闇の伴走者 醍醐真司の猟奇事件ファイル | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

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長崎 尚志さんの「闇の伴走者 醍醐真司の猟奇事件ファイル」を読みました


闇の伴走者 醍醐真司の猟奇事件ファイル 長崎 尚志

あらすじ
漫画界の巨匠が遺した未発表原稿。発見された50枚の原稿には、若い女性を誘拐・監禁し、苦悶する姿をデッサンして殺害する“漫画家”なる人物が描かれ、さらには、作中の被害者の顔は、35年前の連続女性失踪事件で消えた女性に酷似していた。果たしてこれは巨匠本人が描いたものなのか?別人だとすれば誰が、何のために?作者は現実に女性を次々に誘拐し殺した犯人なのか―原稿に遺された痕跡が新たな猟奇事件を招き、驚くべき犯人像が浮かび上がるが…。二転三転から、ありえない結末へ。伝説的名作『MASTERキートン』原作者の一人。漫画界のカリスマだからこそ書けた驚愕のミステリー長編。
「BOOK」データベースより

漫画業界のよもや話が面白い。著者の漫画編集者ならではのさまざまな漫画の薀蓄や、
漫画家やアシスタント出版社に対する見解や思いが詰まっていて、職業小説としても魅力的。
いたるところに漫画に対する愛情と漫画家に対するリスペクト、編集者という複雑な職種の難しさなどが描かれていて非常に興味深い。
主人公の一人である醍醐真司は容姿も性格もマンガのキャラクターのような人物造形で個性的で面白い。嫌味で自己顕示欲も強く常に何か食べているような太った男だが、嫌いになれない。

副題に「猟奇事件ファイル」とあるがエログロ描写はほとんどない。
そういう耐性のない人でも安心して読める。
物語の一番のキーである発見された50枚の漫画の原稿。これは是非その実物を読みたい。
この原稿に全ての謎があるわけだが、醍醐が着目するこの原稿の中の技法や構成など、実際にその漫画そのものを見ながら解説を読みたかった。浦沢直樹に描いてもらったりできないものか。

この漫画を元に話が二転三転する展開はミステリとして非常に面白く、
さすがあの「MASTERキートン」を手掛けた編集者と思わせるシナリオだった。
ただ醍醐以外の登場人物がヒロインも犯人もなんだが没個性的でちょっと薄くて印象に残らなかった。
この副題からしてシリーズものになるのだろうか?
続編が出るなら読みたい。