「おじい様の遺言で、相手のお方が18才になったので、お前との婚姻の日取りを決めようと思う。お相手のお方も呼んだので、絶対に来るように。」父上からの珍しい電話。
久々、実家に呼び出されたオレ

ドデカイ実家は、門から家に着くまでちょっとばかり時間が掛かる。

プライベートでは自分で車を運転するけど、普段は送迎付だ。

車を止め、運転席から降りてスーツのよれを直す。

「社長なのだから、身なりはきちんとしなさい。」母上は何時もオレに正す。

まっ、A型のオレとしては、当たり前だが。

玄関に佇む黒服の集団は、オレが身なりを整えると、一斉に「若、御久し振りです。」皆頭を下げて出迎えてくれる。

何時もの事なので、軽く頷き玄関を開けて中に入っていった。





久々に父上、母上に会い、挨拶をしてソファに座る。

「会社は順調か?」

「はい、私が経営してるんですよ。大丈夫ですよ。」自信たっぷりに言う。

「あははっ。そっかーっ。お前が言うと安心してしまうな。」

「何時も痩せてるけど、ご飯ちゃんと食べてるの?」母上が、オレの事を心配する。

「大丈夫です。」

「で、本題だが、お前の許婚は今、おばあさまのとこへ挨拶に行っている。

小さい時も可愛かったが、18才になりますます可愛くなったぞ。」

年の離れた許嫁がいるのは、知っていたが、相手が10も違う為に、保留にされていたが、とうとう相手の年が18才になったのか。

仕方ない。親に逆らうように、育ててられていない。

「そうですか。」

「今まで自由に女達と遊ばせていたが!全部清算しなさい。」静かに言う。

全部清算って、身がしっかりとしていた女ばかりだから、時間は掛からないだろう。

「許婚次第ですね。」ニヤッと笑った。

「シン!お嬢さんは、まだ高校生ですよ。貴方がしっかりしないと。」

全く母上には、歯向かえないなー。取り敢えず返事をしておいた。

トントンという音がドアから聞こえた。

「入りなさい。」父上の声と共に、ドアが開いた。

奥の扉から出てきたのは。

制服にお団子頭の子供だった。

物事に動じないオレだけど、さすがに眉間に皴が寄る。

可愛くなった?子供のように可愛いって事か?

「父上、私は今年28になるのですが。」オレは、ロリコンの趣味は持ってないぞ。

「気にするな。年の離れた夫婦は普通だ。」にこやかに笑う。

「シン・チェギョンちゃん、昨日18才になったばかりなの、シン、ちゃんと可愛がってあげなさね。」笑いながら、威圧がハンパない。

「さーーっ、チェギョンちゃん、いやもうイ家の嫁になるんだ、チェギョン。シンに挨拶を。」

「イ・シン様、この度は、我が家を救っていたき、ありがとうございました。お陰で、無事に生活できるようになりました。」

オレの目線は、父上を見る。

「チェギョンのお父上が、お友だちの借金を背負ってしまい、苦労をしていたのをずーっと見守るしかなかったが、彼女が18になりようやく我が家と繋がり、助けることができた。」

「そうでしたか。」

どうりでチェギョンという名前の子供は、深々と頭をあげているのか。

と言うことは、金で婚姻を迫ったな。何たってイ家では、家長の言葉は重い。

絶対服従

だから、おじい様の遺言は、必ず守る。

「あの~~っ、すみません。ちょっと提案良いですか?」

一斉に目が子供に向かう。

「婚姻って今直ぐにするのですか?もし良ければお試し期間下さい。」

「えっ?」

「私は、腹をくくって、婚姻する気ですが。イ・シン様は急に聞かれて困ってますよね。

2週間ほど、私との事を見てからお考えに。」

子供だと思っていたのに、自分の意見をしっかりと言える。

「シン・チェギョンさん、許婚との婚姻は必ずしないといけません。だから、大丈夫です。」淡々と言う。

「イ・シン様、私はまだ18才で、大人の貴方と釣り合うかどうか。」

ふ~~ん、腹をくくっている割には、躊躇しているみたいだな。

「分かりました。貴方の意見を尊重しましょう。期間は1週間にして下さい。

2週間なんて、ダラダラと長いのは、好きではありませんので。」スッとソファから立ち上がった。

「じゃあ、父上。話は決まったので、私達はこれで失礼します。」ずーっと立っていた子供の手を取り頭を下げて、この部屋を出た。

彼女の歩幅も考えずに、自分の歩きをしていると「待ってください。早いです!」後ろからの声。

「イ・シンさま何処へ行くんですか?」繋いだ手からは、今までの女とは違う感触が伝わる。

気になり、急に止って手を自分の顔に近づけると、あかぎれ。

今までの女は、こういう手をした女はいなかった。

皆、ネイルサロンに行って、スベスベな輝く指を見せびらかしていた。

「あっ!」恥ずかしかったのか、凄い力で手を離された。

韓国では、手と足が綺麗なのが美人と言われているので、人に見られるのが嫌だったのか。

「バイトで。」小さい声は、オレにも聞こえにくい。

「・・・。」又、彼女の手を取り、家を出た。

車に乗せると、シートベルトのかけ方が分からず、悩んでいた。

仕方がない。

身を乗り出して、彼女にシートベルトをやってあげようとしたら。

「!」ビックリした彼女は、体を窓いっぱいにへばり付けた。

「・・・・・。」

このレベルか、お前本当に18才なのか?小学生じゃないんだよな?

前途多難なこのお子ちゃま。

怯えている彼女を無視して、無理矢理シートベルトを掛けて、運転席にちゃんと座る。

シートベルトを掛けてあげるのが目的だったのが分かり、顔を真っ赤にして俯いた助手席の子供。

「車乗ったのが初めてで。すみません。」恥ずかしげに言う。

彼女の事情をちょっとだけ知っているオレは、何も返事をしなかった。


車はオレの家に向けて走っていると、「高そうな車ですね。色んなのがキラキラ光っていて綺麗ですね。」

キラキラ光ってって、そんな派手なのはないぞ。

実家を出てから、空が段々暗くなり始め、ライトを点けた途端、色んな計器に光が灯す。

もしかして、これの事か?

「夜になると、車の中がこんなに綺麗に光りだすなんて知りませんでした。」横をチラッと見ると、彼女は嬉しそうに微笑む。

今時、そんな言葉を言う彼女にビックリした

全く年が離れていると、考えも違うのか?

「面白いな。」

「えっ?」

車を運転して、もう10年位経つけど、車の内装をそう思ったことなんてなかった。

着飾った女達を乗せても、誰もこんな事を言わなかった。

許婚は、18才。

お試しの1週間、何が起こるか楽しみになってきた。









皆様、明けましておめでとうございます。

昨年は皆様に来て頂き、本当に嬉しかったです。

今年もひっそりとやっていきますので、お暇な時においでください。


テレビを見て今年が寅年という事を知って私。

数あるシンチェのお話の中で、トラに関係あるお話と言えば!

あのお方のお話ですよね!(喜)大好きなお話でしたー。

で、好きすぎて自分でも書きたくなり、ご本人様にメールをしましたが、返事が返ってきませんでした。(泣)

まー自己流のお話を書き、自己満足をしたお話が少し続きます。【汗)

お付き合いください。


では、今年もよろしくお願いいたします。