韓国の秋。

イギリスへ留学していた、韓国の皇太子殿下。

イ・シン

その留学も終わり、めでたく韓国へご生還~~~~したみたいだった。

私とガンヒョンだけは、皇太子が戻ってこようとお構いなしだった。

まるで学校内中、男女関係なく騒いでいた。

我が美術科にも、皇室マニア達が騒ぎ出していた。

「留学から帰ってきた皇太子殿下。本当に素敵になられたわー」皆、床の上から足が浮いて見える。

そうだ!皆浮かれている。

パタパタと皇太子がこの学校に叉通い始めるのを、今か今かと心待ちにしているみたいだった。

ふ~~ん、女子は判るけど、なぜ!男子まで!

「全く何処がいいんだか?」私は、ガンヒョンの机に向って話す。

斜め後ろのガンヒョンは「・・アンタはもう吹っ切れたの?」彼女メガネの奥の瞳は、真剣に私を見つめる。

高1の時、アイツの事を良く判らない私は、幼い恋心をバッサリと切られてしまった。

お陰で、男の事を好きになる機能が壊れてしまい、恋愛ができない体質になってしまった。

「高1で、吹っ切れているわよ。ガンヒョンだって知ってるじゃない。」私の口がガーガーと尖がる。

「止めなさいって!アンタの口元って奇跡のアヒル口なんだから。」ニッと笑う。

「えっ?奇跡?」

「そうそう、オトコが好きなんだよねーその口元が。だからアンタには、男達が群がる。」私の口元を指差す

「えーーーー!止めてよーー!」私は口元を押さえ、見られないようにした。

「諦めな。」優しく私に微笑む。

「あっ!でたーー!ガンヒョンの魔女の微笑みーー!綺麗なんだからさ!笑うと妖しいよね。」

「大きなお世話。」

私はスマホを取り出し、LINEチェックをする。

「ねえ?聞いても良い?」

「うん?」

「昨日のあの話しどうなった?やっぱ、冗談だったの?」

「うーん。本気みたいだね。今度の日曜日に来て下さいって。」

「マジ?」沈着冷静なガンヒョンがビックリして、飛び上がった。

私は、立ち上がったガンヒョンを見上げ「そんなにビックリしないでよ。」

「アンタ随分落ち着いているわね。」ガンヒョンは深呼吸を繰り返し、ようやくイスに座った。

「いやーーッ、これでも家に帰った時には、皆で慌てちゃってねー。色々話合いをして決めました。」

私は、ガンヒョンの耳元に近づき、小さな声でボソボソと言った。

すると、綺麗なガンヒョンの目が見開き、私を見つめる。

「そんな事しても良いの?韓国一の力にそんな事。」

私は、ガンヒョンに向けて指を立て、チッチッチと横に振る。

「まだこの事は、世間に広まっていない。それにおじいさん同士が決めた話なんだからって言うけど、色んなとこから証拠が出てきた。

皇太子のおじいさんからの手紙、指輪・印、家族3人で顔見合わせてしまったね~~。

やばいのが出て来たって。それも。(笑)

手紙は、何年か前に亡くなったおじいちゃんの纏めてあった古雑誌の上にあったし、指輪は、テーブルの足の長さが合わないからって、足に挟んでたし。印なんて、昔私とチェジュンとでいっぱい遊びに使って押しまくり~~で、角のとこ欠けてるし。(ニッ)

