行きつけのカフェに立ち寄ったガンヒョンと私。
「で、気になって気になってーっ。恋に堕ちてしまったかー。」
カランカランとコップの氷を揺らすガンヒョン。
「だってだって、あんな事しておいて二週間もいなくなるなんてーっ。気になって仕方ないじゃん!」力強く言う。
二週間前のキスされた事は、ガンヒョンに伝えてある。
テーブルに顔をドンと落として
「気が付けば、背が高くてスーツ着ている人を目で追っている。」
「重症だねー。」ガンヒョンが私の頭をポンポンとしようとしたのを阻止する。
「ダメ!准教授が頭ポンポンしてくれたところだから!」
顔を上げてガンヒョンに訴える
「へいへい。一気に恋をすると可愛くなるねー。」ニヤニヤ笑う。
「そっ、そんな事ないよ。」慌てて反撃するが
「イイじゃん。今のチェギョンは凄く可愛いよ。」頬に手を置き優しく笑う。
そういうガンヒョンは益々綺麗になった。
同じ女なのに、どうしてこうも違うんだろう?
ストレートのロングヘアに、赤い淵のメガネはガンヒョンの頭の良さを象徴するように光る。
手足も長く、スレンダー美人とはこういう事なんだろうなーと、思わせるスタイル。
「ガンヒョンみたいに、綺麗になりたい。」何時も思うこの願い
「何言ってるのよ。アンタはそのままでイイの。こんなベビーフェイスの可愛い子ちゃんなんだから―、私こそ羨ましいよ。」携帯の音が鳴る
「ちょっとごめん。」携帯を開くと「ギョンが近くにいるみたい呼んでも良い?」
「えっ、あーっ大丈夫。」
チャラいチャラいギョン院長さん、ガンヒョンを気に入り猛烈にガンヒョンを堕としてしまった。
まさか、ガンヒョンがチャラい人と付き合うなんてありえないと思って本人に聞いたら。
「本当に絶対にありえないと思った。チャラい男なんて嫌いだったのにねー。
初めて食事に連れて行ってもらった時に何時も通りにずーっと食べていたら、ギョンは私の事をニコニコ笑って見ていたの。
「君の豪快な食べ方が好きだなーって。」笑顔になった時の顔の皺にズキューンって。
で、自分から付き合ってみますか?って勝手に口から出たんだけど、直ぐに冗談ですって言ったんだけどね。ほんと、今でも自分がそんな言葉を言うなんて信じられない。」
「じゃあ、マジに付き合おうか。」ニコニコ笑うギョン。
年の差、チャラい、色々と難色を言ったが「まずは一回お試しにやってみようっか?」ニコニコーっ。
「それで、合わなかったらもう誘わない。」ネッという顔に本当はもうやられてたんだけどね
急に小さな声になり「猛烈に責められ、堕ちちゃった。」ガンヒョンからそんな言葉が出るとは、ビックリ。
前の彼氏さんとは大人な関係がほとんどなく。2人は心で繋がっているから大丈夫とボソッと言っていたが。
やっぱり私だって抱かれたいときもあるんだけどねーと、寂しそうだった。
「付き合ってまだ日にちは少ないけど、ギョンは体が繋がる事の大事さを教えてくれている。
好きな人と心と体も結ばれているのが、こんなに幸せな事だと知らなかった。」
しみじみ言うガンヒョンは本当に綺麗で、眩しかった。
「偶然だな。」ニコニコとカフェに入ってきたギョン院長を見て、ガンヒョンがやられてしまった笑顔の皺
「この近くで仕事があったんだ。」ガンヒョンの隣に座り、手を握り合う。
「ストーカーかと思った。」
ガンヒョンはいつもクールなので、言葉が冷たく感じることもあるけど、2人の手は離れない。
「仕事がなかったら、ずーっとストーカーしていたいな。」あはははと笑う院長。
二人でいるところを見るのは、今日で2回目だけど、このカップル結構お似合いかもしれない。
年の割にチャラくて若い院長さんと、年の割に落ち着いていて大人びいているガンヒョン。
2人で自然に手を取り合い、幸せそうにしている姿を見ていると
「良いなー。」ポツリと出てしまった言葉。
「!」ガンヒョンが私の顔を見る
「チェギョンちゃんも彼氏欲しいのか?」
「!」急な質問に一瞬准教授の顔が浮かんだ
「じゃあ、今日の夜。カン・インの家でホームパーティーやるから来ないか?イケメンがいっぱいいるよ。でも、俺より落ちるけどね」
「ホームパーティですか?」
警察の偉いカン・インさんに、整形外科の院長さん・・その集まりだったら恐れ多くていけないよー。
「チェギョンちゃん、ガンヒョンと一緒においで。俺も友達にガンヒョンの事紹介したいから。」
「嫌々、私はそんなレベルの高いとこなんかー。私達の飲み会なんてテントの掛かっている居酒屋ですよー。」
