オレの誕生日
この年になって誕生日パーティーと言うのはイヤだけど。
この一週間だけ自由になれる日。窮屈な宮から逃れる為に、わざわざ来た。
大学も同じ、高校からの腐れ縁の3人がオレの傍に来た。
「シン!来たぞーー」
「今年はお前が驚くのを持ってきたぞ。」
「シン!今年のプレゼント期待してね。」オレは適当に挨拶をして、接待に回った。
「シンってさー。ほんと皇太子なんだね。」
「何、当たり前な事。」
「チェギョンがいた頃のシンはほんと生き生きしてた。」
「高校1年以降しか知らないけど、アイツはほんと何に対しても冷め切っていた。」
「オレ達と一緒にいても、見えない壁があったな。」
「でも、それを壊したのは、シン・チェギョン。」
「何で別れたのかなー。あんなに仲が良かったのに。」
「男女の仲はオレ達には判らないな。」ようやく、3人のとこに戻ってきたシン。
「フーーッ、これで大分片付いた。」シャンパンをグイッと飲む。
「おいおい、乾杯がまだだろう?」
「悪い。」と4人はグラスを合わせた。
「お前が落ち着いた所で、ホラッこれ俺達からの誕生日プレゼント。」と言って、青い紙に包まれ派手なリボンで回されたプレゼントをオレに託した。
リボンに挟まれている封書を取り出し、開けてみると。
懐かしい字と絵で
誕生日おめでとう!!親友より
と言う言葉が書いてあった。
親友、と言う言葉を認めているのは、ただ一人シン・チェギョン。アイツだけだ。
オレは3人を睨んだ.
「おいおい、なんで俺達を睨むんだ?」
「これはどこから?」プレゼントを持つ手が震えだす
『ガンヒョンから受け取った。元妻だけど、シン君とは親友だから。だってさっ。」
「ほらっ、これもやるよ。」
「チェギョンがここにいるのか?」封書には済州島にいるとだけ書かれていた
「いる。確かな情報だ」
チェギョンを手離したオレは、毎日を後悔していた。
ソファから立って、行こうとするオレをアイツらが止めた。
「どこに行くんだ!?」
「どこって?チェギョンを探しに!」
「シン!何焦ってるんだ!?」
「ゆっくりしているうちに、アイツがどこかに行ってしまったら。携帯番号だって知らない。」
1年前を思い出す。
チェギョンが「宮」から出て行った日に、チェギョンへの本当の気持ちを気づいたオレは、次の日に彼女の実家に行った。
学校に行くまで待ってられなくて、日が昇らないうちに行った。
ベルを押しても、誰も出す。窓から覗いても、人のいる気配はなかった。
前にチェギョンから聞いていた合鍵のある場所を思い出し、鍵を外す。
家の中に入ると、荷物がなかった。
でかい家具達はそのままだけど、ここにあった家族写真や、オレとお前の結婚式の写真。とにかく色んな物が無くなっていた。
嫌な胸の鼓動を抑えて、チェギョンの部屋を目指す。
「チェギョン!」
部屋に入るとベットと机とタンスしかなく、昨日チェギョンが持っていったスーツケースもなかった。
机の引き出しの中にチェギョンの携帯が入っていた。
ワザと置いていかれた携帯。
誰とも連絡は取りたくないってことか。
オレが選んだ廃妃
この言葉のせいで、色んなモノがオレの手の平から零れ落ちていった。
そして最後に残っていたのは、後悔と言う言葉だけだった。
「シン!済州島と言っても、流石に広い。むやみに動くのはダメだ。」
「とりあえず、お前のパーティーを終わらせろ。」
焦るオレをなだめた3人は、チェギョンからのプレゼントを見ようと言い出した。
「嫌だ!これはオレが貰ったんだから、お前らには見せない。」背中に隠した。
「シン!けちだなっ。」とョンが怒る。
「まーまーッ怒るなよ」インがなだめる。
「オレ、ちょっとトイレ。」シンはプレゼントを持って出て行った。
「ここで見たくないのは、泣くかも知れないからだろ。」インが呟いた。
自分の部屋のベランダで、マフラーを抱きしめ嗚咽を漏らすイ・シン
足元にはチェギョンからの手紙が落ちていた。
イ・シンさまへ
元気でしたか?シン君から「親友」と言う輝かしい称号を貰ったのに、急にいなくなってしまって、ごめんなさい。
親友からの誕生日プレゼント貰ってやって下さい。
ちゃんとした所にはつけていけないけど、ちょっと出かける用に使ってくれたなら、嬉しいです。
来年も送っても良いかな?
シン・チェギョンより
オレの涙はチェギョンの編んでくれたマフラーに吸い込まれていった。
皆様、こんばんは。
このお話は最後の方しか覚えていなかったので。今日も又へーッと頷いております。(汗)
初期のころのお話なので、文章が解りづらいと思いますが、温かい目で見てやってください。
コメント、いいねボタン有難うございました
では、おやすみなさい。