午後の日差しが段々薄れていこうとしていた。

私とオッパは婚約式をあげた。

教会でオッパの両親と私達二人。少ない人達だけで行っていた。

車椅子に座っていたオッパのお母さんが

「チェギョンさん、今日は本当に嬉しかったわ。夢みたいだった。ジェウォンに花嫁さんがきてくれるなんて。」

お母さんには酸素ボンベがついていた。

「おい、あんまり話をするな」優しそうなお父さんが言った。

「だって、嬉しくて。」

「お母さん、無理は禁物ですよ。チェギョンさんが困ってしまいますよ。」ニッコリと笑った。

ほんと、オッパのこの笑顔、何時見ても癒されるーー。

「ほらっ、もう病院に戻らないと。」

オッパのお母さんは名残惜しそうに、私達二人を見つめる。

「まだまだ、見ていたかった。」

後ろに控えていたオッパのお父さんに涙が溜まる。

「いつでも、会えるから。じゃあ、又行きますから。」

オッパの両親が帰り、二人で長いすに座っていた。

「オッパ。もう誰もいないよ。」

「何よ。泣かないわよ。」

「知ってるよ。オッパは強いオネーサンだもの。」目が真っ赤な私が言う

「チェギョン、本当に今日は有難うね。これで私のお母さんも悔いが残らないわ。」

「役に立てて、嬉しいよ。」

ウソの婚約式。

本当はやってはいけないのだけど、オッパのお母さん。余り長くないみたい。

オッパがオネエなのを知らないお母さんは、ずーーっとオッパにお嫁さんが来るのを待っていた。

そんなお母さんを見ているのが辛くなったオッパは、私に相談してきた。

「チェギョン?私と婚約しない?」って。

その時は笑って冗談でしょうって言っていたが、オッパのお母さんを見てしまったら。

「オッパ!婚約式しましょ!お母さんに見せてあげないと。」

「ごめんね・・。」言って、オッパは私に抱きついた。




暫く二人で言葉も交わさず、教会の長イスに座っていた。

「ねー、チェギョン、あんた皇太子殿下振ったの?」

「何!?急に!?。」ジーっと見つめられ

「アハハ八、そういう事になるのかな?」顔が引きつる。

「まったく、好きだった男とやれて待ってろって言われたのに。なぜ、断る!」オッパは怒る

「カレには、廃妃になった私は重過ぎる。国民、王族会が許さない、好きな人を苦しめさせてまで一緒にいようとは、思わない」

「ほんと、アンタはガンコだものねー。ところで・・。カレにいっぱい愛してもらった?」優しい声で聞かれた

昨日の事を思い出すと、顔が赤くなった。

「ウン、一生分愛してもらった。」

「良かったわね。」頭を撫でられた。






突然教会の重い扉が開き、人がゆっくりと入ってきた。

逆光で顔が見えないなー。神父様かな?

段々近づく人に何故か私の心臓は高鳴る。

背が高そう、高そうなスーツを着て、良い靴を履いてる。

うん?

私は目の前に現れたカレを見てビックリした。

「チェギョン、1週間後に迎えを寄越すって言ったけど、待ち切れないから、迎えに来た」

私の目の前にいるのはイ・シン。

ちょっとオッパーー!ビックリして口開いてるわよ。

そう言う自分も思いっきり開いてるけど。

「チェギョン、探した。一緒に「宮」に帰ろう。」カレの手が私の頬に触れる。

カレの触れたところは、軽い電流が流れたように痺れる。

勇気を振り絞って「帰らない、私ちゃんとシン君にお別れの手紙書いたもの、それに私もう婚約式したもの!」

カレの指は私の唇をなぞり「まだ結婚してないだろう?まだ望みがオレにもある。

オレは婚約者と対決しに来た!お前を得る為なら、どんな事もする。」

何時も冷めていたカレから、熱い言葉を聞いた私の心臓がドクンって跳ね上がった。

カレの指はまだ私の唇をゆっくりとなぞっている。

その動きに私は切なくなり、涙が出てきた。








「対決って、私とですか?」

「チェギョンの婚約者なんだろう?」カレは真剣に睨む。

オッパは笑いながら「いいですよ!チェギョンの為に、皇太子様が本気か見てあげます。」

「じゃあ、アンタの得意なテコンドーで。」

「おやおや、いいんですか?私こう見えても強いんですよ?」

「皇太子だからといって、遠慮しないで下さい。テコンドーは習いましたから。」

「シン君!止めようよ!オッパ、本当に強いから。部屋に色んなトロフィがあるから。」

「部屋に行ったことがあるのか?」カレの目が光る

カレの冷たい目を見たチェギョン

久し振りの目線に、耐え切れずに下を俯く

イスに座っていたチェギョンを自分のもとに引き寄せ

「最高に気分が悪くなった。」

オッパは笑いながら「だって、婚約者なんだもの、当たり前。」カレを煽る

「オッパ!ってば!」チェギョンは慌てる

「・・・・・・。」

「えっ?今なんて。」カレの口元から発する小さい声。

「オッパ。」

「えっ?」

「オッパって呼ぶな!アイツにの事オッパって呼ぶな!」

「・・・。」

「オレの事、オッパって呼ばないくせに!」横を向く

「何言ってるの!シン君私より遅く生まれたんだから、そこは無理でしょ!」詰め寄る。

「お前の口が他のヤツの事、オッパって呼ぶのが嫌。」自分の心を素直に言ってしまって、慌てる。

「・・・。」チェギョンはカレの事をマジマジと見る

「すみませーーん、対決はどうなったんですか?」とオッパは笑いながら聞いてくる。

「やります!」私の体を離しながら

「ちゃんと見てろよ!オレの本気、お前に判らせる。どんな無理な事だって、お前がオレの傍にいるだけで、何でも出来るって。必ず、勝つ!」

チェギョンの頬にキスをして、スーツの上着を脱ぎ、ベスト、シャツを脱ぎ、ランニングになった。

体のストレッチを軽くして、飛び跳ねる。

そして、オッパと向き合う。

オッパもランニング姿になり、待ち構えている。

「さーー、皇太子の本気見せてもらいます!」


カレは深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。そして、真剣目な目で、相手を睨む。



お互いの足技が掛け合う。



チェギョンは、バカな事を止めようと思ったが、カレの真剣な想いを最後まで見てあげたくなった。

「どんな無理な事だって、お前がオレの傍にいるだけで、何でも出来るって。」

その言葉がチェギョンの胸に響いた。





皆様、こんばんは。

バイトが終わり、みんなで帰ろうとしたら。

ホタルが一匹いて、皆大興奮。

私も子供達が小さい時以来だから、20年振りくらいでしたね。

バイトの駐車場は、周りに何もないので星空も綺麗です。

田舎って、最高ー。

では、おやすみなさい。