「シン君、いってらっしゃい。」私は玄関に立つカレに言葉をかけた。

「今日は、昨日より絶対に早く帰る。」

自分の会社に戻ったシン君は、修行ということで色々な部署を、半年毎に回ると言う課題をこなし始めた。

今は営業マンになり、毎日遅く帰って来るので、寝たら起きない私とは会わなくなってしまった。

「今日こそは!絶対に!」私を力強く見つめる。

毎日会えるようになったんだけど、短い朝の時間はあっという間に過ぎていく。

だから、今玄関で誓った言葉は、愛を確かめ合いたい私達には、大事な言葉だった。

「無理をしないでください。」ずーっと忙しく働いていたカレには、少しでも休んで欲しいと言う気持ちが前提だが、大好きな人と過ごしたいと言う欲望が毎日増えていく。

「分かってる。」カレの指が私の頬に触れ、親指が何度も肌を確める。

たったそれだけなのに、私の体は急激に火照り出す。私の両手はカレの指を包み込んでゆっくりと溜息を吐き出す。

その様子を見たカレは「お前なー、エロ可愛さダダ漏れだ。」キッと睨まれる

「シン君。」カレの鋭い眼光に負けなくなった私は,自分のキモチが溢れ出す。

チッと小さい舌打ちが聞こえたが、カレは私の顔を両手で挟み込み、一気に重なり合う。

玄関に突然鳴り出す携帯音。

重なり合ったばかりの熱い場所は,1秒も経たずに離れてしまう。

すぐさま携帯を開き「今直ぐに行く」

あっという間に何時ものカレに戻り「チェギョン、帰ったらお仕置きな。」ニヤリと笑って玄関の扉を開けて出て行った。

1人取り残された私は、ギュッと胸元を掴んだ。












PM4時30分

後もう少しで今日の仕事が終わる

「今日こそは!絶対に!」シン君の言葉が何度もリプレイする。

何時になるか分からないが、シン君に会える

今日一日、なんかフワフワと宙に浮いているくらいに浮かれていた。

先輩や、ムンジェウォンからは、ニヤニヤしていて気持ち悪いと言われてしまった。

あっ、ガンヒョンは今日は定期健診の為お休み、スクスクと育っているみたいで体重増加もこの子の為ならと暴飲暴食にならないよう頑張っている。

旦那様のギョン君は定時時刻になると、どんな時もやってきてガンヒョンを自分の家に送り届けると良き夫になっている。

おかげで会社終わりに出掛ける楽しみがなくなったと、嘆いている。

でも、安定期に入ったら、色んな所に出掛けようと私とリストをピックアップ中。


突然扉を力強く開ける音と共に

「チェギョンちゃん!」経理部に響き渡る男の人の声。

みんな一斉に注目されている中、ズンズンと私に向かってくる<

「カン・インさん?」自分の会社に戻ったはずのインさんが、突然やって来て私の目が見開く。

ここで勤めていた時のような控え目な佇まいではなく、会社のトップの風格を醸し出している装いに代わっていた。

「彼女は?」辺りをキョロキョロと見渡す

「インさん、彼女とは?」

「イ・ジイさんだよ。」私の隣の席を覗くと、何も乗っていない席に青ざめていく。

「先輩なら、聞いてないんですか?」

首を横に振る

「実家の仕事を継ぐという事で退社しました。」突然の事で、みんな残念がっていた。

誰も座っていない先輩の席に手を置き、ガックリとしていたインさん。

あまりの憔悴さに、見ているこっちがおどおどしてしまう。

「チェギョンちゃん、俺に何か言付けとか・・・。」顔を上げすがるように私を見る

なんてワンコの様な仕草で、見るんですか!「ごめんなさい。先輩は,何も伝えて欲しいとは言わなかったです。てっきりインさんには言っているもんだと。」

するとインさんは苦笑いをしながら「そっかーそうだよな。俺は彼女には何も特別な言葉をかけなかった・・。」ボソボソと呟く

ふっと周りを見て、皆がインさんの突然の登場の訳を知ろうと何となく耳を傾けているのが分かり

「インさん、ちょっと」私は立ち上がり、インさんを誘導した。


給湯室

ここならインさんの言葉は皆には聞こえない。

私はシン君直伝のコーヒーを差し出し、一口飲んだインさんは「・・旨いな。」

「お口に合って良かったです。」

コーヒーを再び口に運び味わう。そしてポツリポツリと話し始めた

「彼女とは、シンとチェギョンちゃんの繋がりで会い始めた。」

