今日は、終了式。

 

明日からは冬休みが始まる。

 

 

 

結局、あれから智君から連絡が無いから、潤の両親や妹が、いつ帰国するのか分かっていない。

 

智君も、連絡が入ったら一度沖縄から東京へ戻る予定だと教えてくれた。

 

だから、潤の家族が帰国したら、しばらくは俺は1人なんだよな・・・勝手にそう思っていた。

 

 

 

 

「先生、さようならぁ。」

 

「ああ、気を付けて帰れよ。」

 

「先生、また来年もよろしくお願いします。」

 

「ああ、よいお年を。」

 

「「はーい!!」」

 

 

生徒たちが、次々に学校を後にしてゆく。

 

潤も、二宮と一緒に今、学校を出たところだ。

 

 

 

「櫻井先生は、冬休みどうされるのですか?」

 

「あ、まぁ、毎年同じですかね。」

 

「またご実家へ?」

 

「そうですね、年に何度かは実家に顔を出さないと、この年でも親は心配なようで。」

 

「そうですよねぇ。それじゃあ、お疲れさまでした。良いお年をお迎えください。」

 

「こちらこそ、お世話になりました、来年もよろしくお願い致します。」

 

 

先生方と、挨拶をかわし、俺も学校を後にする。

 

すると、すぐ後ろから相葉先生も・・・

 

 

 

「櫻井先生、お疲れさまでした~。」

 

「相葉先生、お疲れ様です。」

 

 

駅へ向かう道のり

 

誰に聞かれるのか分からないから、最低限のことしか話さない俺たち。

 

 

「学園長は、今年の冬休みはハワイに行かれるそうですよ。」

 

「だから、学園を閉め切るんですね。」

 

「そのようです。」

 

「ハワイかぁ、もう何年も行ったことないなぁ。」

 

「俺もです。高校生の時に、叔父に連れて行かれて・・・とはいっても、楽しかったんですけどね。」

 

「あ、分かります。俺も高校の時に、家族で行きましたね。海でめちゃくちゃ遊んで、帰国した時に真っ黒で。」

 

「そうそう。夏休み明け、登校すると人一倍黒くて。」

 

 

 

珍しくこの時は話が弾んで・・・

 

潤と海外もいいなぁなんて思ったり。

 

 

 

いつもの様に、最寄り駅に到着し、スーパーで互いに買い物をして、そこからは別々に帰宅する。

 

それが、俺たちのパターン。

 

 

 

 

 

だけど・・・今日は何だか、マンションの前が騒がしい。

 

先にレジを終えた相葉先生も、エントランスに入れず、少し離れた所から様子を伺っていた。

 

 

 

3人家族のようだけど、3台タクシーが止まっていて、大荷物を下ろしている。

 

・・・誰か引っ越しか?

 

そう思うほど、スーツケースや段ボール箱がタクシーから下ろされている。

 

 

 

だけど、その3人がエントランスのモニターで呼び出しているのは、俺の部屋番号。

 

 

・・・・え?

 

・・・誰この人たち?

 

 

 

そう思っていると、潤の声が聞こえてきて・・・

 

 

「え?いつ帰国したの?!」

 

「潤ちゃん、元気にしてた?さっき成田に着いたところ。ねぇ、開けてよ。大荷物で疲れちゃったわ。」

 

「ちょっ・・・ま、待ってよ。そんないきなり来られても。」

 

 

 

・・・この豪快な家族は・・・潤の両親と妹?!

 

 

 

 

 

・・・というか、どうして直でここに来たんだ?