私の昔の絵の中に、カッコ良く押してあるもん。

ねっ、そんな家族が尊い宮様達と一緒に?ありえないよねーーー」私はガンヒョンに同意を求めた。

「でも、アンタ何だかんだと言ってまだ引きずってるんじゃない?」

ギクッと肩が上がる。

「そんな事ないよ。」ちょっとだけ声のトーンが下がる。

「ふ~~~ん。」

教室のドアが開き、先生が入って来た。

「さーっ!勉強始めるよーー!ほらっ座って。皆早くしないと、宿題出すよ?」先生の顔は嬉しそうに笑う。

「鬼!」「悪魔」「人でなし」「ブス」色んな声があがったが。

「オイ!誰だ!ブスって言ったのは!許さないぞーー!」口から牙が飛び出した。

「はい!美術科に特別宿題、けっていーー!明日まで頑張れ~~~。じゃあ、今日の授業始めるよ。」

みんなのブーイングを無視しながら、授業が始まった。







お昼休み、ガンヒョンと一緒に食堂に向う。

私達は、温かい食事が好きなので、お弁当よりも出来立てのものを食べる。

お弁当を持ってくる子が少ないので、此処の食堂はハンパなく大きい。

空いてる席に、自分たちの物を置き、カルグクスを注文して、順番を待った。

ガンヒョンとくだらない会話で笑い、お盆にカルグクスを乗せ、あっ、キンパッも1つ。慌てて会計をする。

席に座り、二人で今日の授業、先生の此処で話し、食べ、笑う。

まーッ、普通の女子高生の風景が此処にあった。

「じゃあ、もう行こうか?」

「そうだね。次は課外授業だから移動の事も考えると、もう行かないと。」2人立ち上がりお盆を持った時。

「えーーーーーー!」一人の女の声が響いた。

その後に次から次へと、声が響く。

それは段々と、食堂の中に突き進んでいく。

色んな声が上がるが、同じく人が沢山集まっていく。

「なに?」私とガンヒョンの目は重なる。

「何か来た?アルパカとか?」

「チェギョン。」呆れたガンヒョンの目。

「もうーッ、ジョークだって。」

大きな人の集まりは、群れを成しようやく先頭を切って歩くやつが見えてきた。

韓国の皇太子殿下

一際身長が皆よりも高く。あっ、後に続く1人もでかいけど。

それは、私とガンヒョンに向ってきた。

一歩一歩近づく、大勢の足音。

先頭を切って歩く皇太子の姿勢はまるでモデルのように歩く。

皇太子の体は細いままだった。

スラリと着こなすこの芸術学校の制服。

高1の時、好きだったカレはまだ少年ッぽさが残っていたが、今は、この学校で一番の大人の雰囲気を持っている感じだった。

「何で?」

「ガンヒョン、こっちに来ているような気がしない?」

「うん、するね。」

「関わらないよううに、もう行こう。」相談している間に、私の立ちあがったばかりのイスに皇太子が座った。

「えっ!?」突然の事に、びっくりする暇がなかった。

その後に、3人が続けて座った。

「フーーッ、お前久し振りだからとはいえ、凄いなー。」周りを見る隙間も無い程、人が埋め尽くされている。

「ほんと、さすが皇太子殿下!今日途中から来たのを知らない人達が、騒いでるねー。」

私達が座っていたテーブルに、皇太子とこの学校のお金持ち3人が座り、話をしていた。

私とガンヒョンは、目を合わせゆっくりとこの4人に気が突かれないように歩きだした。

「オイ!お前どっかで見た事がある。」

私じゃないと思って、知らない振りで行こうとしたら。

「オイ!お前だ!今日はお団子頭にしてないのか?」皇太子の声が響く。

私の目が見開く。

体全部が一旦停止ボタンを押したように、機能を止めた。

「オレは、人の顔見ると大抵覚える。お前、やっぱお団子だったよな?」皇太子スマイルが私の体に向う。

私はゆっくりと顔を動かして、カレを見下ろした。

「あっ!やっぱりビンゴ!高1の時会っただろう。」

えっ?

ドキン!私の止まっていた体が心臓がおかしい動きをし始めた。

私の中で凄い速さの鼓動が、なり続ける。

覚えてくれていたの?

カレへの渡せなかったチョコ。

無視して行ってしまったって、ずっと後悔していてくれたんだろうか?

どうしよう。ずーっとカレのこと本当は引きずっていたけど、やはり諦めちゃいけない!と神様が私に運をくれたの?

「・・・ハイ。高校1年の時、貴方に。」真っ赤になり凄い緊張で声が上ずる。


「おっ!もっと思い出した!お前チョコオレにくれただろう。お前なんかのチョコ、皇太子のオレが食べるわけないだろう。」

静にゆっくりと優雅に笑う整った顔。

まるで、どっかの国でスピーチを読む時のように。

でも言葉は、私の高鳴った心臓に突き刺さり、鼓動を止めた。

修復不可能。

私の体の中で、非常事態のサイレンが鳴り響いた。

生きている内で。高1の時のショックよりも叉酷い事が。

私は、あの時みたいに、只泣いていた高1の時とは、違う。

キッと睨み。

持っていた、キンパの皿とカルグクスの御椀のお盆を、皇太子の頭目掛けて、振り落とした。

ガッシャーーーン!

この食堂に鳴り響いた音。

この大勢いた人達の音が止まる。

私は、残ったカルグクスのスープを頭からかぶり、ボーゼンとしている皇太子を見下ろしながら。


「誰もが、皇太子殿下に逆らわないと勘違いしてるから、こういう目に合うんですよ。では!」

私は、ガンヒョンの手を取り、ぼーーぜんとしている人達を掻き分け、この食堂を逃げ出した。








皆様、こんばんは。

いやーっ、シン君酷いわー。

チェギョンがシン君の頭の上にお椀んをぶちまけたのは、赤毛のアンの影響です。(笑)
アンとギルバートが好きです

今はいっているドラマのアンは好みじゃないです。

赤毛のアンと言えば、やはり日本のアニメ世界名作劇場ですよね。

では、訪問して下さり有難うございました。


おやすみなさい。