Betrayal生活10日目。
計画成功のため、訓練に臨む優斗達。着々と、その実力を伸ばしていた。「はぁ、はぁ。」「高校じゃ運動部だったけど、ちょっとやってないだけですぐ息があがっちゃう。」「フン、これくらい朝飯前さ!」「さすがリーダー。てかもう朝飯食べましたよね?」「きっつーい!みんなよく耐えられるね。」「そういう里奈だって、3日間耐えてるじゃん。」「まあね。この1週間の訓練に耐えられなかったらグループから外れてもらう、なんて言われたら耐えるしかないでしょ。」「にしても、たかが人を殺すだけでどうして訓練なんか。」「いざって時に、もし向こうが反抗なんてしてきて返り討ちにあった、みたいなことになったらやばいだろ?それに、標的の中には暴力団の団員のやつだっているんだぞ。」剛は光彦の方をちらっと見る。「そうなんだ。ならちゃんと訓練しとかなきゃ!」「フン。返り討ちなんかねえよ。あったらカッコ悪すぎだろ。」「光彦、お前の言う通りだ!」「とにかく、この訓練を大切にしないといけないっていうことだね。」「ああ。」
Betrayal生活13日目。
「ついに明日だね。Betrayal計画。」「ああ。」「メンバー全員が残ってくれて嬉しいよ。」「当たり前でしょ!あいつを殺すために俺はこの訓練をしてきたんだから。」「そういえば、最初の標的は流星のだよね?流星は、誰にどんな裏切りをされたの?」「俺は、両親に捨てられたんだ。昔。うち貧乏でさ。食べるのがやっとで、まだ俺は5歳だったんだけどさ、幼稚園にも学校にも行かせるお金がないって言って、気付いたら児童施設に預けられてた。ずーっと、流星はどんなことがあっても私達の子だって言って育ててくれたのに。俺を捨てて自分だけが生きる道を選んだんだ。あいつらは。」「小さい頃からそんな苦しみを背負って生きてきたんだね。」「しかも、今はちょっと豪華なマンションに住んでるなんてこと知った時には、今すぐにでも殺したいっていう気分になったよ。」「ねえ、正直俺、まだいまいち“裏切られたから殺す”っていう感覚がわからないんだけど。」「優斗。」「俺も最初はそうだったさ。だけどな、裏切られたっていうのは、日が増すごとに恨みへと変わって行くんだ。優斗もだんだんわかるさ。」「リーダー。」「さて、明日に備えて、今
日はもう寝ようか。」「そうですね、リーダー。」「だからここでは敬語はいいって。おやすみ。」「おやすみなさい。」
Betrayal生活14日目。Betrayal計画開始日。
「おはようみんな。今日はBetrayal計画開始日だ。気を引き締めて、各々の恨みを晴らす時だ。周囲にバレないよう、そして悔いの残らぬよう、しっかり行ってくれ。」「おう。」「さて、俺達の行く場所は?」「まずは神奈川の横浜だ。標的は、流星の両親。今日は初めての殺しだが、失敗は許されない。なるべく早く、覚えるように。本番は、一度きりだ。」「了解。」「各自武器は持ったな?ではこれより、302班第1回Betrayal計画を開始する。」「うん。」「ああ。」
東京から電車で約1時間。302班は神奈川県横浜市に到着する。そして、目的のマンションへと向かう。集団での行動を避け、全員バラバラに移動をする。会話手段は、半径500メートルが会話範囲の無線だ。「流星。目的のマンションに着いたか?」「うん。目の前にある。」「まだ行くなよ。周りに人がいないか確認し、完全にいなくなったところでスタートだ。」他のメンバーは、流星のことが見える範囲の場所に各々散らばっている。「わかってる。って言っても、完全に人がいなくなる時なんてあるのか?」「しばしの辛抱だ。それが、成功への近道だ。」20分後。周りに誰もいなくなったところで、流星は行動に移る。「よし、今だ。」「意外と早かったな。それじゃ、行くぜ。」遠くから見つめるメンバー。「確かこの部屋だったな。」「流星、後ろに人がいる。」「わかってる。」そして、部屋へ入っていく。「んじゃ、…行ってくる。裏切り者へ、裁きを下す時だ。」「流星、大丈夫かな?」「大丈夫であってほしい。」「慌ててなければいいけど。」「出てくるの遅いね。もう5分経ったよ?」「まさか失敗したとか?」「おい、少し黙れよ、みんな。」「あ、出