「チェギョン、私一人だと心細いから一緒に行こ。」
「えー―っ、ガンヒョンの頼みなら仕方ないかー。でも、ドレスなんか持ってないし―。」
「あはははっ。普通の恰好でお出で。始まる時間まであと一時間くらいだ、化粧直し位は間に合うだろう?」電話を掛けて、馴染みの店に電話しているみたいだ。
「さーっ、移動しようか?」ガンヒョンを立たせ「たが、絶対に手は離しませんと言う感じに繋がり合っている
ほんとラブラブだね。
元彼との別れを決めたガンヒョンの辛い日々が、またこうして今の彼氏さんとの幸せに変われるなんて、良かったねー。
ユル君と別れて、二度と恋なんかしない!と誓ったはずが准教授の事が頭から離れない。
これを恋と呼ぶものなのか確認したいけど、ご本人と会えないでいるの。
早く2週間が過ぎてしまえばいいのに―と何度も祈っている。
私も立ち上がり、二人の後を追った。
「ひえーー。」私とガンヒョンは江南地区の豪邸を目の前にして、開いた口が塞がらないでいた。
二階建てのその家はドラマに出てくるような豪邸で、黒い夜空に白い外壁が眩しく光って見えていた
開いた口も塞がり「中に入るよ」院長さんの声に私達は門の前に立った。
中から出て来たのは、綺麗な女の人だった。
ブラウンの体の線に合わせたワンピースが高いモノでそれをさり気無く着こなしている。
「ギョン!ギョンの運命の人連れて来たって、本当?」
綺麗な人は門を開けながら、私とガンヒョンを見比べる
「うん?綺麗タイプか?可愛いタイプ。どっちがギョンの運命の子なの?」
目の前の綺麗な人はジーッと私達を見比べる
「ガンヒョンって言うんだ。」繋がれた先の指にキスをする。
「まー。メロメロなのね。さーっ、上がってよ。」
私達を招き入れた女の人はカン・インさんの奥さんだそうで。
皆同級生で。奥さんには2人のお子さんがいるなんて、信じられないほど若くて綺麗な人だった。
中に入っていくと広い部屋に、20人くらいの人達がガヤガヤと騒ぎ、飲み食べていた。
又もや、私とガンヒョンの口が開きっぱなしになる。
もしかして。これはセレブの集まりってやつではないのか?
ガンヒョンと私の目が重なり、頷き合う
これは場違いなところに来てしまった。
院長さんの馴染みの店の所に連れて行ってもらい、何時もより断然に綺麗にしてもらった筈なのに。
浮いてるよー。冷や汗がダラダラと出て来た。
中には外人さんも何人かいて、ヒーー。ヤバイって。
ド庶民の私達は、肩を寄せ合った。
「ギョン遅いぞ。」あー、この人は警察関係の人カン・インさん。奥さんを横に置き
「お久し振りだね。この間はどうも。それで、君がギョンの彼女になった子だね?」
スーツではなくトレーナーにパンツスタイルのラフな格好。
「こんなオジサンより、若い男子が良いんじゃなかったのか?」心配そうな顔。
「いえ、若い男子が持っていないモノをギョンは沢山持っていますから、ご心配なく。」手をギュッと握り返す。
「へーっ。お前にしてはイイ子を見つけたじゃないかー。」
ガンヒョンの言葉を聞いた院長さんは、嬉しそうに「ガンヒョン、顔出したからもう帰ってやりまくろう。」
「もー―、ギョンったらー。何言ってるのよ。早く中に入って二人をエスコートしてあげなさいよ。」奥さんが止める
「ヒョリン、結構本気な話なんだぜ。」その後ガンヒョンに「マジで抜け出して俺の家に行こう」と二人で呟いていた。
二人のイチャイチャを邪魔してはいけないと思って、私は静かに二人から離れて壁際に凭れ掛かった
ここなら皆に気がつかれないだろう
確かに今日の私は何時もよりメイクで綺麗になっている。
東大門で買ったセール品のワンピース。
20000ウォンには見えないクオリティーだが、なんせきらびやかな人達の中じゃ、浮きまくりだ。
ガンヒョンは白いシャツにジーンズ姿だが、何でも着こなしてしまうので、セレブ達には負けてなかった
フーッと溜息をつき、小さい椅子に座った。
傍にあったテーブルのオレンジ色のジュースを取り、一気に飲んだ。
「美味しい-。」甘くてもっと飲みたくなるジュース。
「こんなに甘いオレンジジュースってあったんだー。きっと希少価値のオレンジなんじゃない?」もっと飲みたくて探していると、奥の方に背が高くてスーツの人が見えた。
ホームパーティーなので、皆ラフな格好をしている中でのスーツ姿に目を奪われてしまう。
准教授の後姿に見えてビックリしたが、まだ出張中でここにはいない筈?
