スーツのまま寝てしまったオレは、手に携帯を持っているのをボーッと見ていた。

暗い画面のままなので、ボタンをいじると妃宮の笑顔が写る。

その顔を見てから、オレの一日が始まる。

電話帳のトコに、昨日初めて

シン・チェギョンが登録になった。

ようやく知った彼女の番号

これで彼女との繋がりが増え、多くの事を語り合いたい。

きっと公務とかで声が聞きたくても聞けない時、メールでオレの想いを残しておきたい

ほんと、オレってバカだった。

妃宮の事を好きになって、どんな態度で表せばいいのか判らなくて、いつも遠くで見つめていた。

ギョン達にいじめられている時も、本当は助けたかったが、プライドが邪魔をしてもう一歩足が出なかった。

そんなバカだったオレは、携帯番号を拒否された。

当然の報い

体を起し、携帯の画面を黙って見つめている

どのくらい見つめていたのだろうか、何度も電話帳の画面が暗くなる。

ようやく決意して、シン・チェギョンのとこを押した。

呼び出し音が鳴っている時に、待っているオレの胸はドキドキしてきた。

そして、指が細かく震える。

そんなに緊張するとは、自分でもビックリする。

緊張していた体が、呼び出し音が長くなるにつれて、段々イラつきに変わっていった。

何で出ないんだ!!?

コン内官の控えめなノックが響いた。

「おはようございます、殿下。お時間です。スーツのまま寝てしまわれましたか?」

「そうみたいです、余程昨日の事が疲れたみたいですね。」と溜息をつく。

「もう、お時間です。」とコン内官はオレを見た。

「じゃあ、着替えます。」と電話を気にしながらも、立ち上がった。

挨拶が終わったら、又掛け直そう。







携帯の呼び出し音が鳴っている

自分の部屋の戻り、妃宮に電話を掛けていても一向に出ない

何で出ないんだ?間違ってないよな、赤外線でやったから確実なはずだ。

電話に出ないイライラは、嫌な胸騒ぎになっていた。

「ミン・ヒョリンが貴方の子を授かったと言ってます。」急にあの言葉を思い出す。

姫宮に誰かがそれを教えたら。絶対、オレとは連絡を取らないはず

体を嫌な汗が流れた。

携帯の番号を押す「車を準備してくれ!!直ぐに乗るから!!」

オレは途中コン内官と合った。

「殿下、どこへ?」

「ちょっと出掛けて来る!!」

「今日は高校の卒業式の最後の予行練習ですよ。」

「公務で遅れると連絡してくれ。」とオレは走って彼に頼んだ。





車に乗り込み、妃宮の家を目指す。

何で気が付かなかったんだ!!

あの言葉を聞いた時に、昨日の内に妃宮に話をしておけば良かった。

何時ものオレだったら、冷静に対処できたのに。

妃宮は、何時もオレをおかしくさせる存在

傍において置かないと。





車は妃宮の家の前に着いた。

車にはナビが着いているので、確実にここには着けたかも知れないが、オレは自分の力でここに着きたかった。

車から降り、ベルを鳴らした。

何度も鳴らして、ようやく扉が開いた。

そこには義父上が、オレを見て驚いて立っていた。

「こ・・・皇太子殿下!!どうして、こんな所に?」と1歩・2歩と下がる

オレは義父上に近づき「妃宮は家にいるんですか!?」と詰め寄った

「妃宮って、チェギョンの事ですか・・・?」オドオドという。

「オレの妃宮は、シン・チェギョンだけです!!妃宮はどこに!?」切羽詰まったオレは焦る。

「チェギョンは、ここを出て行きました」


怖れていた言葉を聞いてしまい、オレは膝を落とした。






皆様、こんばんは。

今日は、何か月ぶりに今の時間一人でおります。

バイトに行くまでの少しの時間にあーっぷです。

では、またー。