多くの日本人は在沖米軍について詳しいことは知らないだろう。ここでは、筆者が在沖米軍の憲兵隊(以下:MP)の大佐から90年代に見聞きした内容である。
まず、MPは軍隊の中で一番権力を持っている。当時は、嘉手納飛行場から個人所有のセスナなどに載せてもらうこともできたし、射撃場で銃を撃つこともできた。もちろん憲法違反ではない。基地は治外法権でアメリカ合衆国憲法並びに軍法によって統制され、外に出ると、日米地域協定が適用される。
①嘉手納基地
私は、このMP大佐とともに嘉手納基地の最深部(管制塔付近)に入ったことがある。入るには、車両の裏側にそなえられたIDプレートがなければならない。
②PX
アメリカの商品を関税なしで買える店。おそろしく安くてすばらしい商品が手に入る。昔は一部の日本人も買えたが今は買えない。食べ物はOK。
③フリーマーケット
任期が終了すると別の場所へと移動するため、いらないものを処分する自由市が基地内で行われる。
④核弾頭格納庫
冷戦時代、沖縄の基地ではひそかに核兵器を配備していた。場所は、嘉手納基地の北東の恩納岳である。これは聞いた話だが、地下格納庫の上には牛が飼われ、放射能漏れを探知する役割を担っていたという。今も配備されているかは不明。そのMPは、沖縄に核があり、敵国から攻撃される危険性を何度も話してくれた。
⑤電話の盗聴
電話は、あるキーワードを話すと録音と逆たんが行われるシステムがある。沖縄人の動向を探っている。
⑥最高警戒レベル(ブラボー)
9.11の時に、はじめて発令される。ベース(基地)のゲート(門)では、ブラドレーという軽戦車が配備され、厳重な警戒がなされた。しかし、仕事は普通に行われていたため、検問待ちで渋滞が発生。
⑦在沖米軍最高司令官(四軍調整官)
在沖米軍の最高責任者は、陸、海、空、海兵隊の四軍を統括する四軍調整官という役職である。なにかあるとこの人が県庁で謝罪する。
⑧研究所
沖縄人の世論調査や基地内の遺跡発掘をする部署がある。先輩が勤めている。でも、英語は下手。なぜだ?
⑨現地妻
沖縄人や日本人の愛人を作る。以外に、白人の子どもがほしい、という女性が多く。ナンパ地域などが発達するが、すぐに住民に排除されるため、最近は減少気味。ちゃんとした出会いなら、なんとかなると思う。いずれにしても「アメラジアン」という父親のいない子どもの人権が問題になっている。
⑩米軍人
多くの米軍人は、友好的で紳士的である。特にエリート階級は、「ジェントルマン」の思想を持っている人も多く。大抵は、日本語も堪能である。正直、日本人なんかより断然格好いい。
最後に、沖縄県は、日本本土防衛の魁として住民総動員で国防に当たった唯一の日本人である。その沖縄戦から学んだことは国家や軍部は住民を守るのではなく、体制や組織を守る「国防軍」であることと、住民は自己主張しなければ、国家権力にいいように利用されるということである。
沖縄県民が運動を起こして「沖縄復帰」を成し遂げた民主主義を行ったのに対し、日本人はイデオロギー主体の学生運動に失敗し、民主主義の方向性を見失った。
日本人は沖縄からは民主主義を学ぶ必要がある。なんといってもアメリカ直輸入の民主主義である。英語は出来なければ話にならない。
日本は民主主義や国防に危機感を持たないとこれから痛い目にあうだろう。