「シン君と私ですか?」

「彼女は入社してからシンの事をずーっと好きだった。そして俺はチェギョンちゃんの事が好きだった。

でも、俺達はシンとチェギョンの想いを知って、お互いの気持ちを封じ込めた

同じ想いをしていた俺達は自然に求め合い、現実から逃げていたんだろうな。」

先輩の気持ちは知っていたが、インさんの告白にビックリしてしまって

「あっ、一生言わないつもりだったんが・・、シンに何時も辛く当たられて泣いていたチェギョンちゃんを段々好きになっていた。

でも、まー。シンのような熱烈なキモチに完全に負けたから、伝えずに見守る方向にいったけどね」苦笑いをする

「インさん・・。」こんな時にどんな言葉をかけたら

「シンは俺のキモチは知っていた筈、チェギョンちゃんセンサーが鋭いからなー、どんなライバルも木っ端微塵に潰していくからな」ハハハッ。

「インさん、そのーっ、気が付かなくて・・・すみませんでした。そしてキモチは有難うございました。」深々と頭を下げる

「頭を上げてよ。俺が勝手に好きになっていただけだから。」そう言えばインさんは何時も、優しい態度言葉で私を励ましてくれていた。

「まーっ、今はもうシンの彼女としてちゃんと見てるから、大丈夫だから。」優しく笑うインさん。

「話は逸れちゃったけど、俺は今まで女性には尽くすタイプで、イ・ジイさんのような男性をとことん尽くすタイプとは、会ったことがなくて。

会うたびに甘やかされ骨抜きにされて、どっぷりと甘い彼女の中に浸って元来の女性に尽くすという事をしていなかった。

だから、自分の会社に戻って連絡をしなくても、又直ぐに会えるって勝手に思ってた。

ようやく落ち着き始め、忘れていた彼女に連絡をしたら電話が通じなかった。

慌てた。

あの甘いトロケル時間を失ってしまうという恐怖

甘い時間がどんだけ貴重だったか、傷を舐め合ってたんじゃなくて、ちゃんと彼女の事を好きだって事を気づかされた。

チェギョンちゃんには、何て言ったら良いのか分からなかった俺達の関係を、セフレって言ってたけど、彼女はいつの間にか俺にとって大事な女性になっていた。」

前にインさんと先輩のセフレという関係には疑問があったけど、インさんの本当のキモチを知りホッとした。

「インさん、じゃあどうします?」

「彼女に会いに行く。」インさんの心を決めた力強い瞳

「良かったー。じゃあ、先輩の実家の住所教えますね。」携帯のメールを見ようと開いたら

ちょうどシン君からメールが着た

『チェギョン、すまない。これから広州に行く。明日の遅くに帰る予定だ。』

言葉を読み、私の動きが止まる。

動かなくなった私を心配したインさんは「チェギョンちゃん?どうした?」

「シン君がーーー。」楽しみにしていたシン君との時間が無くなり、涙ぐむ

期待をしないようにしていたが、やはりシン君とちゃんとお話ができる喜びで浮かれ切っていた私のダメージは大きい

「オイオイ」急な私の変化にインさんは慌てる

私はパッと顔を上げインさんをカッと睨め

「カン・インさん。一緒に先輩の所に行きましょう!!」








皆様、こんばんは。

四つ葉の続きです。

「4leaf clover」題名も英語で。

続きを書こう書こうと思って早何年も経ち。

やはり私は絵を描きながら、お話を考える書き方をしていたので。

絵を描けないという事は。とっても重要な事でした。

それなのに、どうして書いたかって?


私の大好きな[tears for fears]と言うグループが久々にアルバムを最近出したという事で、久々な彼らのサウンド、ローランドの声に痺れて、彼の歌声を聞くたびに涙ぐみます
この人の歌声が世界一好きだなーと思い知りました。

で、初期の曲も聞くようになり、ローランドが four leaf cloverと歌っている曲の題名がHead Over Heels「宙返りをするように前向きに完全にひっくり返る」という意味だそうですが、今はどっぷりと恋に夢中という表現に使われているそうです。

思わず、四つ葉のシン君だ。

それからは、話が浮かぶようになり、4leaf clover 1が出来上がりました。

何年振りの四つ葉の続きです。

1なので続くでしょう。(笑)