日にちを数えるともうそろそろ帰ってくる頃だった。
あの日から、毎日准教授の事が頭から離れないから、誰でも准教授に見えてしまう
だから、今後姿の人もきっと、見間違い。
オトコの人達と話し始めた人は、こっちに体の向きを変えた。
准教授だ。
何か飲み物を飲みながら、談義を交わしているみたいで真剣そうな顔
私は椅子に座りその様子をただ黙って見ていた
出張って言ってたのに、何でここにいるの?
准教授は大人で、こんな子供の事なんかなんとも思ってないんだろうなー。
この間のキスも、気まぐれだったに違いない
この2週間のキモチ、准教授に知って貰いたかったがもう遅いかもしれない。
ちょっとだけ涙ぐんでいると
談義を交わしている准教授と目が合った
ジーーーッとお互いは見つめ合う。
こんなに人がいてざわついていた筈なのに、音が聞こえなくなり准教授の姿しか見えなくなった
こんな現象に陥るなんて、これを恋と呼ばずになんて呼ぶのだろうか?
2週間も持たずに分かっていた答え
准教授が誰かに話かけられ、二人だけの空間は消えてなくなってしまった。
フーッと溜息をつき、ボロッと涙が零れてしまった。
准教授に会えただけで泣いてしまうなんて、このキモチは重症だ
「あれ?君泣いてるの?」
テレビに出ていそうなイケメンさんに声を掛けられ、おどおどとしていると。
「泣いているのなら、どこか休めるところに連れて行ってあげるよ。」
椅子に座っていた私が見上げると、その人は私の腕を引っ張り立ち上がらせてくれたが、体のバランスを崩してその人の腕に倒れこんでしまった。
「すいません、ごめんなさい。」慌てて離れようとしたが、その人に又掴まれた。
「君?酔ってるの?」私のコップを見て「それかなり強いお酒だよ。」ニッコリと笑い肩を抱かれて
「やはり、ここを出て休むことに行こうよ」優しく笑ったに、なぜか嫌悪感を感じてしまった。
この人なんか嫌だ。
「大丈夫です」しっかりと断った筈なのに、段々クラクラし始めて来た。
「あれ?」この男の人が言うように、さっきのはお酒だったのか?頭を押さえながら歩き出した私を男が追いかけて来た。
「だから送っていくって」長い手が私の腕を掴もうとした時
その手は私の知っている大きな手に憚れた
「失礼、この子がどうかしましたか?」2週間ぶりの准教授の声。
聞いた途端、ボロボロと涙が溢れ出す。
「その子が泣いていたから、送ってあげようと。」そのイケメンさんは私を覗き込む。
「この子は私の知り合いなので、私が送っていくので大丈夫ですよ。」無表情で答えた。
「えっ?」イケメンさんが何か言っていたが、准教授は聞きもせずに私の身体を支えて歩き出していく
途中カン・インさんを見つけ「すまない、もう帰る。」泣きっぱなしの私を誰にも見せないように、スーツの上着を被せてくれていた。
「シン、上着の下は誰だ?」カン・インさんが怪しい声を掛ける。
「誰にも見せたくない。」ギュッと上着を被らせた私を抱きしめる。
「珍しいなー。後でゆっくり聞くからな。シン!今日は急な呼び出しに応じてくれてありがとうな。」カン・インさんに見送られ、私達はこの豪邸から出た。
外に出ると、冷たい空気が下から登り、上着越しに雨が降っている音がした。
「雨だ。」上着を濡れない角度に直して、准教授に支えて貰いながら歩き出した。
「で、気になって気になってーっ。恋に堕ちてしまったかー。」
カランカランとコップの氷を揺らすガンヒョン。
「だってだって、あんな事しておいて二週間もいなくなるなんてーっ。気になって仕方ないじゃん!」力強く言う。
二週間前のキスされた事は、ガンヒョンに伝えてある。
テーブルに顔をドンと落として
「気が付けば、背が高くてスーツ着ている人を目で追っている。」
「重症だねー。」ガンヒョンが私の頭をポンポンとしようとしたのを阻止する。
「ダメ!准教授が頭ポンポンしてくれたところだから!」
顔を上げてガンヒョンに訴える
「へいへい。一気に恋をすると可愛くなるねー。」ニヤニヤ笑う。
「そっ、そんな事ないよ。」慌てて反撃するが
「イイじゃん。今のチェギョンは凄く可愛いよ。」頬に手を置き優しく笑う。
そういうガンヒョンは益々綺麗になった。
同じ女なのに、どうしてこうも違うんだろう?
