がっちゃんがっちゃんと。
 そして床に物が散乱することになる。
 さらには目的の物も、ぶつかった衝撃で結局落とすのだ。


■物を置くときに、きちんと安定させない。

 物を取ろうと思った時と同様に、
 置こうと思った時も同じ状態で、
 そこに置くことしか考えておらず、
 その場所が斜めだろうが、狭かろうが、
 別な物の上だろうが、お構いなしで、ぽっと置いてしまう。

 不安定な場所に置かれ、すぐ手を離されて、
 あえなく物は落ちていく。
 それを拾ってまた、何も考えず近場にぽいっと置こうとして、
 同じ理由でまた落ちる。
 この動作を数回繰り返すことがしばしば、というか日に何度もある。

 かなり以前の話になるが、
 手に入れた外国のビンが可愛くて、一輪挿しにちょうどよく、
 大切に使おうと思いながら流し台の上に置いたところ、
 手を離すやいなや倒れて転がり落ち、割れてしまったことがある。
 大事にしようと思ってから、たったの2秒しかもたせられなかった。
 あれには心が打ちのめされた。
 

自分なりに、理由をまとめてみたけれども、
じゃあ次から気を付けられるのかといったら、できない。
できたら苦労はしない。
理由は分かっていても、できないものはできない。
多分明日もいろいろな物を落として、イライラしながら拾うのだろう。

自分の出来の悪さにほとほと嫌気が差してくる。