まず、タンパク質として機能を持つためには、高次構造をつくることが大切になります。

 

この高次構造の構築は、一般に「タンパク質の折り畳み」または「フォールディング」と呼ばれています。

 

タンパク質には以下の4つのヒエラルキーが存在しています。

 

①1次構造(ポリペプチド)

②2次構造

③3次構造

④4次構造

 

高次構造は3次構造、4次構造のタンパク質のことを指します。

 

この高次構造がつくられる過程で、フォールディングが正しく行われなかったために異常なタンパク質となる場合や、フォールディングは正常に完了したが、その後に何らかの変性を受けて、異常タンパク質と化す場合があります。

 

私たちの日常でもタンパク質の変性はよく見られます。

 

例えば、タンパク質を加熱したときや酸・アルカリに接触したときです。

 

また、生体内でタンパク質の変性が起こるのは、消毒液やシャンプーなどに含まれる界面活性剤、有機媒体、有害金属、活性酸素による酸化、過剰の糖による糖化反応などになります。

 

以下が界面活性剤の一例になります。

タンパク質が変性すると、タンパク質としては機能しなくなり、不健康や疾患に繋がります。

 

この異常タンパク質が生じた場合の対処方法として、以下の2つがあります。

 

①修復して再利用する方法

②アミノ酸にまで分解し、それを原料してリサイクルに回す方法

 

修復して再利用を図る方法としては、HSP60と命名されている分子シャペロンが活躍します。

 

以下の図で説明していきます。

HPS60は内部が空洞になっており、その中に異常タンパク質(緑のヒモのようなもの)を取り組み、再フォールディングのチャンスを与えます。

 

異常タンパク質のアミノ酸配列に異常がなければ、再フォールディング(一番右端)によって、正しい立体構造を持つタンパク質に生まれ変わる可能性が高まります。

 

このHPS60もタンパク質でできており、細胞内部にはこのような驚くべきメカニズムが無数に存在しています。

 

今回の内容のまとめ

 

・タンパク質には4つのヒエラルキーがあり、高次構造は3次・4次構造のことである

・高次構造がつくられる過程や日常生活(界面活性剤や糖化など)でタンパク質の変性が起こってしまう

・常タンパク質の対処方法としては2つあり、「再利用」と「リサイクル」

・再利用する際に活躍するのが「HSP60」という分子シャペロン

 

今回は以上になります。