ストレートのロングヘアに、赤い淵のメガネはガンヒョンの頭の良さを象徴するように光る。
手足も長く、スレンダー美人とはこういう事なんだろうなーと、思わせるスタイル。
「ガンヒョンみたいに、綺麗になりたい。」何時も思うこの願い
「何言ってるのよ。アンタはそのままでイイの。こんなベビーフェイスの可愛い子ちゃんなんだから―、私こそ羨ましいよ。」携帯の音が鳴る
「ちょっとごめん。」携帯を開くと「ギョンが近くにいるみたい呼んでも良い?」
「えっ、あーっ大丈夫。」
チャラいチャラいギョン院長さん、ガンヒョンを気に入り猛烈にガンヒョンを堕としてしまった。
まさか、ガンヒョンがチャラい人と付き合うなんてありえないと思って本人に聞いたら。
「本当に絶対にありえないと思った。チャラい男なんて嫌いだったのにねー。
初めて食事に連れて行ってもらった時に何時も通りにずーっと食べていたら、ギョンは私の事をニコニコ笑って見ていたの。
「君の豪快な食べ方が好きだなーって。」笑顔になった時の顔の皺にズキューンって。
で、自分から付き合ってみますか?って勝手に口から出たんだけど、直ぐに冗談ですって言ったんだけどね。ほんと、今でも自分がそんな言葉を言うなんて信じられない。」
「じゃあ、マジに付き合おうか。」ニコニコ笑うギョン。
年の差、チャラい、色々と難色を言ったが「まずは一回お試しにやってみようっか?」ニコニコーっ。
「それで、合わなかったらもう誘わない。」ネッという顔に本当はもうやられてたんだけどね
急に小さな声になり「猛烈に責められ、堕ちちゃった。」ガンヒョンからそんな言葉が出るとは、ビックリ。
前の彼氏さんとは大人な関係がほとんどなく。2人は心で繋がっているから大丈夫とボソッと言っていたが。
やっぱり私だって抱かれたいときもあるんだけどねーと、寂しそうだった。
「付き合ってまだ日にちは少ないけど、ギョンは体が繋がる事の大事さを教えてくれている。
好きな人と心と体も結ばれているのが、こんなに幸せな事だと知らなかった。」
しみじみ言うガンヒョンは本当に綺麗で、眩しかった。
「偶然だな。」ニコニコとカフェに入ってきたギョン院長を見て、ガンヒョンがやられてしまった笑顔の皺
「この近くで仕事があったんだ。」ガンヒョンの隣に座り、手を握り合う。
「ストーカーかと思った。」
ガンヒョンはいつもクールなので、言葉が冷たく感じることもあるけど、2人の手は離れない。
「仕事がなかったら、ずーっとストーカーしていたいな。」あはははと笑う院長。
二人でいるところを見るのは、今日で2回目だけど、このカップル結構お似合いかもしれない。
年の割にチャラくて若い院長さんと、年の割に落ち着いていて大人びいているガンヒョン。
2人で自然に手を取り合い、幸せそうにしている姿を見ていると
「良いなー。」ポツリと出てしまった言葉。
「!」ガンヒョンが私の顔を見る
「チェギョンちゃんも彼氏欲しいのか?」
「!」急な質問に一瞬准教授の顔が浮かんだ
「じゃあ、今日の夜。カン・インの家でホームパーティーやるから来ないか?イケメンがいっぱいいるよ。でも、俺より落ちるけどね」
「ホームパーティですか?」
警察の偉いカン・インさんに、整形外科の院長さん・・その集まりだったら恐れ多くていけないよー。
「チェギョンちゃん、ガンヒョンと一緒においで。俺も友達にガンヒョンの事紹介したいから。」
「嫌々、私はそんなレベルの高いとこなんかー。私達の飲み会なんてテントの掛かっている居酒屋ですよー。」
「チェギョン、私一人だと心細いから一緒に行こ。」
「えー―っ、ガンヒョンの頼みなら仕方ないかー。でも、ドレスなんか持ってないし―。」
「あはははっ。普通の恰好でお出で。始まる時間まであと一時間くらいだ、化粧直し位は間に合うだろう?」電話を掛けて、馴染みの店に電話しているみたいだ。
「さーっ、移動しようか?」ガンヒョンを立たせ「たが、絶対に手は離しませんと言う感じに繋がり合っている
