4人でご飯を食べたら、慌てて先輩が仕事があるから席を外した。

「やっぱりスタッフが二人だけって負担が大きいですよね。」

食事が終わり、五味茶を飲む

「キムさんと先輩のご両親でやっていたのを、先輩とキムさんだけになってしまって忙しそうです。」

「じゃあ、俺これ片づけを手伝う。」インさんが食事を乗せてきた台車に、食器を乗せ始める

「あっ、私も洗い物手伝います。」立ち上がり「シン君は先にテントに行っていて下さい。」

「イ・ジイさんがタダで泊めてくれたから、オレも手伝おう。」

立ち上がりワイシャツの袖を捲る

「シン君・・。」ご飯食べた後は、久し振りに二人でとことん味わい尽くそうとしていたのに。

「良いって。皆でやった方が早く終わる。」

私の頭をポンポンと撫でる。




私とインさんは、厨房のキムさんを手伝いに、シン君は先輩を探し出し手伝いを始めた。

今日の宿泊のご夫婦は早めの就寝みたいで、最後に先輩とシン君は大浴場の掃除に行った。







「室長、ここをこれで擦ってください。目地の汚れが溜まりやすいので、目地に沿ってタワシで擦って、後、側溝は力強くでお願いします。」

「イ・ジイさん。やることがいっぱいだな。」

ホテルスタッフのTシャツとハーフパンツを借りてオレはタワシを持つ

「二人でやったら、今日中に終わります。頑張りましょう。」

イ・ジイさんもTシャツ、ハーフパンツ。

一日1組だけなのに、中々の広さの大浴場なので、あっという間に1時間が経ち

「さーっ、後はデッキブラシで、床とか浴槽の床もこれで洗ってください。その後はホースで全部を洗い流します。」

黙々と仕事をやっていくと、これを毎日やっているとは大変だ。

デッキブラシをかけ、最後のホースで泡を落としていく

イ・ジイさんは脱衣所や鏡、椅子、桶を洗って綺麗に並べていく

「さーーっ、終わりましたー。今はPM23・50いつもより早く終わりました。」

服が濡れたのも構わずやっていたので、今見るとほとんど濡れていた事が分かった。

「もーっ、室長ったら。全部濡れてますよ。」クスクス笑う

「やっぱりホースかけた時のお湯が一番濡らしてくれたよ。」

濡れた髪の毛を後ろに流す

「あっ、その髪型は入社の頃からずーっとやっていましたね。」懐かしそうな顔

「あーっ、そうだな。」

「でも、チェギョンが来てから、室長髪型変えるようになっちゃってー、あの時に気が付くべきだったわ。

やっぱり好きな人が出来ると、人って変わりますね。」しみじみとする。

少しの間が空きその後「室長、大好きでした。」一生懸命働いたイ・ジイさんは頬も熱くオレに想いを告げる

「何度言っても足りない位に、大好きでした。」

デッキブラシの柄をギュっと握りしめた

「イ・ジイさん。ありがとう。」

オレはホースを持ったまま言葉を告げる

「室長から有難う何て貰えるとは。前だったら冷たい言葉だけだったのにね。」

クスクス笑う

「オレもチェギョンのおかげで変わった。」

「私も二人のおかげで、インと結婚する事になりました。

大好きだった室長よりもっと大好きなイン。

私達の問題をかるーく解決しちゃう凄い人なんです。

全然タイプじゃないのに、ますます惚れちゃいました。

うちの母親なんか、インの風貌と笑顔に私よりハートマーク出ていましたから。」

「イ・ジイさん。アイツは良い奴だから幸せになれるよ。

ただ女に優しいから勘違いされる、そこは程々にと。」

色々な過去の女達を思い浮かべ、コホンと咳払いをする

「親友さんの指摘ありがとうございます。」クスクス笑う。

「イ・ジイさん。

マヂな話、君とはインのおかげで繋がることが出来で、本当に良かった。

君とサヨナラなんて同期として寂しいからな。」ちょっと照れ臭い

するとイ・ジイさんは後ろを振り向き

「惚れてしまうやろ!」

叫んで落ち着いてから前を振り向いた

「室長こそ、その優しさ反則です。気をつけてくださいね。

チェギョンを泣かせたら承知しませんよ!」

デッキブラシをグイグイオレに向ける。

「絶対にないから大丈夫だ。」真剣な目で彼女を見下ろす

「室長、こんな綺麗な星空が見える所に最後に二人っきりにさせてくれた、お互いのパートナーの所に戻りましょう。」

ジイさんは優しく笑う

窓ガラスの向こうには、星空が良く見えて綺麗だった

「自慢の景色です。何時までも守っていきたいです。」そう言うイ・ジイさんの目は輝ていた






二人でテントに戻ったが、もう深夜も過ぎている事もあり、チェギョンはそのままベットに倒れ込んだ。

「体洗ってくる。」オレは露天風呂に入ろうとしたら

「シン君、起こしてください。」段々小さくなる声はやがて、微かな寝息に代わる

「寝てしまったか。」ふーっと溜息を吐く

チェギョンは、寝てしまうと絶対に起きない。

「仕方ない。長湯してくるか。」

諦め声はチェギョンには、届かなかった。








朝起きて「えっ?そのまま寝てしまったー。」ウルウルしているチェギョン

長湯をして体の疲れが取れてスッキリしたオレは

「まーまーっ。良い事を教えてあげよう。」

私の頭をなでなでしながら

「何時ものアレを持ってきていないから、どっちにしろ出来なかった。」

「へっ?」

「ビジネス鞄に、アレ仕込んでいたら変だろう?

