互角に戦う二人

神聖な協会に、鈍い音や、二人の荒い息遣いが響く

「皇太子のくせに、強いですね。さっきのは効きました。でも、大分動けないみたいですけど。大丈夫かな?」まだ余裕なムン・ジェウォン

データーではテコンドー韓国NO.1とされている男

アイツにはあんな事言ったけど、体が動けなくなってきている。

やばいなー。

攻める事が出来なくなっている。守りの体勢ばかりで、一つも技を出せないでいる。

考えてばかりいたら、横から腹に蹴りが入った。

ドォーーッと倒れこんでしまった。

効いた。

これは確実に効いてしまった。

オネエなのに、強すぎる。

腹の一撃を受けて、動けなくなってしまったオレ。

意識が遠のこうとしたら。

「コラーーーッ!イ・シン!何時まで寝てるの!私の事、欲しくないのーーー!」他のヤツと婚約式をしたアイツの嬉しい声が響く

その声に目が見開く

「くっそーーー!欲しいに、決まってんだろう!」ゆっくりと起き上がった。

体の調子を整える

息を大きく吸い、そしてゆっくり吐き出す。

顔をバシッと叩き、自分を奮い立たせる。

「よし!シン・チェギョン!待ってろよ!」

「おや、まだやれるんですね。そうこなくっちゃ、チェギョンは渡せません!」

足技を出したり、止めたりと長い戦いが続いたが

一瞬の隙間が見えた

体が反応する

回転しながら後ろ回し蹴りを、アイツの肩に食らわせた。

一気に床に転がる。

「痛ーーーい!」突然のオネエ言葉

「やだーーっ、もう動けない!か弱い私に本気にやって、男として恥かしくないの!」

突然の変わり様に、ビックリしたけど。

「男だから、本気で戦った。」

「オッパーーー!オネエ言葉になってる!」とェギョンの慌てた声

「えっ!あらやだっ、済みませんでした。私はもう立てないので、貴方の勝ちですね。」ニッコリと笑った。

「・・・。」

「皇太子、貴方の本気は凄かったわ。私は結構強いんですけど、貴方は互角に戦った。チェギョンを貰ってください。」

「オッパー、私、物じゃないよ。」ブーーッとした顔

気の抜けたオレは床に座り込んだ。

「シン君!」アイツが駆け寄って、オレに抱きついた

「大丈夫!?」ギューーッと抱きついてくる。最初は耐えていたけど、二人一緒に床に崩れた

「私はこれから仕事なんで、失礼します。その頑固者をちゃんと説得してください。

貴方にとって最大の敵は、シン・チェギョンだから。」

ムン氏はようやく立ち上がり、着替えを済ませた。

「では!テレビに二人で映るのを、待ってますよ。」

「ムンさん、婚約は?」

「解消に決まってるでしょう!私より貴方に駆け寄る女はいりません。じゃあっ。」足を引きずり出て行った。

静かな聖堂に二人は横になったままだ。

「婚約解消になったお前は、オレのとこに来るしかない。」頭を撫でながら言う。

「だって、彼女がいるでしょう?あんないい子。」

「まったく!オレがアイツとやってもいいのか?昨日お前にやったのをアイツにしたら」

「イヤだよ!絶対に!あんな色っぽいシン君誰にも見せたくない。」顔を埋める

「それに。きっと、昨日ので、子供出来たはずだ。ちゃんと責任は取るから、黙ってオレの妻になれ」

「デキてるなんて、そんなー。」

「オレとお前の気持ちが本気愛があったから、デキるんだよ。もう1度、親友じゃなくて、愛する妻として宮で暮らそう。」

「・・・・うん・・・。」

「体がまだ動けないから、誓いのキスはお前からしてくれ。」

二人は横になりながらゆっくりと唇を合わせた。







「戻りたくない1番な理由って、胸?」オレの口がポッカーーンと開く

「何よーーッ!こっちは真剣なんだからね!」湯船の水しぶきがまともに顔に当たった。

「呆れた、オレのこの痣は、この打撲は。」

「それは!シン君が勝手に対決したからだよ。」横を向く。

オレは腕を伸ばし、彼女の胸に指を指す。




夜中に目が冷めてしまった。

オレは彼女を抱きしめるように眠っていた。自分の手を彼女のお腹の上に当てる。

ここにはオレ達の子供がいるはず。

何でだろう。絶対と言う自信

オレの間違いで手離してしまった、シン・チェギョン。

今ようやく自分の手元に戻ってきた。

こんなに幸せだと思えるなんて。彼女をもっと抱きしめた。

「うん?シン君、起きたの?」彼女が寝ぼけた声で聞く。

「うん。」

「まだ眠いよ。」

「宮に戻ったら、生シュークリーム作ってくれないか?それからやり直したい。」

オレに後ろを向いていたお前が、前に向きを変え。

「判りました、旦那様。」チュッとキスをする。

オレも彼女の唇にキスをして

「オッパより、旦那様の方がいいな。」







1ヵ月後

済州島のホテルの1室

ムン・ジェウォンは一通りの仕事が終わったので、テレビをつけた。

テレビでは皇太子が元妃宮と成婚すると言う話題と御懐妊で2重の喜びと言う見出しだった。

昨日チェギョンからメール貰い、先にこの事を聞いていたので、ビックリしなかった。




オッパー!

私、又同じ人と結婚する事になりました。(照)

それに、お腹の中には赤ちゃんがいます。

凄いでしょう!シン君の自信ってすごいね。当たったよ。

明日記者会見するから、時間があったら見てね。

二人の幸せ振りを見てちょうだい!

じゃあ、又ね。

  オッパにも幸せがきますよーに。シン・チェギョンより





時計を見ると、そろそろ時間だ。

テレビの中にフラッシュを浴びた皇太子とチェギョンが手を繋ぎ出てきた。

皇太子といるチェギョンは、ここにいた時よりも数段に綺麗になっていた。

「まったく、色気が出てきたのね。あの皇太子が離さないからだわ。それにあの悩みの種だった胸が、少し大きくなってる。フフッ、幸せそうで良かったわ。

チェギョン、幸せになりなさい。

ほんとは私もアンタの事好きだったのよ。

男に戻ろうとしたけど、アンタはただ一人の人をずーーッと好きだったから。

アンタを手離した後に残るのは、楽しかった日々の思い出

アンタに出会えてほんと良かった、アンタのお陰でお母さんも幸せに旅立って行ったわ。

机の上には母の写真たてがあった。

テレビの幸せそうな二人を見て

「皇太子殿下!もう妃宮を手離さないでよ」指を指した。

指先には記者の人達に向けて、キスを交わすおバカな二人がいた。

そんな席でするなんて、冷たい皇子もただの男だったのね。

「そろそろ時間だわ。」立ち上がり会議室に行った。





皆様、こんばんは。

昨日このお話をアップしたはずなのに、消えていてビックリしました。

又、やり直しだったので。泣

コメント、いいねボタン有難うございます。

では、おやすみなさい