ほんとラブラブだね。
元彼との別れを決めたガンヒョンの辛い日々が、またこうして今の彼氏さんとの幸せに変われるなんて、良かったねー。
ユル君と別れて、二度と恋なんかしない!と誓ったはずが准教授の事が頭から離れない。
これを恋と呼ぶものなのか確認したいけど、ご本人と会えないでいるの。
早く2週間が過ぎてしまえばいいのに―と何度も祈っている。
私も立ち上がり、二人の後を追った。
「ひえーー。」私とガンヒョンは江南地区の豪邸を目の前にして、開いた口が塞がらないでいた。
二階建てのその家はドラマに出てくるような豪邸で、黒い夜空に白い外壁が眩しく光って見えていた
開いた口も塞がり「中に入るよ」院長さんの声に私達は門の前に立った。
中から出て来たのは、綺麗な女の人だった。
ブラウンの体の線に合わせたワンピースが高いモノでそれをさり気無く着こなしている。
「ギョン!ギョンの運命の人連れて来たって、本当?」
綺麗な人は門を開けながら、私とガンヒョンを見比べる
「うん?綺麗タイプか?可愛いタイプ。どっちがギョンの運命の子なの?」
目の前の綺麗な人はジーッと私達を見比べる
「ガンヒョンって言うんだ。」繋がれた先の指にキスをする。
「まー。メロメロなのね。さーっ、上がってよ。」
私達を招き入れた女の人はカン・インさんの奥さんだそうで。
皆同級生で。奥さんには2人のお子さんがいるなんて、信じられないほど若くて綺麗な人だった。
中に入っていくと広い部屋に、20人くらいの人達がガヤガヤと騒ぎ、飲み食べていた。
又もや、私とガンヒョンの口が開きっぱなしになる。
もしかして。これはセレブの集まりってやつではないのか?
ガンヒョンと私の目が重なり、頷き合う
これは場違いなところに来てしまった。
院長さんの馴染みの店の所に連れて行ってもらい、何時もより断然に綺麗にしてもらった筈なのに。
浮いてるよー。冷や汗がダラダラと出て来た。
中には外人さんも何人かいて、ヒーー。ヤバイって。
ド庶民の私達は、肩を寄せ合った。
「ギョン遅いぞ。」あー、この人は警察関係の人カン・インさん。奥さんを横に置き
「お久し振りだね。この間はどうも。それで、君がギョンの彼女になった子だね?」
スーツではなくトレーナーにパンツスタイルのラフな格好。
「こんなオジサンより、若い男子が良いんじゃなかったのか?」心配そうな顔。
「いえ、若い男子が持っていないモノをギョンは沢山持っていますから、ご心配なく。」手をギュッと握り返す。
「へーっ。お前にしてはイイ子を見つけたじゃないかー。」
ガンヒョンの言葉を聞いた院長さんは、嬉しそうに「ガンヒョン、顔出したからもう帰ってやりまくろう。」
「もー―、ギョンったらー。何言ってるのよ。早く中に入って二人をエスコートしてあげなさいよ。」奥さんが止める
「ヒョリン、結構本気な話なんだぜ。」その後ガンヒョンに「マジで抜け出して俺の家に行こう」と二人で呟いていた。
二人のイチャイチャを邪魔してはいけないと思って、私は静かに二人から離れて壁際に凭れ掛かった
ここなら皆に気がつかれないだろう
確かに今日の私は何時もよりメイクで綺麗になっている。
東大門で買ったセール品のワンピース。
20000ウォンには見えないクオリティーだが、なんせきらびやかな人達の中じゃ、浮きまくりだ。
ガンヒョンは白いシャツにジーンズ姿だが、何でも着こなしてしまうので、セレブ達には負けてなかった
フーッと溜息をつき、小さい椅子に座った。
傍にあったテーブルのオレンジ色のジュースを取り、一気に飲んだ。
「美味しい-。」甘くてもっと飲みたくなるジュース。
「こんなに甘いオレンジジュースってあったんだー。きっと希少価値のオレンジなんじゃない?」もっと飲みたくて探していると、奥の方に背が高くてスーツの人が見えた。
ホームパーティーなので、皆ラフな格好をしている中でのスーツ姿に目を奪われてしまう。
准教授の後姿に見えてビックリしたが、まだ出張中でここにはいない筈?
