ユリゴコロ 読書感想 | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

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ネットで評判だったので沼田まほかるさんのユリゴコロを読みました。
この週末本ばかり読んでいましたw


ユリゴコロ 沼田まほかる

沼田まほかるさんの小説は初体験でしたが、
非常に読みやすい文章ですね。

主人公が連続殺人者の手記を発見するところから物語が始まりますが、
この手記が独特で、主人公と同じく恐怖とも嫌悪とも言い難い感覚を味わえます。
人の感情とかけ離れた異様でリアルな怖さを感じますが、読むのを止められない

この手記パートを主人公が隠れて読んでいる為、
読者もちょっとずつしか読めないという構成が見事ですね。
だってこの手記の先が気になって仕方がなくなりましたもの。

この手記の存在感のおかげで、
自分の出生がこの手記の書き手と何かしら関わっているかもしれないと思う主人公の不安や恐怖が、
よりリアルにダイレクトに共感できました。

そして読みすすめていくうちに、
もしや…と予想していたようなどんでん返しでしたが、
これしかない、というぐらい全てが丸く収まった結末に感動しました。

読んでいて非常に生々しい殺人の描写や、
吐き気を催すような人の狂気に、
陰鬱とした気持ちになっていたのに、
最後には愛に満ち足りた温かい気持ちになってしまったのが、
自分でも驚き。
狂人なのに。あれだけ人を殺しているのに。
人の人生を狂わすようなトラウマを背負わされたのに。
異形であっても愛は愛。全てを覆す力をもっているんですね。
なんだこの清々しく穏やかな読後感は。

読み手の心情を転換させる筆者の筆力に畏怖を感じます。
沼田まほかるさんの他の小説も読んでみたくなりました。