球界が定めた新人の契約金の最高額が守られていない、という指摘は以前からあった。過去には西武と横浜が厳重注意を受けたが、朝日新聞が入手した内部資料通りならば、世間の常識からかけ離れた実態がまかり通っていたことになる。
しかし、巨人側は事実関係を認める前に、朝日新聞に対し、「選手や球団の名誉をおとしめた」と抗議書を送付した。「独占禁止法抵触の恐れがあり、(標準額は)上限額ではない」とする01年の12球団実行委員会の申し合わせや、1億5千万円が正式に上限となったのが07年で、今回指摘された事例はそれより過去であることなどが根拠だ。だが、論点のすり替えではないか。
そもそも、最高標準額は逆指名制度や自由獲得枠で一部の有力選手(大学、社会人)が入団先を選べた当時、契約金の天井知らずの高騰を防ごうと設けられた常識的な“目安”だったはずだ。
“プロ野球の憲法”である野球協約上は当時、禁じてなかったし、紳士協定的な意味合いが強いものであっても、豊富な資金力を持つ球団だけが球界の定めたハードルを超える契約金で選手を獲得できるのであれば、ルールづくりそのものが意味をなさなくなる。
内部資料漏洩(ろうえい)の背景や、なぜ開幕を前にしたこの時期に、といった若干の疑問はあるものの、巨人は球界やファンに対し、速やかかつ詳細に事実関係を明らかにすることこそ先決ではないか。(三浦馨)
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