「はい、終わりました。」

昨日選んで貰ったドレスを着て、メイクもプロのお方にやってもらったら。

鏡の中には知らない人がいた。

本当に私なんだろうか?

宮のメイクは派手にならないように、オネーサン達が上手くやってくれてたし、服も派手ではなかった。

でも、ここまで変わるとは。

人はちょっと痩せて、メイクを上手くできるとこんなに化けるのねとしみじみと感じた。

迎えに来たオッパが私を見て、ビックリしてる。

「チェギョン!綺麗過ぎるよ!」オッパは褒めちぎる。

「何時もだったら、からかわれていると思うけど、今日はその言葉嬉しいよ。」頬を染める。

「そんな綺麗なチェギョンに、これ。」と言って細長い箱を私に見せた。

「ネックレス?」

「そうだよ。」ニコニコ笑いながら、取り出そうとしていた所を、私は止めた。

「オッパ、ゴメンなさい、全部オッパに任せたけど、ネックレスだけは自分のさせて。」

自分のバックから小さい箱を取り出す。

そこには丸い形の中に王冠が彫られているネックレスが入っていた。

「それは?」

「私の大事な思い出なの。」大事そうにネックレスを扱う。

これはシン君との思い出。

ずっとカレからのお土産だと思っていたのに。

コン内官のおじさんが買ってきてくれたのが判って、ケンカした品物。

でも、今はカレとの繋がりはこれしかない。

「そっかー、こっちの方が似合うけど。」私の箱からネックレスを取り出し、首に回してくれた。

「うーーん。チェギョンが綺麗だから補ってくれるよ。」

そっかー、やっぱり私にはこのネックレスは合わないのか。

そうだよね。合うわけないよ。廃姫になったんだから。

カレには合わなかった私。

そろそろ、私も前に踏み出さないとね。

小さいテーブルの上に合った雑誌に目を移した。

「オッパ、今日は迷惑掛けないように、頑張ります!」ワザと笑顔を作る。

「じゃあ、行きますか。プリンセス。」

オッパは私が元皇太子妃だって事を知らないはず。

気を回しすぎだよね。

「ええ、王子様」私は腕を差し出してくれたオッパの腕に自分の腕を回し

「シンデレラより早い、10時までにね。」と二人笑いながら外に出た。






パーティー会場に行くと皆それぞれに、雑談をしていた。

私はオッパの背中に隠れるようについていた。

でも、もうお腹すいちゃった。

ドレスとかの準備していて、昼ごはん食べる暇がなかった。

美味しそうな匂いに釣られて、私はフラフラと、オッパの元から離れた。

テーブルの上には美味しそうな料理が並んでいる

アーッ、「宮」の時は良く食べていた料理

1年ぶりくらいね。

たまには、豪勢な料理食べないとね。

と、一人でニヤニヤしながら、皿の上にたくさん乗せていった。

「あのーーっ、もしかして、シン・チェギョンさんですか?」

突然声を掛けられた。

普段見慣れているオッパでも、驚いていたのに、私の事判る人が居るなんて、それもこんな済州島で。

「えっ、人違いですよ。でも、よく言われますが。」笑ってごまかした。

「そうなんですか、ごめんなさい。人違いでした。」丁寧に頭を下げた。

「イヤイヤ、頭上げてください。」私は彼女に言った。

頭を上げた彼女は、ビックリするほど可愛かった。

あちゃーーーッ、お人形さんみたい。ベビードール

ふわふわキャンディポップ

そんなカワイイ言葉が似合う彼女

見惚れている私に

「ほんと、わたしっておっちょこちょいで。すみません。」

あれ?どこかで見たことがある。

あっ、今日の美容室の本に載っていた。

「皇太子の妃宮候補NO1」って言うか、もうこの二人は付き合っているみたいで。

私は髪をセットしてもらっている間、その文章を読んでいた。

私の名はどこにも載っていなかった。

そりゃーそーよねー。廃妃になったダメ嫁だったんだから。自分で笑ってしまった。

そんなことを思い出しながら、目の前の彼女を見つめた。

私より背が低いのね。160センチくらい

こんなカワイイ顔しているのに、胸がデカイ

羨ましい!自分の胸を手で隠してしまった。

この人が、シン君の彼女なんだー。

ズキンっ。心臓が1回痛んだ。

シン君って、ほんとヒョリンとか、この子とかって、綺麗な人が好きなのね。

やっぱり、いいオトコにはいいオンナが似合うわ。

想像で二人を並べて見る私。

こんなカワイイ彼女さんだったら、シン君の性格も直っていくんじゃないの

「良かったら、お名前教えてください。」まったく声までカワイイ。

えーーーっとどうしよう。この間のドラマの名前に。

「ク・ミホです。」

「ミホさんですか?綺麗なお顔に綺麗な名前が良く似合いますね。」

てへへへっと頭を掻いた。

「私の名前は。」

「ストップ!知ってるわ。皇太子様のお付き合いしているお方ですね。」

彼女はビックリして真っ赤になった。

「イ・スンリさん!」

「本で見るより、もっとかわいいですね。皇太子様とのご結婚秒読みだそうで、おめでとうございます。」頭を下げた。


ズキンッ、ズキンッ。胸の痛さが増える

「結婚はまだですよ。シンオッパの態度が。」

シンオッパって言った。

ズキン、ズキン、ズキン。

痛い。

突然目の前の彼女の目からは、涙が溢れた。

ボロボロ堕ちていく涙を私は受け止めようとした。

「どうしたんですか?」

「ごめんなさい!知らない人なのに、シンオッパが冷たくて。」

済州島のパーティー会場で、皇太子イ・シンの元妻シン・チェギョンと妃宮候補イ・スンリは出会った。




皆様、こんばんは
すみません、ねむいので、もう寝ます。