てきた。」「大丈夫だったんだろうか。」「よしみんな、駅へ戻るぞ。電車に乗っても油断するなよ。話をするのはBetrayalに戻ってからだ。」「了解。」
流星の標的を殺し終えた302班は、無事に東京のBetrayalへたどり着く。「ただいま。達郎じいさん。」「ほう。なかなか早かったな。他の班はまだ帰ってないぞ。」「いやぁ、流星が5分ちょいで片付けちゃったもんだから。」「それだけ早く、殺したかったってことだろ。」「流星、殺す時、どんな思いで殺したの?」「殺したあと、どんな感じだった?」「…。なんて言うんだろう。今まで味わったことがないような、こう、体全身の何かが暴れ出して、いつの間にか、この世からいなくなっちゃった、みたいな。とにかく、今まで恨み続けてきた奴を、自分の手で殺すなんて、これほど気持ちいいことないよ。刀の刃が、人間の皮膚にスーッと入っていくんだ。向こうは叫ぶ間もなくすんごい顔して倒れていく。それと同時に床にみるみる流れる血。もう、自分が人間なのか、悪魔なのか、生きているのかすら、一瞬分からなくなったよ。殺し終わった後、少し考えるんだ。自分が今、何をしたのか。結果どうなったのか。そして考えたあと、……。」「ん?」「……笑うんだ。」その時、そこにいた全員が、表現しきれない殺気を感じ、そして、言葉では言い表せない感情
を抱いただろう。人間を殺す、という、1つの人間の掟を第1に破った流星は、もう何者でもなくなっていた。星川流星という名の、魂のない、悪魔の人形…。その心の底は、今はまだ、そこにいる誰も、わからないだろう。殺人。そこにいた全員が、恐怖を感じていた。「へ、へぇ。」「あ、ごめんごめん。まだみんなは人を殺したことないから、わからないよね。なんか1人で盛り上がっちゃってごめん。」「まあ、あとで俺達もその気持ちをわかるときが来るよ。」「そうね。」「…わかるよ、流星。」「えっ?」「龍也。」「どういうこと?」「まあ、その話はまたにして、龍也、これを見たまえ。」「これは…。」達郎に言われ、テレビのニュースを見た龍也達。そこには、【岩手で殺人未遂 グループ的犯行】の文字が。「これって。」「おそらく、わし達のとこの奴らだろう。メンバーからして201班か。標的を目の前に殺す覚悟が揺らいでしまい、周りにいた人が通報したのだろう。」「で、Betrayalのことはバレていないのか?」「今のところ、そういう情報は流れていない。恐らくは、決まりを守っているはずじゃ。」「そうか。ならいい。」「これでBet
rayalのメンバー減っちゃったね。」「始めからメンバー全員が確実に標的を殺せるとは思っていない。1グループ欠けることは想定内だ。まあ、流星があんなにも早く終わらせたことは想定外だったがな。」「って言っても、やっぱり情報漏洩とか心配じゃないの?龍也。」「少しはな。」「とにかく、これで残るは4つの班か。」「この1回目で、メンバーが標的を殺せるか殺せないかは大体決まってくる。メンバーの誰かが一度殺してしまえば、安心感があるからな。人間の心理なんてそんなもんだ。」「龍也って、そういうの詳しいの?」「…まあな。そういえばお前、またお前の母親がこんなブログを更新してたぞ。優斗。」「えっ?」「‐うちの子が家を出てから2週間。警察の子どもが何をしているんだって、お父さんが怒ってるわ。まあ、出来損ないだし、仕方ないか。(笑)‐だってよ。」「なんつう母親だ。お前の母親。」「ひどいな、これ。」「実名ってとこも、また卑劣」「お前のお父さんって、警察官だったんだな。」「母さんもだよ。親が2人揃って警察官。だから、小学生の頃から成績の面じゃ厳しくされてたよ。おまけに兄さんは成績優秀だから
、これまた災難。」「そんな中で大学受験か。」「失敗作だなんて言われたら、そりゃあ家出するわな。」「でも、コメントを見ると、そこまで高評価ではないよね?」「頭狂ってるとか、息子さんが可哀想だとか。」「しかも、実名でやってたら周囲にバレるだろうな。」「ま、少なくともここにいるみんなはお前の味方だ、優斗。」「ありがとう、みんな。」「さて、お腹も空いたし、飯食べるか!」「そうだね!」
―1人の人間が、復讐にとりつかれた者達に、…殺された。―