その9(新入社員研修)
4月1日
不安と希望が入り乱れる感情の中で入社式が行われた。
私が入社したのはS社という設立5年目の採用・研修などの
コンサルティング事業を行っている企業だ。
S社はグループ会社の1つであり、もう1つはU社という
リフォーム事業を行っている会社が存在する。
(あともう1つ社長の趣味みたいなHP制作会社があったが、すぐ
当時はリフォーム事業を行っているU社との合同入社式だ。
その後、本社に戻って何をしたかは覚えていない。
おそらくOJT研修とかをしたのだろう。
当時は今と違って働き方改革という言葉はなく
定時で帰るのなんてもってのほかだった。
入社1日目の社員も例外ではなかった。
研修も終わり何をしていたわけでもないが、無駄な時間を
過ごしていたことだけは覚えている。
ある時私を含め新入社員数名が採用担当のTさんに呼び出されれた
実は内定者課題が終わっていないものがあった。
「タイピングテスト」だ。
しかし自分は内定者時代に会社から与えられたタイピングソフトが
動作不良で入社式後にオフィスでやるようにと言われていた。
同期も同様の内容で数名取り組んでいた。
できるPCが1台しかないので、クリアするのを
待ち続けることになる。
自分含めてほとんどがクリアできた。
しかし1名がなかなかクリアできない・・・
その間ずっと待ち続けることになった。
その日は終電だった。
なんの生産性もないのに初日から終電・・・
なんと非効率な会社だろうか。
そもそも残業代という概念が無い超ブラック企業だから
会社としてはなんの痛手も被っていないのだが・・・
その8 内定者編(最終章)
久しぶりの更新になりました。
新型コロナで時短営業になっていますが、年度末またぎの作業は本
少し落ち着いてきたのでまた再開しようと思います。
カラ元気の社員総会が淡々と進んでいく。
聞いているとやはりこの会社は業績が悪い。
目標の70%ほどしか達成していない。
経営陣もさることながら、社員も1年度の反省や来年の抱負を述べ
全く戦略というものがない。ほとんどが意気込み。
当時は何も思わなかったが今となっては非常に心配な組織だ。
社員総会が終わり内定者が集められた。
そこで通達されたのが
「全員東京勤務」
ちょっと待て。話が違う。全然違う。
東京組はまだいいが、問題は関西組だ。
大阪兵庫在住の2人の内定者は早急に引っ越しの準備を
しないといけない。
四国九州出身者が最悪だ。
4月大阪勤務を目論んで既に大阪に家を借りていたのだ。
みな新居に一週間しか住んでいない。
引っ越し代はどうしたのだろう。
関西に住んでいた我々は貰っていない。
私は泣く泣く親に頼んで出してもらった。
「変化に強くなれ!」と社長も言っていてその時は
信じていたが、今となっては内定者を言いくるめるための詭弁だ。
その7 内定者時代vol5
他の内定者も着々と入社前研修が終わっていく。
入社1か月前は恐ろしい程の憂鬱感に襲われる。
そんな中、3月31日に本社に召集されることになった。
翌日入社式なのに何事だろうと思った。
正直なんの目的だったかは完全に忘れてしまった。
それくらい衝撃的な1日だったからだ。
そもそも私たち内定者は11人いる。
東京組と言われる6人と関西組と言われる5人。
先の内定者研修やインターン、説明会運営等でかなり仲良くなって
その日9時に集合とのことだったので8時半くらいにオフィスに顔
東京組は全員揃っていた。
しかし何か様子がおかしい。
部屋の雰囲気もどこか張りつめており、東京組がバツの悪そうな顔
「どうしたん?なんかあったん?」とある内定者に聞いてみた。
「いやちょっとね・・・笑」と曖昧な答えで逃げる。
なんやねんと思いながら別に興味が無かったので別の内定者と
話をしていると2人の社員が入ってきた。
1人は採用担当のTさん。内定者の面倒を見てくれている入社4年
もう1人はHさんという本部長。
何が始まるのかと思っていたら事の経緯が説明された。
東京組は前日の夜に出発し翌朝着の会社手配の夜行バスで
大阪入りする予定だったらしい。
ところが1人の内定者が遅刻したために全員がバスに乗れず
朝一の新幹線で到着したとのことだった。
アホだ。
放っておいて、来れる人間だけで来たほうがよほど会社のためだっ
本人のためだったであろう。
その1人のせいで、東京組全員が新幹線代を自腹を切ることになっ
新幹線代が交通費として支給されたかどうかは不明だが、仮に支給
会社はバス代+新幹線と支払うことになる。
明日から社会人になろうというのに、とんでもない大馬鹿野郎だ。
他人事だが聞いているフリはして適当に相槌を打っていたが、次第
矛先が全員に向き出しだ。
「お前らの同期力ってなんや!?解散するかー?!」と
本部長の怒号が響いた。
適当に聞いていたので、驚きのあまり身体が浮いた。
当然自分は関係ない。
というか小学生ちゃうねんから、なんでそんな面倒見なあかんねん
大抵なことは理解しようとしたが、これだけは理解できなかった。
内定者時代に「同期力」という謎の言葉を植え付けられ、「お前た
乗り越えていく」というなんとも意味不明な団結力を強いられてい
こういった精神論の体育会系の幼稚な考えを社会人になっても植え
本当に反吐が出そうだった。
ある程度予想はできたが、いざ目の当たりにすると言葉もでなかっ
この瞬間「この会社は異常」と自分の中で決めつけたと同時に
数年以内に転職しようと早くも決断した。
温厚な採用担当の方も舌を巻いて異常な怒り方をしていた。
いや怒るのはわかる。自分が同じ立場だったらこの学生気分の内定
社会の洗礼を浴びせていただろう。
しかし、それは対個人であって全員に怒ることではない。
ましては同期力という訳の分からない理屈より、「これだけ損害に
なるんやぞ」という指導の仕方をすると思う。
そんな説教が延々と続き最後は社長まで現れた。
社長が恫喝することは無かったが、なぜか目に涙を浮かべていた。
自分が採用した人間がダメすぎて悔しかったのか?
能力を裏切られたからか?
想いが伝わらなかったか?
色々な想いがあったのだろうが、いずれにしても今の自分にも
分からない感覚だ。
書いていて思い出したが、3月31日は社員総会だった。
だから集められたのだろうか。
しかし、会社の命運を左右するかつ、自分たちの人生を揺るがす
重大な理由で集められていたのだった。