まーっ、イ・ジイさんが用意してくれたアメニティの中に一箱入っていたが、いつものじゃないから使う気になれなかった。」

「そう言う事で、さっさとオレ達の家に帰ろう。」

ここからソウルまで何時間も掛かるから、貴重な休日のシン君をとことん味わう為に、先輩とここに残るというインさんに挨拶をしに行った






「じゃあ,またね。」先輩は幸せいっぱいの笑顔で私達を送り出す。

「はい。会いたくなったら、又来ます。

ホテルに泊まるのは何時になるのか分からないので、お家に遊びに来ます。

もちろんシン君も一緒に。」2人で顔を見合わせる

インさんとシン君は、お互いに挨拶をしあってる。

「インは昔からここぞと言うところは、強気だよなー。」クスクス笑う

「俺だって男だぞ。欲しいのは手段を選ばない。」

「普段の物腰と違うから、皆オチてしまう。お前ズルいぞ。」

2人に聞こえないように、小さな声で言う

「シンは正直過ぎるんだ。」あははと笑う

「でも、まー。イイ女を選んだ。

イ・ジイさんは仕事も良く出来、仕事仲間を大事にする。オレ推薦の同期だ。」

「最高の女だって分かるまで時間が掛かってしまったが、これからは大事にしていきたい。その為には、営業マン!さっさとヘリと家を頼むよ。」

「かしこまりました。早急に手配させて頂きます。」ニヤーーっと笑った。





先輩に「もしよければ、これもらってください。」

差し出した手には、四つ葉のクローバー

「チェギョンは、いっぱいある中から簡単に一本だけ見つける特技がある。

オレも探した事があるが、全く見つからなかった。」

「やだ、室長が四つ葉を探すなんて、予想外で素敵です。」頬を染める

「ジイ、その癖はもう直す。」

インさんの口元は笑っているが、目が笑ってない

「まっ、とりあえず貰ってくれ。」シン君も勧める

先輩は私から四つ葉を受け取り「大事に飾るわ。」

インさんにカウンターの所に写真立てに入れて置いとこと言っていた。






すると坂道を1人の女性がはあーはあー言いながら登って来た。

「すみませーん。今日予約していたんですけど、興奮して早く来てしまいました。」

ハインキングウエアをしっかりと着込み、髪の毛を長く結った私より年上風な人だ。

先輩が「キムさんー。この方を中にお連れしてください。」先輩の声が響く

スタッフルームで、今日の支度をしていたキムさんが出てくると

「キムさん!お久しぶりです。去年此処に泊まりに来た時に、貴方の仕事に対する姿勢に、感銘を受けました。

もし良ければ、私をここで働かせてほしいです。」

真っ赤になりながらキムさんの元に走り寄る

突然の出来事に皆2人に集中してしまう

「確か・・コン様ですね。今年もお泊りにいらして下さり、ありがとうございます。

しかし、働くというのは、私の一存では出来ません。」

丁寧に断ろうとしたら

「コン様。そのお話は本気ですか?」先輩の顔がマジだ

「本気です。勤めていたところも辞めてきました。キムさんの弟子になりたい。

いえ、ならせてください!」

深々と頭を下げる

先輩と私は目配せで、この人はキムさんに惚れてると確信した。

「では、今日のお泊りでよくお考えて、結果を出してください。

こちらも人手が欲しいところだったので、助かります。」

「支配人が言うのなら,どうぞこちらへ。」

事情は分かったが、今日はお客様なので対応はきちんとする。

キムさんから誘導させて貰っているコンさんの目は、ハートマークになっていた。

「突然でびっくりしちゃったわねー。

スタッフあと一人欲しいなーと思っていたところに、まさかそんな良い話が。

イン。仕込んでないわよね?」ジロッと見上げる

「まさか。そんな事しないよ。」驚いた顔のまま手を

「そう言えば、キムさんの胸ポケットに四つ葉のクローバーがパウチされて入ってたわね?

私もさっき貰ったばかりで・・・・まさかねー。」三人が私を見る

「まさかー、偶然ですよー。」ナイナイと手を横に振る

皆もそうだよなーと笑って、改めて挨拶を

「じゃあね。」「はい。又来ます」

私と先輩は又暫く会えなくなるが、携帯があるから大丈夫と手を振り合った








スーツ姿のシン君と通勤用のカジュアルな服装の私達が、ようやく麓にたどり着いたとき、携帯の電波が復活して、シン君が電話をかけた

私はタクシーを呼んだと思っていたら、空の彼方から音が鳴り響き近くの小学校の敷地にそれは舞い降りた

「‥‥シン君?タクシーを呼んだんじゃないの?」

口がポカーンと開きっぱなし

凄い音の小型のヘリが私の目の前にある

「イ家の私用ヘリを近場で待機させてた。さっさとソウルに帰るぞ。」シン君は私の手を取りヘリに向かっていく

「えっ?えーーーっ?」羽の風圧に服が乱れるが、シン君は気にせずに扉を開けて私を中に入れシートベルトをさせた。

自分も乗り込み「出してくれ。」操縦士さんに合図をした。

凄い音を鳴らしながら、ヘリは空に向かって上昇していく

シン君との電車、KTX、タクシーとずーっとイチャイチャ旅気分を味わえると、ニヤニヤしていた私の思いとは裏腹に、一気にソウルに着いてしまう。

「カップルデートがーーーーしたかったーーーーー」私の言葉はヘリの音に搔き消されてしまった。








皆様、こんばんは。

「卒業」のおまけのお話だと思っていたお方々、すみません。

今日は、日曜日で4leaf cloverの更新日でした。

おまけの話は、又後日で。

お風呂の掃除のお話は、私の体験談です。

一年中服を水浸しにしながら、掃除しております。

後、力を入れて擦るので最後はヘトヘトです。

では、おやすみなさいー。