各所で評判の良い深木章子さんの「鬼畜の家」を読みました。
鬼畜の家 深木章子
タイトルからして気が滅入るストーリーが予想できるが覚悟して読む。
著者はこれがデビュー作だそうだが、そう思わせない完成度。
ある一家に関わった人々の語り口で明るみにでていく、母親の恐ろしい所業。
保険金目的で問答無用で殺人を犯していくという構図が「黒い家」を彷彿とさせる。
この異常な環境で育った娘と、事件を究明しようとする探偵が対峙して、
事の真相が次々と補完されていく。
お金に執着し息子に異常とも思える愛情を注ぐ母親の狂気ばかりでなく、
そういった親に育てられた不幸な子供たちからも大きな闇を感じる。
真相が二転三転するが、この一家の異常さばかりが際立つ。
とにかく嫌悪感を抱くこと間違い無しの登場人物が多い。
その中にあってこの物語の良心である獣医さんが不幸すぎるのも泣けてくる。
タイトルだけでなく作中でも鬼畜、鬼畜と連呼されるのがちょっと萎えたのと、
トリックを見破る伏線やヒントが少しばかり強引じゃないかと思いましたが、
コロっと騙されていた自分は充分堪能できました。面白かったです。
なぜ犬を飼ったか?が自分的には一番鬼畜。
色んな意味でグロイ。エグイ。