日にちを数えるともうそろそろ帰ってくる頃だった。
あの日から、毎日准教授の事が頭から離れないから、誰でも准教授に見えてしまう
だから、今後姿の人もきっと、見間違い。
オトコの人達と話し始めた人は、こっちに体の向きを変えた。
准教授だ。
何か飲み物を飲みながら、談義を交わしているみたいで真剣そうな顔
私は椅子に座りその様子をただ黙って見ていた
出張って言ってたのに、何でここにいるの?
准教授は大人で、こんな子供の事なんかなんとも思ってないんだろうなー。
この間のキスも、気まぐれだったに違いない
この2週間のキモチ、准教授に知って貰いたかったがもう遅いかもしれない。
ちょっとだけ涙ぐんでいると
談義を交わしている准教授と目が合った
ジーーーッとお互いは見つめ合う。
こんなに人がいてざわついていた筈なのに、音が聞こえなくなり准教授の姿しか見えなくなった
こんな現象に陥るなんて、これを恋と呼ばずになんて呼ぶのだろうか?
2週間も持たずに分かっていた答え
准教授が誰かに話かけられ、二人だけの空間は消えてなくなってしまった。
フーッと溜息をつき、ボロッと涙が零れてしまった。
准教授に会えただけで泣いてしまうなんて、このキモチは重症だ
「あれ?君泣いてるの?」
テレビに出ていそうなイケメンさんに声を掛けられ、おどおどとしていると。
「泣いているのなら、どこか休めるところに連れて行ってあげるよ。」
椅子に座っていた私が見上げると、その人は私の腕を引っ張り立ち上がらせてくれたが、体のバランスを崩してその人の腕に倒れこんでしまった。
「すいません、ごめんなさい。」慌てて離れようとしたが、その人に又掴まれた。
「君?酔ってるの?」私のコップを見て「それかなり強いお酒だよ。」ニッコリと笑い肩を抱かれて
「やはり、ここを出て休むことに行こうよ」優しく笑ったに、なぜか嫌悪感を感じてしまった。
この人なんか嫌だ。
「大丈夫です」しっかりと断った筈なのに、段々クラクラし始めて来た。
「あれ?」この男の人が言うように、さっきのはお酒だったのか?頭を押さえながら歩き出した私を男が追いかけて来た。
「だから送っていくって」長い手が私の腕を掴もうとした時
その手は私の知っている大きな手に憚れた
「失礼、この子がどうかしましたか?」2週間ぶりの准教授の声。
聞いた途端、ボロボロと涙が溢れ出す。
「その子が泣いていたから、送ってあげようと。」そのイケメンさんは私を覗き込む。
「この子は私の知り合いなので、私が送っていくので大丈夫ですよ。」無表情で答えた。
「えっ?」イケメンさんが何か言っていたが、准教授は聞きもせずに私の身体を支えて歩き出していく
途中カン・インさんを見つけ「すまない、もう帰る。」泣きっぱなしの私を誰にも見せないように、スーツの上着を被せてくれていた。
「シン、上着の下は誰だ?」カン・インさんが怪しい声を掛ける。
「誰にも見せたくない。」ギュッと上着を被らせた私を抱きしめる。
「珍しいなー。後でゆっくり聞くからな。シン!今日は急な呼び出しに応じてくれてありがとうな。」カン・インさんに見送られ、私達はこの豪邸から出た。
外に出ると、冷たい空気が下から登り、上着越しに雨が降っている音がした。
「雨だ。」上着を濡れない角度に直して、准教授に支えて貰いながら歩き出した。